第16話 リベンジ
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
VVB(Virtual・Venus・Baseball)、Vtuberと女子野球が=になった世界で - 第16話 リベンジ
本文
50以上のチームと9つのリーグが存在する女子プロ野球。
ゆら先輩がその中の29チームという過半数から1位指名されるという歴史的快挙を果たしたVVBドラフト会議。
クジ引きの結果、ゆら先輩は大阪ブルーサンダーズが指名権を得てそのチームのファンは狂喜乱舞したそう。
主砲の紅蓮先輩は4球団競合の末、名古屋ジャッジメントパンサーズが指名権を獲得。
軟投派の鵺先輩はドラフト6位で京都九尾衆から指名。
今年の華月学園は3名のプロを輩出した。
来年は私も……! と意気込むけど、まずは次の試合に集中しなきゃ。
春の全国大会へ進めるかどうかの分水嶺……秋大会はもう目の前だ。
※※※※※
「只今より、秋大会のスターティングメンバーを発表する!」
監督の言葉に緊張が走る。
特待生以外の部員だと、この秋大会がアバターを得る最大のチャンスになる。
この段階でレギュラーになる人はそのまま3年生になっても実力上位である場合が殆ど。
逆に言えば、ここで選ばれないと来年も試合に出れる可能性はグンと低くなる。
だからこそ3年で初めてレギュラーに選ばれた人の喜びも段違い。そりゃ涙も流す。
「一番、ライト……五月雨 うる」
「はいっ!」
「二番、レフト……春井 美里亜」
「はーい!」
「三番、サード……ヴェアル・タムニャータ」
「……はいっ!」
その後も発表は続き……
「四番、ファースト……甘薔薇 ベルカ。
五番、キャッチャー……涼宮 冷。
六番、セカンド……みる⭐︎たす。
七番、ピッチャー……日向 火夏。
八番、ショート……ネリア・エバーグリーン。
九番、センター……天城 水月。
以上だ!」
よし……! 私とアヤ、そしてネリアちゃんと水月ちゃんも無事レギュラーだ。
ベンチは俊足の青井にピッチャーの星猫等、脇を固めるメンバーも粒揃い。
今大会から私はエースとして先発する……夏大会のリベンジを果たす時だ。
※※※※※
「ストライク、バッターアウト! ゲームセット!」
『華月学園、7対1で芦ケ谷高校に勝利! 見事決勝に駒を進めました!!』
実況の解説を背に星猫が満面の笑顔でVサイン。
明日は決勝で、点差もあるという事で万全を期す為に私は6回で降板。
後を継いだ星猫が3回を投げ切り見事勝利。
……決勝の相手はミレア学園。
夏大会で私を粉砕したベラとようやく再戦の時が来た。
※※※※※
『さぁ、いよいよ決勝! 先行、華月学園。後攻は聖ミレア学園。いよいよプレイボールです!』
「ストライーク! バッターアウッ!」
「よし……!」
試合は既に7回。
私は四球を出しつつも、要所で堪えて無失点。
けれどこっちも攻めあぐねて得点は無し。
だけど不思議と不安は無かった。
昨日早めに降板したからか今日は何時になく調子が良い。
「行ける……!」
打席に立つのはベラ。
だけどアヤのリードもキレキレで、今日は未だ無安打。
もう苦手意識は完全に払拭した。
「ふっ!」
「ストライッ!」
振り遅れてる……!
次は内角ギリギリ。
「……っ」
「ボール!」
ありゃ、外れてたか。
次は外角低めにチェンジアップ。
「くっ!」
「ストライク!」
よしよし、タイミングずらして空振り。
でも焦らない。次は高めに外してボール。
これで2ボール2ストライク。アヤのミットはトドメのインハイ。
「ふ……っ!!」
「くぁ……っ!?」
空振り三振! よしっ!!
……え?
肩に電流、が……っ
「ぐっ、ああぁあぁぁ……っ⁉︎」
い、痛いぃぃ……!? 嘘、だこれ、なにが……っ!?
「火夏っ!?」
アヤが……いや、監督やチームの皆が駆け寄ってくる。
肩が痛い……なんでっ、こんな時に……! 私はまだ投げなきゃ……っ
「日向、どうした!?」
「だ、大丈夫です。少し痛んだだけで……」
「馬鹿者、大丈夫な訳あるか! ベンチに戻るぞ」
「うぅ……」
監督に抱えられながらベンチに戻される。
……その間も鋭い痛みは治まらなかった。
「これは……無理だな。交代だ」
「監督! 私……いえ、ボクならまだ……っ」
「日向。お前の野球人生はこれからも続いていくんだ。
一時の意地で身体を壊してはいけない。
猫星、いきなりだが投げてくれるか?」
「はいっ!」
「投手陣は全員肩を作れ。残り2回、総力を持って守り抜くぞ!」
「「はいっ!!」」
「しかし日向はどうするか。私は離れられないから誰か病院に付き添いを……」
「か、監督っ」
「うん? どうした鈴木?」
マネージャーの鈴木さんが何かを監督に伝えてる……?
「……そうか。日向、現在霧雨がこちらに向かっているらしい。
中継を見て飛んで来るそうだ。霧雨に付き添いを頼む」
「あの、せめて試合が終わるまでは……」
「日向。聞き分けてくれ」
「……はい」
ホントは嫌だった。最低限この試合だけは見届けたかった。
だけど……監督の泣きそうな顔を見たら、何も言えなくなった。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。