第2節「最初の街へ」
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あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第1章「蒼の勇者、降り立つ」
## ――第2節「最初の街へ」――
森を抜けると、開けた草原の向こうに大きな城壁がそびえていた。
石造りの外壁は陽光に照らされて白く輝き、並ぶ塔の影が柔らかい風に揺れている。
蒼真はしばらく立ち止まり、その光景を見渡した。
「……まるで、中世ヨーロッパのRPGそのまんまって感じだな」
危険の余韻が残る森を背に、蒼真は街へ向かう。
門前には商人、旅人、冒険者らしき姿が行き交い、露出度の高い服装の女性たちが当たり前のように歩いている。気候の温暖さが服装にあらわれているのだろう。
門番が声をかけた。
「旅のお方、この街は“アストレア”へようこそ。入城税は銀貨一枚です」
「銀貨……なるほど、通貨は日本円じゃないわけだ」
蒼真が腰の小袋を探ると、転移時に女神から渡されたらしい“スターターポーチ”に基本的な通貨が入っていた。銀貨を渡すと門番は礼儀正しく頷く。
「ようこそ、勇敢な旅人よ。街の中では武器の抜刀は禁止ですので」
「了解。気をつけるよ」
蒼真が街に足を踏み入れると、熱気と香辛料の匂い、様々な言語の声が一度に押し寄せてきた。
市場にはカラフルな果物が並び、女商人たちは陽気に客を呼び込んでいる。行き交う人々の露出高めの服装は珍しく、街全体に開放的な雰囲気があった。
蒼真は辺りを見回し、目的の場所に目星をつけた。
「あれが冒険者ギルドか……」
酒場と役所を混ぜたような大きな建物。
入り口上には剣と盾を組み合わせた紋章が掲げられている。
扉を押すと、中は意外にも静かではなく、どこか活気に満ちていた。
「おお、見ねえ顔だな。旅人か?」
「随分鍛えてるねぇ兄ちゃん。冒険者になりに来たのかい?」
蒼真は軽く笑って答える。
「そんなところだ。まずは情報収集からだな」
カウンターへ向かうと、受付嬢がにっこりと微笑んだ。
明るい茶髪で、胸元の大きく開いた薄布の制服を着ている女性だ。
「ようこそ、アストレア冒険者ギルドへ。新規登録ですか?」
「はい、お願いします」
手早く登録書に必要事項を書き込み、魔力測定用の水晶に手を置く。
すると、水晶が一瞬で強烈な蒼光を放った。
「っ……!? し、信じられません……!」
受付嬢が身を乗り出して蒼真を見る。
周囲の冒険者たちもどよめいた。
「水晶が……あそこまで光るなんて……!」
「新人であの反応は見たことねぇぞ……」
蒼真は肩をすくめ、気まずそうに苦笑する。
「そんなにすごかったか?」
「すごいどころじゃありませんっ! ランク測定では……えっ……? 本来ありえない数値が……」
受付嬢の手が震える。
周囲の視線が蒼真に集まり、混乱したざわめきが広がった。
だが蒼真にとって一番重要なのは、周囲の反応ではなく――。
(……俺、確実に“勇者位階”とやらの影響を受けてるな)
冒険者ギルドで自分の“異常な強さ”が認識されたその瞬間から、蒼真の名前は街に広まっていく。
そして――この街のどこかに、後に運命的な出会いを果たす
**阿久津みのり** が独りで震えているとは、まだ知る由もなかった。
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