第4章 山へ戻る人間
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
世界は終わらない。 ただ、「止まらない」という前提が消えていく。 石油供給の揺らぎは、都市の機能を徐々に鈍らせた。 電車は遅れ、物流は滞り、棚は埋まらなくなる。 それでも社会は維持されているように見える。 だが、その維持には限界がある。 人は移動し、場所を選び、やがて線を引く。 内側に入る者。 外側に残る者。 その境界は、善悪ではなく「持続」のために存在する。 これは、終末の物語ではない。 持続のために切り捨てることを選び始めた世界の記録である。
本文
※本作はAI生成を含みます。
神代の朝は、ゆっくり始まる。
高瀬 恒一は、井戸のそばに立っていた。ポンプを押す。二度、三度。やがて水が音を立てて現れる。
冷たい。その冷たさが、はっきりと体に残る。
東京にいた頃は、水の温度を意識したことなどなかった。
ここに戻って三年。父が死に、畑を残すか手放すかを迫られ、逃げるように選んだ「残す」という選択。
あの頃は、それを逃げだと思っていた。
一緒に来た人間がいた。
妻ではなく、恋人でもなく、ただの友人だった。佐伯という男で、同じ会社の同僚だった。
「俺も田舎に行きたい」と言い出したのは佐伯の方だった。
半年で、佐伯は帰った。
「無理だった」
それだけ言って、バスに乗った。見送る言葉が見つからなかった。
あれ以来、高瀬は一人だった。
一人のほうが、楽だった。その事実に、少しだけ傷ついた。
役場から「燃料供給に関するお願い」という紙が届いた。
節約。優先。協力。具体的な数字はない。
だが、伝わることは一つだった。
減っている。
高瀬は紙を畳んで、引き出しに入れた。妹の陽子に連絡すべきか、少し考えた。
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