第1節「新たな旅立ちと、白銀の舞姫」
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第2章「影の騎士と白銀の舞姫」
## ――第1節「新たな旅立ちと、白銀の舞姫」――
黒い泉の事件から三日後。
エルナの村はようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
エルナの母親は完全に回復し、
村人たちも蒼真たちに深く感謝を示している。
「蒼真さん、本当にありがとうございました……!」
エルナは何度も頭を下げる。
「もういいって。無事だったんだから、それで十分だ」
蒼真が笑うと、みのりは胸の前で手を組み、
「蒼真さんって……やっぱり素敵ですね……」
とうっとり呟いた。
「はいはい、惚気はほどほどに」
砂月が肩をつつきながら冷静に言う。
だが彼女も蒼真の働きぶりには、内心かなり感動していた。
(やっぱり……この人、ただの“強い”じゃない。
責任感も行動力もあって……そりゃ惚れるわよね)
そんな砂月の心中を、蒼真は気づかない。
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## ◆ ● 新たな依頼
村長宅に呼ばれ、蒼真たちはテーブルについた。
「黒い泉を浄化してもらい、本当に感謝しておる。
しかし……どうやら、同じような泉が各地に現れ始めておる」
「同じような、泉?」
蒼真の表情が険しくなる。
「うむ。東の侯爵領に“大規模な汚染”が発生し、
騎士団だけでは処理が追いつかないと聞いておる。
どうか……そちらにも足を運んでほしい」
蒼真は即答した。
「行きます。これは放置できない」
みのりも砂月も、すぐに頷いた。
「私たちも一緒に行きます!」
「蒼真ひとりじゃ危ないものね」
村長は深く礼をする。
「すまぬ……どうか頼んだぞ、勇者殿」
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## ◆ ● 東の街道へ
村を出ると、広い草原が広がっていた。
風が心地よく、青い空がどこまでも続いている。
「さて……東へ向かうか」
「はーい!」
「了解」
三人で歩き始めた、その時――
草原に響く、美しく澄んだ歌声が耳に届いた。
「……歌?」
みのりが立ち止まって周囲を見渡す。
「この声……すごいわね。プロのレベルよ」
砂月が目を見開く。
風に乗って届くその歌声は、甘く、切なく、どこか神秘的だった。
「蒼真さん……あそこ!」
みのりが指さした方――
街道脇の岩の上に、白銀の髪を持つ少女が座っていた。
白いドレスの裾が風に揺れ、
肌は雪のように白い。
歌うたび、花びらが舞うような光が生まれていた。
「……魔法と歌を同時に?」
蒼真は驚き、息を呑む。
少女は歌を終えると、静かに目を開けた。
その瞳は宝石のような淡い紫色。
「――あら。聞かれていたなんて、恥ずかしいですね」
少女は微笑んだ。
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## ◆ ● 白銀の舞姫・雪城 彩香(ゆきしろ あやか)
「わたしは雪城彩香。
日本から来た“舞姫(まいひめ)”です。よろしくお願いします、勇者様」
「日本人……!?」
「また日本の人……!」
みのりと砂月が同時に叫ぶ。
蒼真も驚いたが、同時に理解した。
(歌声……魔力の放出……
これは“アイドル”の才能が、そのまま魔法に変換されてるのか)
彩香は楽しそうに笑う。
「実は、あなたたちを探していたんです。
黒い泉の浄化をした、とても強い勇者さんがいるって聞いて……」
彼女は胸に手を当て、軽く頭を下げた。
「わたしも、どうしても仲間に入れてほしいんです」
「仲間に……?」
蒼真は目を細める。
「理由を聞いてもいいか?」
彩香の笑顔が一瞬だけ陰った。
「――大切な人を、影にされたんです。
助けたくて……どうか、力を貸してください」
風が止まり、草原が静寂に包まれた。
蒼真はその瞳を見つめ、ゆっくり頷いた。
「彩香。
一緒に行こう。俺たちで必ず救う」
その瞬間、彩香の顔に涙が浮かび――
次の瞬間、満面の笑みになった。
「ありがとうございます! 勇者様!」
みのりと砂月は互いに目を合わせる。
(……また美人が増えた)
(しかも、また蒼真に懐くタイプ……)
二人は同時にため息をついた。
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