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第40話:解き放たれた本能と、愛の千本ノック

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

あらすじ

地味子に擬態して童貞紳士を狙ったら、彼の理性が鉄壁すぎてご飯(精気)が食べられません! ~誘惑したい初心者サキュバス vs 守りたい最強の紳士~ - 第40話:解き放たれた本能と、愛の千本ノック

本文

正体を明かした夜から、数日が経った。

 私たちの新居生活は、劇的に変化していた。

「ん〜っ! 開放感最高〜っ!」

 リビングで、私は思い切り羽を伸ばしていた(物理的に)。

 Tシャツの背中には、羽を通すための穴を開けた特注仕様。

 尻尾はソファの背もたれに巻き付け、パタパタと動かしている。

 もう、縮こまって隠す必要はない。

「あはは、尻尾がご機嫌だね。コーヒー淹れたよ」

「あ、ありがとうございます♡」

 ケンジさんがマグカップを置いてくれる。

 彼は私の角や羽を見ても、もう驚かない。むしろ「今日の羽艶はいいね」なんて褒めてくれる。

 最高の旦那様だ。

「……ねえ、ケンジさん」

「ん?」

「私たち、ずっと一緒にいるんですよね」

「もちろん。結婚しようって約束したじゃないか」

 そう、私たちは事実上の婚約状態だ。

 となると、次に考えるのは……。

「私……ケンジさんとの赤ちゃんが欲しいです」

 私が上目遣いで言うと、ケンジさんは顔を赤らめ、嬉しそうに頷いた。

「僕もだよ。リリさんに似た、可愛い子が生まれたら最高だね」

「でも……問題があるんです」

 私は少し声を潜めた。

「人間とサキュバスの間に子供ができる確率は、ものすごく低いんです。種族の壁があって……奇跡に近い確率じゃないと、授からないって言われてて」

「えっ、そうなのか……」

 ケンジさんの顔が曇る。

 でも、私はニヤリと笑った。

「だから! 確率を上げる方法は一つしかありません!」

「ほ、方法って?」

「数です」

 私はビシッと人差し指を立てた。

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦です! 来る日も来る日も、朝も夜も、ひたすら愛し合って確率を積み上げるしかないんです!」

「えぇっ!? ま、毎日!?」

「はい! サキュバスの体力は無限ですし、私の精気タンク(ケンジさん)があれば可能です! ……協力してくれますよね?」

 私は尻尾でケンジさんの腰を絡め取り、グイッと引き寄せた。

 ケンジさんは驚いていたが、すぐに覚悟を決めたような、男らしい顔になった。

「……分かった。リリさんとの未来のためなら、僕の体力が続く限り頑張るよ」

「言いましたね? もう逃がしませんよ?」

 ガバッ。

 私は彼をキングサイズのベッドへ押し倒した。

「いただきまーす♡」

「うわっ、リリさん、まだ昼間だよ!?」

「関係ありません! 妊活です!」

 ――それからというもの。

 我が家では毎晩(時には毎朝)、熱い「愛の儀式」が繰り広げられることになった。

 人間界の栄養ドリンクや、精力剤(魔界通販含む)が常備され、ケンジさんは日に日に逞しく(そして少しやつれ気味に?)なっていく。

 でも、その顔はいつも幸せそうだ。

 秘密のアプリから始まった、人間とサキュバスの恋。

 すれ違い、ライバルの妨害、正体の暴露……いろんな壁を乗り越えて、私たちは今、最強のパートナーになった。

 いつか可愛い「ハーフの赤ちゃん」が生まれるその日まで。

 私の「ごちそうさま」の声と、ケンジさんの幸せな悲鳴は、新居に響き続けるのだった。

(Fin)

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りくりな

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