3節 殺さない理由(終)の表紙画像

3節 殺さない理由(終)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/13 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,342文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第4章 法則の正体】

### 【3節 殺さない理由(終)】

 残り時間――**一時間四十八分**。

 小坂は、動画を何度も巻き戻していた。

 背景。

 壁の染み。

 床の傷。

 男の呼吸の癖。

「……音」

 小坂が、低く言う。

「先輩?」

「反響が、

 少し広い」

 朝霧は、

 すぐに理解しようとする。

「倉庫……?」

「いや、

 **倉庫を改装した場所**だ」

 小坂は、

 メモを取りながら続ける。

「天井が高い。

 だが、

 反射音が柔らかい」

「壁に、

 断熱材か何か……」

「あるいは、

 **古いスタジオ**」

 朝霧の目が、

 僅かに見開かれる。

「……都内に、

 そういう場所、

 あります」

「しかも」

 小坂は、

 画面を一時停止する。

「**電源音がない**」

「え?」

「非常用電源だ。

 ——長くは、

 持たせない」

 犯人は、

 **時間を制限することで、

 判断を急がせている**。

「……先輩」

 朝霧が、

 覚悟を決めた声で言う。

「場所、

 絞れます」

 彼女は、

 スマートフォンを操作する。

「個人で使われている、

 都内の旧スタジオ。

 水辺。

 人目が少ない」

「……湾岸だな」

 小坂は、

 すぐに頷いた。

「豊洲、

 辰巳、

 東雲……」

 **犯人は、

 同じ“動線”を好む。**

 ——見せる場所。

 ——捨てられる場所。

「……行きます」

 朝霧が、

 立ち上がった。

「一人で?」

「はい」

 彼女は、

 迷わなかった。

「“公式”じゃない。

 “個人”です」

 小坂は、

 一瞬だけ、

 目を閉じる。

 ——彼女を止めれば、

 十二年前の自分になる。

「……俺は、

 **記録を続ける**」

 小坂は、

 はっきりと言った。

「通信は、

 切るな」

「了解」

 朝霧は、

 振り返らなかった。

 ドアが、

 静かに閉まる。

 残された小坂は、

 タイマーを見る。

 ——**一時間三十二分**。

「……今度は、

 逃げない」

 その呟きは、

 自分自身への誓いだった。

---

 午後九時前。

 湾岸エリア。

 倉庫を改装した、

 古い音楽スタジオ。

 朝霧は、

 遠くから建物を見つめていた。

「……当たり」

 灯りは、

 一室だけ。

 彼女は、

 深く息を吸い、

 建物に近づく。

 ——鍵は、

 **開いていた**。

「……誘ってる」

 中に入ると、

 音が、

 異様に吸われる。

 奥の部屋。

 そこに——

 **椅子に縛られた男**。

「——無事ですか!」

 秘書の男が、

 顔を上げる。

「た、助けて……」

 その瞬間。

 ——カチ。

 背後で、

 **シャッター音**。

「……正解だ」

 静かな声。

 朝霧は、

 振り返った。

 帽子を被った男。

 顔は、

 まだ影の中。

「君は、

 “選んだ”」

 男は、

 淡々と言う。

「……だから、

 次は——」

 朝霧は、

 一歩、前に出た。

「**あなたを、

 選びます**」

 男が、

 初めて言葉を止めた。

「裁く側でも、

 裁かれる側でもない」

 朝霧は、

 震える声で、

 だが確実に続ける。

「——止める側です」

 数秒の沈黙。

 そして。

 男は、

 ゆっくりと笑った。

「……想定外だ」

 その言葉は、

 **初めての“敗北宣言”**だった。

---

 その頃。

 非公式拠点。

 小坂のスマートフォンが、

 震えた。

『選択を、

 確認した』

 短いメッセージ。

 小坂は、

 静かに打ち返す。

『次は、

 お前だ』

 送信。

 既読。

 ——裁判は、

 **逆転を始めた**。

---

ジャンル・タグ

, , , , , , ,

作品統計

👁️ 閲覧数: 2 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

冥界焔つむぎ

冥界焔つむぎ

いつも応援ありがとうございます! 支援は随時受け付けています♪

👥 フォロワー: 6人

作者ページを見る