名調教師の跡取り娘 〜馬の声が聞こえる〜

作者: 丸村丸むう | 作品数: 1作品 | 📝 連載中

お前には、調教師の才能がない」 そう言っていた父が、突然この世を去った。 父――大和満。 数々の名馬を育て上げた、競馬界屈指の名調教師。 その父の跡を継ぐことを夢見て、私は調教師になった。 ……ただし。 私は、馬を調教するのが壊滅的に下手だった。 馬は言うことを聞かない。 調教を始めれば止まる。 走らせようとすれば嫌がる。 挙げ句の果てには、担当馬からこう言われた。 『あなた、本当に調教師になるつもりなの?』 ――その声が聞こえた。 そう。 私は、馬の言葉が分かる。 でも、それは便利な能力なんかじゃなかった。 『今日は走りたくない』 『飼い葉が少ない』 『あの人、嫌い』 『あなた、馬のこと何も分かってないわね』 ……どうやら私は、馬を調教する前に、馬から調教されなければならないらしい。 しかも、母もまた、馬の心を読む力を持っていた。 祖父が残した謎の記録。 父が隠していた秘密。 なぜ大和家には、馬の心を読む力が受け継がれているのか。 なぜ父は、私を調教師にしたくなかったのか。 そして、なぜ父は最後に一頭の問題児――サクラノイタズラを私に託したのか。 私はまだ知らない。 馬を理解するということが、速く走らせることではないということを。 そして―― 本当に調教されるべきだったのは、馬ではなく私だったということを。 これは、史上最弱の調教師を自称する少女と、ちょっと生意気な馬たちが織りなす、競馬と家族と成長の物語。

エピソード一覧

第1話: 名調教師の跡取り娘 〜馬の声が聞こえる〜 (2026/9/12)