第15話 告白
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
VVB(Virtual・Venus・Baseball)、Vtuberと女子野球が=になった世界で - 第15話 告白
本文
「由香」
「うん? どうしたの?」
翌日、練習終わりのクールダウン中。
アヤに声を掛けられた。
「話があるから今日の20時に私の家に来てくれる?
ゆら先輩とネリアさんも居るから」
「お、おう……」
この3人と言う事は、ゆら先輩とのキスや昨日のデート絡み……だよね?
「それと貴女は松峯 由香ではなく日向 火夏として来て。
私も安藤 綾音ではなく涼宮 冷として振る舞うから」
「あー、ゆら先輩とネリアちゃんも居るからね。分かった」
「お願いね」
さて、何を言われるのやら。
私のしてきた事を考えると、仲良くお茶会……という訳じゃないだろうし。
※※※※※
「ふぅっ……お邪魔しまーす」
20時ぴったりに私は安藤家のインターホンを鳴らした。
すぐにアヤが出てきて部屋へ通してくれて、そこには既にゆら先輩とネリアちゃんが座っていた。
「やぁ、態々すまないね」
「こんばんはです、火夏先輩♪」
「ど、どうも……」
アヤだけならまだしも、あんな事をした後でちゃんと接する自信が無かったので少し離れた場所に座りつつ視線がキョロキョロと動いてしまう。
そんな私の様子を面白く感じたのかくすりと笑われてしまったけど……少なくとも文句は言われなかったので少しほっとした。
「さて、火夏」
「は、はいっ!」
ゆら先輩に名前を呼ばれて思わず声が裏返ってしまった。うぐぐ……っ
「そう緊張しないでくれ。別に取って食おうとしている訳じゃ無いんだ」
「ふぁい……」
「今日はあくまで話し合いよ。私達4人の関係性をどうするか、と言うね」
「う、うん……」
「まず火夏はどうしたいの? 私達3人とキスした訳だけど……その内の誰かと特別な関係になりたいの?」
「それは……どうなんだろ」
「ネリア達の事は遊びだったって事ですかぁ……?」
「い、いや! 3人の事は勿論好きだし素敵だと思ってる!
でも、誰かっていうのは……1人だけを特別扱いしたくないっていうか……」
「君は自分がどれだけ非誠実な事を言っているのか理解しているのかい?」
「は、はい……でも、その……」
「この後に及んで未だ言い訳するつもり!?」
「ひぃっ!?」
突然アヤ……いや、冷が丸テーブルをダンッと叩いて立ち上がった。
自分が悪い事は自覚しているし、何より滅多に声を荒らげない冷が感情を露わにしたので萎縮してしまう。
「ご、ごめ……」
「ゆら先輩、ネリアさん」
「あぁ」
「暴れないでくださいねー?」
冷の指示を受けた2人がそれぞれボクの腕に抱き着いた。……というより抑え付けた。
「ぼ、暴力は……」
「火夏」
「ひゃっ!?」
れ、冷に顎クイされてる……!?
冷とも、そして左右の2人とも顔が近くて、心臓がバクバクと早鐘を打つ。
「火夏が誰を選ぶかで私達の関係も変わってくるのは分かるわね?」
「……うん」
「だけど……それでもハッキリさせなきゃいけない。
私かゆら先輩、ネリアさんの3人の内から1人を選ばないといけない」
「……っ!」
「答えて。火夏は私達とどうなりたいの? 誰を選ぶの?」
「ぼ、ボクは……」
あぁ、どうしよう。
ボクが悪いのに
自業自得なのに
涙が出てくるなんて、ボクはなんて自分勝手なんだろう。
「ボクはっ、3人共好きで……っ! もっともっと仲良くなりたいし、コラボもいっぱいしたいと思ってる!
最低な事言ってるのは分かってる! でも1人を選ぶなんてボクには……」
「……火夏」
「っ」
「分かってたわ」
「……え?」
「どうせ貴女の事だから全員が大好きで1人なんて選べない……そう言うと思ってた」
「……うん」
「でもね、私達は火夏の事が好きで……だけど、お互いの事も好きなの。
人としても野球選手としてもVTuberとしても尊敬する人だから」
「う、うん……?」
なんだか雲行きが……
そう言えば一応は修羅場のハズなのに、この3人の間に険悪な空気は見られなかった。
寧ろ連帯感のような物すら感じ取れた。
「だからネリア達で話し合ったんです。
もし火夏先輩が誰か一人ではなくネリア達3人を選ぶなら……って」
「可愛い後輩達と色恋沙汰でギスギスした関係なんて嬉しくないからね。
ならばいっその事、私達全員で火夏を可愛いがれればってね」
「じゃ、じゃあ……ボクは3人と付き合って良いって事? その、浮気……とかにならない?」
「自惚れないで」
「ぷぎゅっ!?」
冷にほっぺを押し込まれて変な声が出てしまった。
「あんな事をしておいて恋人なんて生温い関係で収まるとは思わない事ね。
日向 火夏。貴女は今日から私達3人の共有財産になるのよ」
「……ほぇ?」
きょうゆ……共有財産って、ボクが?
「ぼ、ボクは物じゃ……」
「だから口応えできる立場じゃないでしょ。
火夏はこれから私達の支配下に入るのよ。
好きな時に可愛がって、好きな時に愛でてあげる」
「ふふ、何人もの女性を弄んだ君には相応しい末路……そうだろう?」
「さぁ、これからネリアが言う言葉を復唱してください。こしょこしょ……」
「ひぃぅ!? ぼ、ボク、 日向火夏は……涼宮 冷様、霧雨 ゆら様、ネリア・エバーグリーン様の……ぺ、ペットになり、ます……にゃあ…っ」
あぁ、恥ずかしいっ!
両腕を拘束されて、顎を持ち上げられて、正面と左右から愉悦の表情で見られて……っ
「はい言質取りましたー!」
「君達も聞こえたかな?」
「確認してみましょう」
「……ほぇ?」
かと思ったら3人はパッと離れて、テーブルの上のPCの前へと集まった。
そして冷がいくつかの操作をすると、画面に黒背景のチャット欄が表示された。
チャットはリアルタイムで流れていて、内容から察するにさっきまでのやり取りを全部聞かれてた……?
「え、ちょ、 配信してんの!?」
「えぇ。火夏の決意表明を発信する為にね」
「んふふ〜♪ これでもう逃げられませんよ、火夏先輩♡」
「火夏、これでもう君は私達の共有財産だ。
その事をよく自覚して、ペットとして振る舞ってくれ」
「え、えぇ〜〜〜〜〜〜っ⁉︎」
結局、この配信について4人揃って監督に怒られた。
それで私が得た物は……ある種の好感度。
キスの件で私3人の女性に手を出したという事で炎上しかけていた。
けれどこの配信によって自業自得とか因果応報とか……罰を受けたというイメージが広がってある程度は沈静化した。
3人共口には出さなかったけど、きっとその目的もあったんだろう。
……まぁ、キッチリ“ペット”としての役目も果たしたけどね。
アヤは意外とねちっこくて、ゆら先輩は情熱的で、ネリアちゃんはマニアックだった。
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