トウキョウタイムラインシリーズ：首都アンダーライン

――東京が、別の“何か”に書き換えられようとしている。 秋葉原のSMクラブ《RedCircus》のNo.1ミストレス、黒崎零香。隷人の支配者にして、裏の世界では「事件屋」と呼ばれる女。 彼女の右手の甲には、ひとつの印が刻まれていた。《STORY MAKER》――触れた相手の記憶を改変する力。だがその代償として、零香自身の過去は少しずつ失われていく。 ある夜、彼女のもとに奇妙な依頼が届く。 調査対象は、《インディーズ都市開発集団：LadForest》。都市の地下に広がる不可視の構造、封印された1995年の“地下鉄事件”、 そして、誰かの記憶にしか存在しない街の輪郭。 零香が追うほどに、東京は異様な呼吸を始める。 ネットの海に漂う幻像、地下を走る光、見知らぬ誰かの声が、彼女の中で囁く―― 「この都市は、最初から“書き換えられていた”のだ。」彼女が探しているのは、都市の真実か、自分の正体か。 記憶と現実の境界が崩れ落ちるとき、“トウキョウ”という名の意識が、ゆっくりと目を覚まし始める。