第2節「舞姫の力と、迫る黒影」
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あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第2章「影の騎士と白銀の舞姫」
## ――第2節「舞姫の力と、迫る黒影」――
雪城彩香が加わり、蒼真たちの旅は四人となった。
草原の道を歩く一行。
彩香は周囲をきょろきょろ眺めながら、楽しそうに声を弾ませた。
「うわぁ……本当にRPGみたいですね! 草原の道とか、青空とか!」
「彩香ちゃん、テンション高いですね……」
みのりが微笑む。
「だってこういうの、ずっと憧れてたんですよ?
ライブの合間にゲームしてて……まさか本物の異世界で冒険できるなんて!」
「気持ちは分かるわね」
砂月は肩をすくめる。
「新人女優って、現場はハードだけど……異世界のほうがまだ楽って感じるのが不思議だわ」
「いや、そこは現場の方が安全であってほしいけどな……」
蒼真が苦笑すると、
「蒼真さんがいるからですよ」
「そうそう、安心感が段違い」
さらっと言われ、蒼真は耳を赤くした。
「……お前ら、そうやって褒めても飯は奢らんぞ」
「奢れとは言ってないんですけどね〜」
砂月がニヤリ。
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## ◆ ● 彩香の「舞姫魔法」
草原の先、小さな丘へ差し掛かったとき。
彩香がふと立ち止まった。
「……来ます」
その表情が一瞬で真剣になる。
「えっ……?」
「彩香ちゃん?」
「黒い匂いが……近い。すごく、強いのが」
蒼真もすぐに気配を読み取った。
「確かに……一体じゃない。三、いや四……いや、もっといるな」
地面がわずかに震える。
黒い霧が丘の向こうから湧き上がった。
**影虫の大群。**
「くっ……またこいつら!」
みのりが後退する。
「みのり、砂月、後ろへ下がれ!」
蒼真が前へ出る。
だが――彩香が蒼真の横に並んだ。
「蒼真様。わたしにも……やらせてください」
「彩香……危ないぞ」
「大丈夫です。
“歌と舞い”は――アイドルの戦い方ですから!」
彩香は胸の前で両手を組み、静かに息を吸い込む。
次の瞬間――
「――《舞曲魔法・白銀のカノン》!」
銀色の光が彩香の足元で輪を描いた。
身体がふわりと浮き、
白い髪が光を反射して煌めく。
彼女が歌い始めると、
その歌声が波動となって空気を震わせ――
「えっ……すご……!」
みのりが呆然とつぶやく。
砂月も目を見開いていた。
「これ……もうライブじゃない……舞台そのものよ」
その旋律は――
影虫の動きを“止めた”。
「アア……ガ……」
大群は苦しむようにうめき、脚をもつれさせて崩れ落ちる。
「今です、蒼真様!」
「任せろ!」
蒼真は蒼い閃光を生み出し、群れへ突進する。
「――蒼裂舞刃(そうれつぶじん)!!」
蒼光が舞い踊り、影虫の群れを一掃する。
黒い霧が吹き飛ばされ、地面が露わになった。
彩香は歌を止め、そっと着地した。
「ふぅ……まだ慣れないけど、うまくいきました」
「彩香……すごい……」
みのりが感動で瞳を潤ませる。
「貴女……本当にアイドルだったのね……」
砂月も呟く。
蒼真は剣を肩に乗せ、軽く微笑んだ。
「彩香。
お前の力は、これから絶対に必要になる。
仲間になってくれて、心から感謝する」
少女の頬が赤く染まった。
「……そんなこと言われたら……好きになっちゃいますよ?」
みのりと砂月が同時に振り返った。
「えっ」
「えっ」
「えっ(困惑)」
蒼真だけ三重苦。
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## ◆ ● 迫る影
そして――その様子を、遠くからひとつの影が眺めていた。
「へぇ……新しい女か。
しかもアイドルとか……最高にいいじゃねぇか」
風に揺れる黒いコート。
木陰に立つのは、如月翔。
「蒼真……仲間集めを楽しんでるみてぇだなぁ?」
鷹のような目で彩香を観察し、にやりと笑う。
「アイドルの力……面白ぇ。
でもそれ、全部“俺のもの”になるんだよ」
黒い霧が翔の身体を包む。
「待ってろよ、蒼真。
そろそろ――正面から行ってやる」
その声とともに、翔の姿は闇へ溶けて消えた。
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