第百八十五話:風の天使 vs 「波状攻撃・6元+7元の総力戦」
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あらすじ
🏆【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~裏切られた天才軍師は愛の和音で成り上がる - 第百八十五話:風の天使 vs 「波状攻撃・6元+7元の総力戦」
本文
次の回廊は、目に見えない風の刃が無限に吹き荒れる、透明な迷宮だった。
一歩踏み出すたびに、頬や衣服が切り裂かれる。
「痛いっ! なにこれ、見えないよ!」
リベルが悲鳴を上げる。
「風を読むんだ、リベル。流れに逆らうな」
ゼファーが冷静に風を読み、安全なルートを指示する。
その迷宮の中心に、翠色の光を纏った天使が浮遊していた。
風の熾天使『セラフィム・セフィラSeraphim Sephira』。
その姿は、疾風の遊撃竜姫セフィラと瓜二つ。
だが、その翼は生物的な羽毛ではなく、鋭利な刃物のような結晶体で構成されていた。
そして何より不気味なのは、彼女が常に「クスクス」と笑うような風切り音を立てていることだった。
「ヒャハッ……自由……削除……ヒャハハ……」
壊れたレコードのように繰り返される笑い声。それはセフィラの持つ「無邪気さ」を、狂気へと反転させたような姿だった。
「な、なによアレ……! ボクの顔で、あんな気持ち悪い笑い方しないでよ!」
セフィラが鳥肌を立てて叫ぶ。
その時、セフィラの娘リベルが、無邪気に指を差した。
「あ! ママ、見て! あのお姉ちゃん、ママより胸が大きいよ?」
「……は?」
セフィラの動きが止まる。
全員の視線が、セラフィム・セフィラの胸元に集中する。確かに、本物よりもボリュームがあるように見えた(神の悪意あるデザインか、単なる誤差か)。
「えっ!? ちょっと待って、そんなところまでコピー……いや、盛ったの!? 神様、性格悪すぎでしょ!!」
セフィラの顔が真っ赤になる。羞恥心と怒りが混ざり合い、彼女の魔力が爆発的に膨れ上がった。
「許せない……! ボクの自由も、スタイルも、全部バカにしてる! ぶっ飛ばしてやるーッ!!」
『フン。どうやら神は、貴様らのコンプレックスを刺激するのがお好きなようだ』
カインの声が呆れたように響く。
「黙っててよ、カイン! ……みんな、行くよ! あの偽物を、風の彼方へ吹き飛ばす!」
セラフィム・セフィラが翼を広げると、空間そのものが鎌鼬(かまいたち)となってヒカルたちを襲った。
不可視の斬撃。避ける場所などない。
「テラ! ソイル! 防御を!」
「はいっ!」
◇◆◇◆◇
第1波:暗黒重圧ブラックホール・プレス(ユニゾン)
「風には、逃げ場のない『圧力』で対抗する! ヴァルキリア! ミスティ! 闇で空間を閉鎖しろ!」
ヒカルが叫ぶ。
ユニゾン参加メンバー(女性のみ): ヴァルキリア(闇)、ミスティ(闇)、テラ(土)、ソイル(土)、アクア(水)、シズク(水)。
ヴァルキリアが冷徹に前に出る。
「調子に乗るなよ、風の模造品。……闇に沈め」
ミスティも静かに手をかざす。
「……逃がさない」
テラとソイルが、四方から岩壁を隆起させ、風の逃げ道を塞ぐ。
アクアとシズクが、その隙間を水で密閉する。
そして、ヴァルキリアとミスティの闇が、内部の空間を侵食し、重力崩壊を引き起こす。
ヴァルキリアのティンパニ(闇)が、重苦しいリズムを刻む。そこにテラのコントラバス(土)とアクアのクラリネット(水)が絡み合い、息苦しいほどの閉塞感(密室の音楽)を作り出す。
「6元ユニゾン――『暗黒重圧ブラックホール・プレス』!!」
セラフィム・セフィラの周囲の空間が、闇によって圧縮される。
風が止まる。いや、動く場所を失い、自らのエネルギーで自壊し始める。
「ヒャ……ガッ……!?」
◇◆◇◆◇
第2波:物理拘束(連携技)
『圧縮された空間に、物理的な楔(くさび)を打ち込め! 動きを完全に封じるのだ!』
「シェイド! シリウス! クロノス! 今だ!」
連携技参加メンバーに選ばれたのは、シェイド(闇/技術)、シリウス(炎/水)、クロノス(闇)。
シェイドが影から飛び出し、特殊な魔導杭を天使の翼に打ち込む。
「影縫い・改!」
クロノスがそれに続き、闇の鎖で手足を拘束する。
「動くな!」
シリウスが蒸気を噴射し、加速した剣撃で装甲の継ぎ目を破壊する。
「これで終わりだ!」
ガギンッ!!
セラフィム・セフィラは、闇と物理的な鎖によって、空中に張り付けにされた。
◇◆◇◆◇
第3波:空間焼却スペース・イグニッション(ユニゾン)
「とどめよ! セフィラ! 自分自身(の偽物)を、貴女の風で葬り去りなさい!」
レヴィアが叫ぶ。
「うん! バイバイ、偽物のボク! ……む、胸のサイズなんか、羨ましくなんかないもん!」
セフィラが涙目で叫びながら、最大級の風魔力を練り上げる。
ユニゾン参加メンバーは、7人。セフィラ(風)、リベル(風)、レヴィア(炎)、ノア(炎)、ルーナ(光)、アルテミス(光)、マリン(水)だ。
セフィラとリベルの風が、圧縮された空間に「酸素」を送り込む。
そこに、レヴィアとノアの炎が点火される。
ルーナとアルテミスの光が、その爆発エネルギーを浄化の光へと変換し、マリンの水が蒸気爆発を誘発する。
セフィラのフルート(風)が高らかに鳴り響き、レヴィアのトランペット(炎)とルーナのホルン(光)が重なる。それは、自由を讃える「解放のファンファーレ」だ。
「7元ユニゾン――『空間焼却スペース・イグニッション』!!」
ドッゴォォォォォン!!!!!
閉鎖空間の中で、超高熱の嵐が吹き荒れる。
セラフィム・セフィラの「笑い声」は、断末魔の悲鳴へと変わり、やがて光の中で消滅した。
「セラフィム・セフィラ、消滅確認!」
ゼファーが報告する。
「ふんだ! 偽物がボクに勝てるわけないじゃん!」
セフィラは腰に手を当てて胸を張るが、まだ少し根に持っているようだ。
リベルが駆け寄り、母の足に抱きつく。
「ママかっこよかった! あとね。ママのお胸、リベル大好きだよ!」
「ううっ……リベル~! いい子だねぇ~!」
セフィラは娘を抱きしめ、大げさに泣き崩れた。
その様子を見ていたユリウスが、ふと疑問を口にする。
「それにしても……なぜ神は、一体ずつ刺客を送ってくるんでしょう? 連携して襲いかかってくれば、もっと苦戦したはずなのに」
「その辺が、融通のきかないシステムっぽいわよね。ほら、アクアみたいに」
レヴィアが勝ち誇ったように言い放つ。
「なんですって!? 私はもう少し柔軟です! 計算式にだって遊び心は入れますわ!」
アクアが眼鏡をずらしながら肩を震わせた。
「はいはい、わかったわよ。仕返し、仕返し~~。おあいこよ!!」
その光景を見ていたゼファーがシエルに話しかけた。
「……このような戦局にあっても、王妃様たちに笑いがあるというのはすごいことですね」
「ええ。それこそが、王が守りたかった『強さ』の根源なのかもしれません」
シエルは、騒がしい家族のような一行を、ややあきれつつも温かい目で見つめていた。
「さて、と。残るは、光と闇か……」
ヒカルは、回廊の奥を見つめる。
そこには、これまでとは違う、神々しくも禍々しい気配が漂っていた。
「そうですわね。次は……きっと私の番ですね」
ルーナが静かに前に出る。
その表情には、慈愛と、そして悲壮な覚悟が宿っていた。
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