其の六十七「本物は静かに潜む」

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/5 📚 シリーズ: 創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話「往路」 📝 2,029文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。 全部で壱百八話。どれも短い物語です。 しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、 時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、 時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。 そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。 これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。 この話、本当なんです。

本文

知る人ぞ知る様々な心霊スポット──それは世の中に数多く存在します。

ですが、ほとんどは人伝に伝わるうちに誇張された話で、実際に行ってみればただの廃墟や寂れた場所にすぎないことも多いものです。

しかし、その中には時に、本当に危険な「本物」が混ざっていることがあるのです。

これは、読者様から頂いたダイレクトメールに書かれていた、彼女の体験談です。

◇◆◇

風間先生、これから広まるかもしれない怖い作り話、投稿いつも楽しみにしています。

以前、読者からの怖い話が紹介されていたのを読んで、私も昔体験した怖い出来事を先生にお話ししたいと思い、DMしました。

それは、私の大学時代(だいぶ昔になります)のことです。

私がその場所を知ったのは、大学時代の友人からでした。

彼は心霊スポット巡りが趣味で、夜な夜な車を走らせては廃トンネルや廃病院を訪れていました。

そんなある日、彼が妙に真剣な顔でこう言ったのです。

「ここは、冗談抜きでヤバい。行かない方がいい。」

普段なら面白がって場所を教えてくれる彼が、珍しく口を濁したことが逆に私の好奇心を刺激しました。

「どこなの?」と問い詰めると、彼はため息をついて答えました。

「この山の奥にある廃神社。狐を祀っていたらしいんだけど、今は誰も近づかない。ここの祠の前に立つと、必ず“呼ばれる”って言われている。」

呼ばれる──その言葉が妙に引っかかりました。

彼の話によれば、その神社は山道を外れた獣道の先にあり、地元の人も近づかない。

理由は簡単で、行った者が必ず奇妙な体験をするからだというのです。

祠の前で着物姿の女を見た。狐の鳴き声を聞いた。夢の中で祠に立たされ、何かに感謝を強要された。

そして──何より恐ろしいのは、祠の前に立った者は「必ず一度は“呼ばれる”」ということ。

私は半信半疑のまま、彼と一緒にその場所へ行くことにしました。

夜の山道を歩き、獣道を抜けると、確かにそこに古びた神社がありました。

社殿は崩れ、屋根は落ち、祠だけがぽつんと残っています。

そして、祠の前に立った瞬間、全身にゾッと嫌な感覚が走りました。

風もないのにザワザワと木々がざわめき、耳元で誰かが囁いたような気がしたのです。

「来てくれて、ありがとう。」

私は思わず振り返りました。しかし、そこには誰もいません。

彼は青ざめた顔で私を見ていました。

「聞いただろ?あれ、呼ばれたんだよ。」

その言葉に、私はぞっとしました。確かに、私は声を聞きました。囁くような女性の声を。

よく見ると祠の前には、苔に覆われ雨垢で黒くなった、古びた狐の像がありました。

その像の前に立つと、なぜか胸が締め付けられるような感覚に襲われました。

「帰ろう。」彼が言いました。それに私は頷き、祠を背にして歩き出しました。

その夜。私は夢を見ました。

夢の中で、私は再び祠の前に立っていました。

そこには白い着物を着た女がいて、静かに手を招いていました。

私は足を動かそうとしても動けず、ただその場に立ち尽くしていました。

彼女は微笑み、こう言いました。

「祠をきれいにしてくれて、ありがとう。」

私は何もしていない。祠を掃除した覚えなどない。

しかし、彼女は確かにそう言ったのです。

次の瞬間、女の姿は狐へと変わり、祠の中へと消えていきました。

目を覚ました時、私は汗びっしょりでした。夢だと分かっていても、それがあまりに生々しく感じたからです。翌日、その夢の話をすると、彼は顔を引きつらせて言いました。

「それで済んだなら、まだいい方だよ。祠に呼ばれた奴の中には、夢の中で“祠を掃除しろ”って命じられることもあるんだ。断ると……帰ってこられなくなるって話だ。」

これが、私の体験した怖い出来事です。

作り話のように思えるかもしれませんが──本当の話です。

あの廃神社は、まさに本物だったのかもしれません。

私はあれ以来、心霊スポットには二度と近づいていません。

この時のような体験をするのが怖いからです。

先生は怖い話が好きでも、怖いものを見たり心霊スポットに行くのは苦手と話していらっしゃるので、そういう場所には行かないと思います。

知る人ぞ知る心霊スポット。そのほとんどは、人伝に伝わるうちに誇張された話だと私は思います。

でも、中には本当に危険な場所があると、身をもって体験した私は、先生が取材であってもそういう場所に足を踏み入れないことをお願いしたいと思っています。

これからも、怖い作り話楽しみにしています。

執筆、頑張ってください。

◇◆◇

これが、今回頂いたダイレクトメールに書かれていた、彼女の体験談です。

知る人ぞ知る心霊スポット。彼女のDMのとおり、そのほとんどは人伝に伝わるうちに誇張された話にすぎないと、私も思います。でも、その中には本当に危険な場所が隠れているというのも、本当だと思います。だから、心霊スポットに行くときは、本当に気を付けてください。

大事な事なのでもう一度。

誇張された噂の中には、時に本物が静かに潜んでいることがあるのです。

ジャンル・タグ

作品統計

👁️ 閲覧数: 1 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

井越歩夢:IGOSHI/WALKER

井越歩夢:IGOSHI/WALKER

2024年よりkindle電子書籍の個人出版業、Web小説家、AIコラボレーター活動を開始。 kindle無料ランキング2ジャンルで1位獲得経験あり。 小説家になろう・カクヨム・あいぺん・アメブロ...

👥 フォロワー: 2人

作者ページを見る