見えない閾値 ─ 僕の存在は毒だから ─

作者: 灯屋いと | 作品数: 10作品 | 📝 連載中

神崎暁は研究施設で十八年間を過ごした。素手で人に触れてはならない。それだけが暁に与えられたルールだった。 手袋をはめた両手。窓のない部屋。感情の名前を知らないまま、暁は東京大学に入学する。 講義室でいつも同じ席に座る暁の隣に、桐生誠が座った。物理学科の三年生。穏やかな顔をしているのに、目だけが時々鋭い。 撫でられると思考が止まる。わらび餅を食べると肩の力が抜ける。カルアミルクを三杯飲むと世界が溶ける。暁の定数だった日常に、桐生という変数が増えていく。 けれど暁は知っている。自分の素手は毒であることを。触れた時間の分だけ、桐生を壊していることを。 触れたい。触れてはいけない。その閾値を、暁はまだ知らない。

エピソード一覧

第1話: #1 通告 (2026/6/3)
第2話: #1 空白 (2026/6/4)
第3話: #2 大学 (2026/6/5)
第4話: #3 名前 (2026/6/6)
第5話: #1 また、いる (2026/6/7)
第6話: #2 選択 (2026/6/8)
第7話: #3 好き嫌い? (2026/6/9)
第8話: #4 あたたかい温度 (2026/6/10)
第9話: #5 料理という変化 (2026/6/11)
第10話: #6 金平糖の差異 (2026/6/12)