第5章 戻れない前提
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
世界は終わらない。 ただ、「止まらない」という前提が消えていく。 石油供給の揺らぎは、都市の機能を徐々に鈍らせた。 電車は遅れ、物流は滞り、棚は埋まらなくなる。 それでも社会は維持されているように見える。 だが、その維持には限界がある。 人は移動し、場所を選び、やがて線を引く。 内側に入る者。 外側に残る者。 その境界は、善悪ではなく「持続」のために存在する。 これは、終末の物語ではない。 持続のために切り捨てることを選び始めた世界の記録である。
本文
※本作はAI生成を含みます。
妹から、メッセージが届いた。
「そっち、まだ大丈夫?」
相沢は、しばらく画面を見ていた。
「大丈夫」の意味を考える。電気はある。水は出る。電車は遅れるが動いている。だから大丈夫とも言える。
だが、それは「まだ」の話だった。
「まだ大丈夫」と打ちかけて、止まった。
この言葉を送った瞬間、何かが固定される気がした。この場所に、残るという前提が。
削除した。
代わりに、別の言葉を打った。
「そっちは、どんな感じ?」
既読がついた。しばらく待つ。
返信が来た。
「普通だよ」
たった三文字だったが、その「普通」の意味が分かった。ゆっくりした普通。止まらない普通。
相沢は、部屋を見回した。
棚、冷蔵庫、水道、照明。すべてが「止まらない」という前提の上にある。
その前提が崩れたとき、ここに残る理由は何か。
答えは出なかった。
ただ、動くとしたら一度だけだという感覚が、静かに根を張り始めていた。
作品統計
👁️ 閲覧数: 2
👍 いいね: 0
📚 本棚登録: 0