第32話 全員集合
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あらすじ
五色の音色に囚われて - 第32話 全員集合
本文
「で、結局芽衣と海里にも手を出したって訳?」
「い、いや……! ただ仲良くなっただけだ!」
海里との決闘。そして芽衣と海里の和解を経て。
水城家御用達の医者に診察してもらい、芽衣の部屋のベッドで二人に挟まれながら就寝して。
朝食を頂きボチボチ帰るか……と思っていた矢先。
水城家に恋、玲於奈、涼音……他のメンバーもやってきて五行輪舞が勢揃い。
どうやら芽衣達が呼び寄せたらしく……また経緯も説明したので、こうして涼音に詰められている。
「私と芽衣は仲の良い友達で……」
「でも愛花ちゃんのファーストキス貰っちゃったし……それに、海里ちゃんとのモヤモヤも解消してくれた。
正直愛花ちゃんの事……大好きになっちゃった♪」
「え、メイ……愛花とキス、したの……?」
「しかもあいかの初めてっ!?」
「それは対価として……っていうか芽衣はキスなんて何回もしてるんだろ!? それで惚れるなんて……」
「そりゃキスは沢山してきたけど……ディープキスは初めてだったよ?」
「う……!?」
こんな状況なのに頬を赤らめる芽衣を不覚にも可愛いと思ってしまった。
……いやいや、今は弁明しないと……!
「海里は!? 海里こそただの友達だよな!?」
「あら? 私、愛花の事は調教してペットにしたい程度には好いていてよ?
友達から進展する恋も素敵ではなくて?」
「うぅ……!?」
二人も私の事をそういう意味で好いてくれているのか……!?
「愛花……ボクとレオのお返事は……?」
「少し時間が欲しいって言われて待ってたのに……」
「それは……ごめん。でも……っ」
「お待ちを。まだ涼音の気持ちを聞いておりませんわ」
「は? アタシの事はどうでもいいでしょ」
「では涼音は愛花争奪戦から脱落、という事で宜しくて?」
「……恋の次くらいは気に掛けてるわ」
「あらあら、それは私達よりも上、という事かしら?」
「少なくともアンタよりはね」
「ふふ、妬けてしまいますわね。ともあれ……これで五行輪舞全員が大なり小なり愛花を想ってる事が分かりました。
それを受けて……愛花はどうしますの?」
「私、は……」
「愛花……」
恋が不安そうな視線を向ける。
恋……良い子に育って反骨心が無くて、それでロックの作詞が上手く行かなくて。
だから私から不真面目を学んで、自分なりのロックを作り上げた。
自信を無くした時は励まして、それで私を好きになってくれた。
涼音……最初は恋を誑かした相手として敵視された。
でも母親が作ったシリーズのピアスを付けて、不安な時はピアスに触れて心を落ち着かせる……そんな意外と弱々しい所があって。
だけど落としたピアス探しを手伝って、心の内を打ち明けられて……そして私を認めてくれた。
玲於奈……小さくて童顔で、子供っぽい自分がコンプレックスで。
それで意地や見栄を張って、何かある度に私を頼って……助けてきた。
玲於奈は今のままでいいと思ってるんだろうか?
それとも、私とっての「一番」になりたいと思ってるんだろうか……
海里……始まりは拉致だったけど、それは仲間を想うが為で。
過去の出来事から友達を作る事を恐れて、だけど寂しがり屋だから自身の腕っぷしとカリスマで獲得した下僕を側に置いていた。
芽衣との歪な関係をどうにかしたくて、決闘して友達になって……私の事をもっと好きになりたがってる、のか?
拉致された当初から私を手中に収めたい、とは一貫して言っていた。
芽衣……ゆるふわなお姉さん然としていて。
だけど母性を持て余してて、気軽に何でもすると言ったら子供みたいにお世話をされた。
だけどその裏では海里に対する贖罪と後悔に溢れてて……だから、怖くても海里と戦えた。痛くても立ち上がれた。
それで、私を好きになってくれたのか?
一応やむを得ない事態だったとはいえ、私のファーストキスを捧げた相手でもある。
本当にみんな魅力的で、私なんかには勿体ない。
だから、だから……っ
「……ごめん」
「愛花……?」
「私には、誰か一人なんて選べない……順位なんて、付けられない……っ」
「あいか……でも、そんなの不健全よっ!」
「本当にごめん……でも、無理なんだ……!
私は、優先順位なんて付けちゃ駄目なんだ!」
「……? 愛花、アンタ何言って……」
「駄目なんだよ……! 私が誰か一人を選んだら……壊れてしまう!
私は凡人だから、皆を納得させる事が出来ないんだっ!!」
「愛花ちゃん落ち着いて! 大丈夫、大丈夫だから。ね?」
「うぅ……っ」
芽衣に抱き締められて、背中をさすられる。
少しずつ心が平穏になりつつある事を自覚する。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
「どうしたのよ、こんなに過剰反応して……」
「涼音……ごめん……」
「謝ってほしい訳じゃないわ」
「うん……」
「でしたら……」
私のせいでグチャグチャになった空気を払拭するように、海里がパンとを打って耳目を集める。
「私達の共有財産になっては? 愛花が誰かを選ぶのではなく、私達が自由に愛花を愛するのです」
「え、あ……そ、それなら……」
「ちょっと、アンタ本格的におかしいわよ!
海里の頭が狂ってるのは前からだけど、アンタはもっとまともな判断が出来るでしょう!?」
「愛花ちゃん。その答えはただ優柔不断なだけ……じゃないよね? 何か理由があるんだよね?」
「う、ん……でも……」
「愛花」
「恋……?」
「愛花はボク達の悩みを解決してくれた。助けてくれた。心に寄り添ってくれた。
今度はボクが……ううん、ボク達が愛花の力になりたい。
いったい何があったのか……話してほしい」
「ぅ、あ……っ」
恋の真っ直ぐな目に
鈴音の力強い目に
玲於奈の懸命に涙を堪えようとする目に
芽衣の優しい暖かな目に
海里の射抜くような目に
見つめられて、もう隠し切れなかった。
「……わかった。話すよ、全部……」
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