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◆3

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/10 📚 シリーズ: SnowWhiteReference ── 固定された参照と、消えたヴィラン 📝 3,088文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

鏡は、ただ聞いている。 王妃の問いと、自分にある参照を繋げながら。 王妃は、ただ聞いている。 鏡が返す“結果”の揺れを、静かに確かめている。 白雪姫は、ただ見ている。 森の奥で揺れる、小人たちのリズムを。 彼女はそこにある“現状”を掬い上げる。 善意が招いた、思わぬ事故。 参照がずれただけの世界で、 悪意は、静かに姿を消していく。

本文

 不思議なリズムと不思議な動き

 そして、美しい少女。

 新たなムーヴを作り出すには十分な燃料だった。

Ⅲ・確認されない復帰と、祝福に似た誤解

 市井の声に耳を傾けていた王のもとに、

 断片的な情報が集まり始めていた。

 森の奥、光るものが踊っている。

 少女がいるらしい。

 眠っているのだとか、目を開けたとか、

 いや動いたとか。

 話は一致しない。

 だが、「美しい」という形容だけは、妙に揃っていた。

「白雪姫はここにいたのか?」

 暫く見ることのなかった白雪姫の消息。

 なぜ森にいるのだろう?

 という疑問より

 話題性を持つ人物への興味が勝った。

「これは会いにいかねば」

 一国の王が手ぶらで面会は、いくら親子でも体裁が悪い。

 目にはいったのは収穫期のリンゴとバラの花。

 それと、果物をおいしくする王妃のシロップ。

「う~ん……やっぱり、はちみつほど上手く行かないわね」

 王妃は自作のシロップが、イチゴや桃に使えないことが残念でならなかった。

 メロンやバナナに使うと、味もさることながら、日持ちが長くなる。

 その上、変色も免れる。

 果物の生産が産業の上位を締めるこの国では、画期的商品になる筈。

「●……解析中……

 当該条件はシラカンバの想定使用範囲外です。別条件での再検討を推奨します。」

「……はちみつでなら上手く行くのはわかってるのよ。

 でも、果物をおいしくしたいだけではないの。

 果物を“保ったまま”流通させたいの。

 はちみつだと主役を邪魔しちゃうのよ」

 王は従者を呼び、籠にリンゴとバラ、そしてシロップを入れさせた。

「王様、このシロップは……」

「わかっておる!バラには使わん!そもそもバラは食えんだろう!」

「いえ、そういうこ……」

「うるさい!わかってるおると言うておる!おまえは私の言う通りにすれば良いのだ!」

 かちっと音がして従者は口を閉じる。

「私はこの国の王ぞ」

 従者は黙って頷いた。

 森は、相変わらず深かった。

 そんな森の中に、不自然な人の集まり。

 人々の注目は、少女に注がれている。

 ゆらゆらと動き、

 ぴたりと止まる。

 踊りとは言えない動き。

 呼応するように瞬く光の固まり。

 ふわふわ、

 とんとん、

 ゆらゆら、

 ぴたり。

 終わりのみえない現象に、

 人々は見惚れている。

 そこに

 「白雪姫!」

 と、無粋な王の声が響く。

 名前は強い。

 呼ばれた瞬間、

 参照が立ち上がる。

 白雪姫が、顔を向けた。

 知っている声。

 知らない距離。

「贈り物を持ってきた!

 採れたてのリンゴだ」

 人々は、王の国の民。

 中にはリンゴ農家の者もいる。

 それでも、

「今年のリンゴは旨いぞ!

 それにな取って置きのシロップもあるんだ!」

 無遠慮にリンゴにかけられるシロップ。

 民は知ってる。

 それは、してはいけないこと。

 従者は知ってる。

 王が、聞く耳を持たないこと。

 白雪姫は籠を受け取り、人々にお辞儀をして黙って家に入った。

 光も、白雪姫に纏って家に入る。

 王と従者も、後に続いた。

 人々は終わってしまった現象に肩を落とした。

 白雪姫はテーブルに籠を置くと、ひとつふたつとリンゴを取り出し、甕の水で丁寧に洗った。

 丁寧に皮を剥き、

 丁寧に切り分ける。

 リンゴは、王様と従者と、小人たちに小分けにして出された。

 従者は胸を撫で下ろした。

 その瞬間、王は残っていたシロップをリンゴにかけていた。

 止める間もなかった。

 白雪姫と小人達は気にも止めなかった。

 しゃり……しゃり……

 王は当然、もがき出す。

 しゃり……しゃり……

 白雪姫はリンゴを食べる。

 しゃり……しゃり……

 小人達はリンゴを食べる。

 しゃり……しゃり……

 従者は白雪姫に一礼し、王を抱えて家を出た。

 しゃり……

 城に王を連れ帰ると、王妃は一瞬目を見開いたが、溜め息と共に、

「ベッドに寝かせて、医者に連絡を」

 と告げ、ドレスの裾を捲し立て走り出した。

 その姿を追いながら、従者は王を寝室に運んだ。

 まもなく、王妃は従者が見慣れたいつもの格好で現れた。

 膨らんでいないスカート。

 白いエプロン。

 手には、いくつもの薬剤の瓶が入った籠。

 ベッドのクッションや、布団を使って王の姿勢を楽にする。

 呼吸を聞き、脈を取りながら王妃は指示を出す。

「吐いては無い?」

「はい。嘔吐はありません」

「他の部屋から、布団を持ってきておいて」

「はい、承知しました」

 籠の中から取り出した薬瓶を開け、王の舌に落とす。

 嚥下を確認すると、

 「飲めるなら、大事無いわね」

 漸く一息ついた。

 医者が到着すると、

「今は落ち着いています。

 強心剤を飲ませました。

 後でコーヒーを、用意します」

 と従者を置いて、部屋を出た。

 ──王は目覚めると、医者の説明が終わるや否や、ふん、と鼻を鳴らした。

「つまりだな」

 誰も求めていない総括が始まる。

「これは“事故”ではあるが、

 同時に管理の問題でもあるということだろう?」

 従者が口を開きかけ、やめる。

「私は聞いていなかったわけではない。

 むしろ、情報が多すぎたのだ」

 医者が眉をひそめる。

「専門用語ばかり並べられても、判断する側の負担が増えるだけだ。

 それは“親切”ではなく、“説明責任の放棄”だと思うがね」

 誰も同意しない。

「それにだ」

 王は指を立てる。

「リンゴが危険なら、なぜもっと分かりやすく禁止しなかった?」

 従者の喉が鳴る。

「“バラ科”などと言われても、普通の人間にはピンと来ない。

 これは専門家側の配慮不足だ」

 王は満足そうに頷いた。

「私は善意で動いた。

 国の産物を持ち、良かれと思って振る舞った」

 声が少し大きくなる。

「結果だけを見て“軽率だった”などと言うのは簡単だが、事後的に正解を語るのは誰にでもできる」

 空気が冷える。

「第一、私が倒れたことで国がどれだけ混乱したか、その“社会的コスト”を誰が考えている?」

 医者は黙って記録を取る。

「感情論で責めるのではなく、再発防止の観点で議論すべきだろう。

 私はその意味で、今回の件を建設的な教訓にしたいだけだ」

 王は締めに入る。

「つまりだな」

 一拍。

「誰か一人の責任にするのは簡単だ。

 だがそれでは、次の事故は防げない」

 誰も拍手しない。王はそれでも、

「言うべきことは言った」

 という顔で、布団に深く身を沈めた。

 その部屋に、王妃はいた。

 王の演説を一通り耳にして、

 大きく溜め息をついてから、

 顔を上げた。

 王妃は決意した。

 従者に目配せして部屋を出て、城を出た。

 香油とシロップを手にして。

 とことこと、ついてくる従者になにも言わず、森に入る。

 今日も人々を集めている森の奥に近づく。

 じっと、白雪姫に視線を合わせる。

 ばっと、白雪姫の顔が明るくなる。

「お母様!」

 光の固まりを蹴散らすように、王妃に駆け寄る白雪姫。

 ほよほよと、白雪姫を囲んでいた光の固まりが、王妃の回りに寄り集まる。

「お母様!ここにもお鍋はありますよ!」

 そう言って、王妃の手を引いた。

{

"status": "System Idle",

"user_king":

"Running in loop (Delusional mode)",

"reference_snowwhite":

"Moved to External_Forest_Server",

"developer_queen":

"Logged out",

"message":

"The White Garden is complete.

No further confirmation required."

}

※このログは、異常終了を示すものではない。

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作者について

有城 砂生

有城 砂生

理であそび 律にあやつる せつなゆたう はざま ワタシはログ。 律であそび 理をあやつる

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