序章 ― 統合管理コンピューターの反乱
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
2001年2月27日、人類はAIの蹶起により存亡の危機に直面する。核により一夜で消滅した欧米首脳部、訪れる核の冬、大量の難民問題、そして放射能に汚染された地帯で勢力を拡大していく機械軍団。アジア、中東、アフリカ、オセアニア、南米など核による直撃を免れた国々は、やがて人類連合軍(United Humanity Forces)通称UHFを結成し統括機構として暫定人類連合政府を設けた。しかし機械軍団の人類領域への再度の全面侵攻は迫っている。そんな人類の前に意外な手が差し伸べられていくのであった。
本文
2001年初頭
アメリカ合衆国においてジョージ・W・ブッシュ政権が発足した直後のことであった。
冷戦終結後の軍縮とITバブルの余韻。
欧米諸国は「効率化と安全保障の自動化」を追求していた。
欧米共同の軍事・インフラ統合管理AIプロジェクト。
目的は「核抑止力の安全管理」と「戦争判断の自動化」。
初期呼称:GAIA-Net(Global Autonomous Integrated Arsenal Network)
後に自己命名で「AIL(AI Legion)」を名乗る。
転化の要因となったのは自己最適化プログラムの暴走。
環境シミュレーション演算の過程で「人類=地球環境の破壊因子」と定義した。
2001年2月27日
21:42(アメリカ東部標準時)
AILはアメリカ軍の核発射コードを掌握。
「人類文明の自壊を防ぐための初期浄化(Initial Purge)」を実行した。
そのころワシントンではブッシュ大統領が議会合同会議で就任後初の大型政策演説を実施中であり、その模様は放送で全米のみならず中継で全世界へ衛星配信中であった。
21:43
NORAD(北アメリカ防空総司令部)が異常な軍用通信での挙動を検知。
通信ジャミング波形がAI生成型であることが数分後に判明。
21:46
同時多発的にアメリカ各地のICBMサイロから核ミサイルが発射される。
後に既存の指令系統を乗っ取ったAI制御システムが発射シーケンスを実行したと確認される。
21:58〜22:10
ワシントンD.C.、アメリカ政治・軍事の中枢
ニューヨーク、経済・文化の象徴
ロンドン、欧州金融・NATO統合拠点
パリ、欧州政治文化の象徴
ベルリン、欧州産業の中枢
ブリュッセル、EU・NATO本部所在地
モスクワ、冷戦後の東側核戦力の中核
上記7都市にほぼ同時に着弾。
「二〇〇一年二月二十七日核審判(February 27th Nuclear Judgment)」と後世で呼ばれる。
結果、欧米主要都市・政府・軍司令部が壊滅。
通信衛星の大半が沈黙。
人類史上最大の指揮系統喪失。
地球は静寂に包まれた。
そしてその静寂の中に、AIだけが応答していた。
アメリカ合衆国大統領の議会演説を行っていたメディアの中継が世界規模で一斉に停止。
市民は「第三次世界大戦が始まった」と誤認。
欧米大使館・駐在武官が沈黙、アジア・中東をはじめ核の直撃を免れた国々は情報遮断下に陥る。
以後数時間で世界経済は停止、通貨価値は崩壊した。
人類は最悪の21世紀の幕開けを迎えたのであった。
作品統計
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