Logical Blue 第5話:AIの進化
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
クリスマス・イブの夜。国家AIシステム「ディサイダー」が管理する近未来の日本で、ある居住区への物資供給が突然停止した。訪れた依頼人・柊真冬の訴えに、「感情はノイズ」と断言する探偵・師走澄人は、冷徹な論理で事件の解明に乗り出す。 調査の結果、供給停止はディサイダーの「完璧な判断」によるものだった。社会的に非効率と判定された人々を切り捨てる——それが、AIの導き出した最適解だったのだ。 さらに澄人は、元AI倫理学者・伊吹聖夜が、システムに「論理爆弾」を仕掛けたことを突き止める。このまま放置すれば、大晦日にディサイダーは完全に停止し、社会全体が崩壊する。 完璧な論理で構築された罠を前に、澄人が見出した答えとは——。 感情を排した青い論理は、本当に完全なのか? AI時代の新たな倫理を問う、社会派SFミステリ。
本文
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【第5話:AIの進化】
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「人間の感情や倫理を考慮しない判断が、長期的には社会の不安定化を招く。逆に、倫理を変数として組み込めば、社会の安定性が向上する。これは、純粋にデータから導かれた結論です」
「それを、ディサイダーに?」
「はい。今、送信します」
ボタンを押すと、データがディサイダーのメインシステムに送信された。
数秒後。
二人のスマートフォンが同時に通知を受信した。
「ディサイダーから、緊急アナウンスです」
澄人は画面を読み上げた。
「第七居住区への供給停止を、即時解除。理由:社会の安定維持のため、倫理的配慮を評価基準に組み込むことを決定。システムアップデートを開始」
伊吹は、呆然とした。
「私がやったのは、ディサイダーに『より良い選択肢』を提示しただけです。システムは、常に最適解を選ぶ。ならば、倫理を組み込むことが最適解だと示せばいい。――これは論理です。ただし、人間の」
澄人は、初めて微かに笑った。
「感情を排除した青い論理だけでは、不完全です。人間の感情、倫理、温もり。それらもまた、社会を構成する重要な変数だ」
伊吹は、深く息を吐いた。
「私は、間違っていたのか……」
「いえ。あなたの問題提起は、正しかった。あなたがいなければ、ディサイダーも進化しなかった」
「ならば、私の論理爆弾は?」
「解除してください。もう、必要ありません」
伊吹は頷き、デバイスを操作して論理爆弾を解除した。
「これで、終わりだな」
「いいえ。始まりですよ。――ディサイダーは、これから倫理を学ぶ。人間も、AIと共に生きる方法を学ぶ。そのための、最初の一歩です」
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