第5話:白ブラウスの悲劇と、鉄壁の守り
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
地味子に擬態して童貞紳士を狙ったら、彼の理性が鉄壁すぎてご飯(精気)が食べられません! ~誘惑したい初心者サキュバス vs 守りたい最強の紳士~ - 第5話:白ブラウスの悲劇と、鉄壁の守り
本文
ショッピングモールの婦人服売り場。
華やかなマネキンが並ぶ中、私はまるで連行される宇宙人のように、ケンジさんに手を引かれていた。
「ここなら安心だ。リリさんには、もっとふんわりした、優しい服が似合うから」
ケンジさんは真剣な眼差しで、ハンガーラックを物色している。
彼が手に取るのは、露出度ゼロの服ばかり。
ロングスカート、タートルネック、そして……。
「これだ。この白のブラウス、清潔感があっていいと思うよ」
渡されたのは、お嬢様学校の制服のような、純白のブラウスだった。
確かに可愛い。可愛いけれど……。
(これでサキュバスとしての威厳はゼロになっちゃう……)
私は渋々、試着室へと入った。
カーテンを閉め、あの恥ずかしすぎる「胸開きニット」を脱ぐ。
鏡の前には、勝負下着(黒レースの透け透け&紐パン)姿の私が残る。
虚しい。とてつもなく虚しい。
私はため息をつきながら、渡された白ブラウスに袖を通した。
ボタンを首元までしっかり留める。
「……着ましたけど」
「お、開けるよ?」
シャッ、とカーテンが開く。
ケンジさんが期待に満ちた顔で私を見た。
その瞬間、彼の表情が「爽やか」から「驚愕」、そして「真っ赤」へと変化した。
「――ッ!!?」
え? 何?
私は自分の姿を鏡で確認した。そして、悲鳴を上げそうになった。
――透けてる。
ブラウスの生地が薄手だったのと、あまりにも純白すぎたせいで、下に履いている「ドス黒い淫靡なレース」の模様が、くっきりと浮き上がっていたのだ。
清楚な白の中に浮かぶ、背徳的な黒。
それは、露出するよりも遥かに扇情的で、いやらしい光景だった。
(うわぁぁぁ! 計算外! これじゃ清楚どころか、誘ってるみたいじゃん!)
いや、待てよ?
これはチャンスかもしれない。
この「チラリズム」こそが、奥手なケンジさんの性癖に刺さるのでは!?
「あの、ケンジさん……これ、どうですか……?」
私は恥じらいを含んで、上目遣いで聞いてみた。
さあ、どうする? 興奮して押し倒す?
バッ!!!!
「だ、ダメだぁぁぁッ!!」
ケンジさんは叫びながら、試着室のカーテンを勢いよく閉め直した。
「リ、リリさん! それはダメだ! 刺激が強すぎる!」
「えっ、あ、はい(やっぱりダメかぁ……)」
「そんな……中身が丸見えなんて……君の清らかな体が……!」
カーテンの向こうで、ケンジさんがブツブツと独り言を言っている。
そして数分後。
再びカーテンの隙間から、ニュッと新しい服が差し出された。
「……これに着替えて」
手渡されたのは、厚手のグレーのパーカー(裏起毛)と、デニムのロングスカートだった。
もはや「清楚」ですらない。「完全防備」だ。
「これなら……絶対に透けないし、体のラインも出ないから安心だよ」
「あ、はい……ありがとうございます……」
私は泣く泣く着替えた。
鏡に映ったのは、少し小綺麗になっただけの、いつもの「芋っぽい私」だった。
黒レースの勝負下着は、分厚い裏起毛の下で完全に封印された。
試着室を出ると、ケンジさんは満足そうに頷いた。
「うん、すごくいい! リリさんらしくて安心するよ」
「そ、そうですか……あはは……」
彼の笑顔が眩しい。
でも、私のお腹は限界だ。
露出作戦も失敗。透け透け作戦も失敗。
このままでは、私は「安心安全な女友達」として、健全に餓死してしまう!
(もう……こうなったら……)
レジに向かう彼の背中を見つめながら、私は最後の手段を覚悟した。
小手先のテクニックじゃダメだ。
次はもう、力づくで――いや、もっと直接的な「ハプニング」を起こすしかない……!
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