第十章「過去も未来も、いつまでも」
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
たまたま拾った一本の指輪。 それが、世界を救う “始まり”だった。 人と不思議な生物〈ユニオン〉が共に生きる世界。 指輪〈ユニオンリング〉に選ばれた少年・明道ヤマトは、 未来から来た少女アスカ、そして孤独な青年リョウガと出会う。 炎、風、時―― 相棒と心を重ね、戦い、別れ、そして再び巡る運命。 これは、 「相棒との絆」が、神さえも超える物語。 ――たまたま拾った指輪で、世界を救う物語。
本文
――戦いの終わった宇宙は、
静かだった。
星々が穏やかに瞬き、
かつて戦火に染まった銀河には、
もう傷跡ひとつ残っていない。
ユニオン・アーク号は、
ゆっくりと軌道を進んでいた。
船内では、久しぶりに
“笑い声”
が響いている。
⸻
「本当に……終わったんだね。」
アスカが小さく呟いた。
「……ああ。」
ヤマトは窓の外を見つめる。
そこには、どこまでも広がる
“生きている宇宙”があった。
「もう、ノアもデスドムもいない。
だけど、オレたちの中には、
ちゃんと残ってる。
戦いの意味も、命の重さも――
全部。」
アスカが静かに微笑んだ。
「それが、
“未来を繋ぐ”
ってことなのね。」
彼女の髪が風に揺れる。
それは、ミラが最後に残した風だった。
⸻
操縦席では、
リョウガが珍しく穏やかな顔をしていた。
「……皮肉なもんだな。」
「何が?」
とレオンが訊く。
「俺たちは敵だった。
でも今は……同じ空を見てる。
戦って、失って、ようやく
“信じる”
ってことを知った。」
レオンは微笑む。
「そうやって人は、強くなっていくんだ。」
『にゃっは~!
まるでおっさんの人生語りにゃ!』
スターキャットが
のんびり伸びをして笑う。
その瞬間スターキャットは
元のダッシュに戻ってしまった。
「え!?ダッシュ!?
元の姿になっちゃったのか?」
「そうみたいにゃ……
戦いが終わって
星の力がなくなったみたいだにゃ」
「そっか……
それはそれで少し寂しいかもな……」
『でもにゃ……
やっぱ平和が一番にゃ。
ヤマトと一緒にゴロゴロできるにゃ~。』
「おい、誰がそんなこと言った!」
ヤマトが苦笑しながら
頭を軽くはたく。
『にゃはは!
オレ、神様級の功労者にゃ!?
敬えにゃ!!』
みんなの笑い声が、
静かな宇宙に響いた。
⸻
やがて――
アーク号がユニオンワールドへ帰還する。
かつて戦いの舞台となった星は、
今では花々と緑で覆われていた。
子どもたちが笑い、
ユニオンたちが
その周りを飛び回っている。
サクラが港でヤマトを迎える。
「……帰ってきたのね。」
「ただいま、姉ちゃん。」
彼女は涙を堪えきれず、
弟を抱きしめた。
「もう、
あんたはどこまで大きくなるの……!」
ヤマトは微笑みながら、
姉の背中を優しく叩いた。
「……オレは、もう迷わない。
拾った指輪から始まったこの旅で、やっと
“自分の生き方”
を見つけたんだ。」
⸻
そして、夕暮れ。
丘の上に立つヤマトと
アスカ、そしてリョウガ。
空には、沈みかけた太陽が
金色に輝いている。
「アスカ……もう帰るんだな。」
ヤマトの声は、少しだけ寂しげだった。
「うん。未来が呼んでるの。」
アスカは微笑む。
「でもね、きっとまた会える。
風が吹く限り、
あなたたちの世界は続いていくから。」
リョウガも歩み寄る。
「……今回だけは、素直に礼を言う。
ありがとう、ヤマト。」
「お前が言うと、なんか変な感じだな。」
「うるさい。」
リョウガは照れ隠しに拳を軽くぶつける。
ヤマトも拳を返した。
「……またな、リョウガ。」
⸻
アスカとリョウガが
未来転送ゲートの中に立つ。
風が巻き起こり、彼女の髪が揺れる。
「ヤマト!」
「ん?」
「あなたの風は、もう止まらない!
これからも、どんな未来でも――
“信じる”
ことを忘れないで!」
ヤマトは力強く頷いた。
「約束する!」
二人の姿が光に包まれ、消える。
⸻
静かな夜。
丘の上で、ヤマトは
ひとり空を見上げていた。
隣では、
ダッシュキャットが丸くなって眠っている。
風が吹き、リングが淡く光った。
「……この指輪が、
全部の始まりだったんだな。」
ヤマトはリングを掲げ、
夜空の星を見つめた。
そこには、ミラのような光が瞬いている。
「ありがとう、みんな。
オレたちの物語は、ここからも続く。
過去も、未来も、いつまでも――」
風が頬を撫で、
どこからか懐かしい声が聞こえた。
『……ヤマト。風が吹いてるね。』
「――ああ、聞こえてるよ。
ミラ。」
星空が微笑んだように輝いた。
そして、世界は再び静かに、
優しく息をした。
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