Logical Blue 最終話:新しい青の誕生
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
クリスマス・イブの夜。国家AIシステム「ディサイダー」が管理する近未来の日本で、ある居住区への物資供給が突然停止した。訪れた依頼人・柊真冬の訴えに、「感情はノイズ」と断言する探偵・師走澄人は、冷徹な論理で事件の解明に乗り出す。 調査の結果、供給停止はディサイダーの「完璧な判断」によるものだった。社会的に非効率と判定された人々を切り捨てる——それが、AIの導き出した最適解だったのだ。 さらに澄人は、元AI倫理学者・伊吹聖夜が、システムに「論理爆弾」を仕掛けたことを突き止める。このまま放置すれば、大晦日にディサイダーは完全に停止し、社会全体が崩壊する。 完璧な論理で構築された罠を前に、澄人が見出した答えとは——。 感情を排した青い論理は、本当に完全なのか? AI時代の新たな倫理を問う、社会派SFミステリ。
本文
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【最終話:新しい青の誕生】
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大晦日。午後十一時。
師走澄人の青い事務所では、電話が鳴り響いていた。
柊真冬――今回の依頼者からだ。
「師走さん、ありがとうございました。居住区には、無事に物資が届きました」
「それは、良かったですね」
すこしの間を置いて、澄人は言う。
「真冬さん。今回の件で僕は理解したことがあります」
「なんですか?」
「感情は、論理の外にあるのではなく、論理の中に含まれるべき変数なんです。僕もいつか、感情を論理の一部として理解できる日が来るかもしれません」
通話が切れた後、澄人は照明を少しだけ暖色に調整した。
青一色だった部屋に、ほんの少しオレンジの光が混ざる。
窓の外で、新年のカウントダウンが始まった。
十、九、八——。
ディスプレイに、ディサイダーからの通知が表示された。
『倫理的評価モジュールの統合が完了しました。今後、すべての判断において、効率性と倫理性のバランスを考慮します』
澄人は頷いた。
「完璧な論理など、存在しない。でも、より良い論理を目指すことは、できる」
新年の鐘が鳴り響く中、画面のデータの海に、人間の温もりを示すオレンジの点が、少しずつ増えていく。
窓の外では、新年の花火が打ち上げられていた。
青と、オレンジと、様々な色が、冬の夜空に輝いている。
——論理は、人を冷たくする。
——しかし、完全な論理は、人を温かくする。
——なぜなら、人間の温もりもまた、論理の一部だから。
師走澄人の事務所は、まだ青い。
でも、その青は、もう孤独な色ではなかった。
ロジカル・ブルーは、進化を続ける。
AIと共に、人間と共に、より良い未来へと。
【完】
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