第6章 最初の遅れ
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
世界は終わらない。 ただ、「止まらない」という前提が消えていく。 石油供給の揺らぎは、都市の機能を徐々に鈍らせた。 電車は遅れ、物流は滞り、棚は埋まらなくなる。 それでも社会は維持されているように見える。 だが、その維持には限界がある。 人は移動し、場所を選び、やがて線を引く。 内側に入る者。 外側に残る者。 その境界は、善悪ではなく「持続」のために存在する。 これは、終末の物語ではない。 持続のために切り捨てることを選び始めた世界の記録である。
本文
※本作はAI生成を含みます。
神代の集会所に、役場の職員が来た。
「燃料の供給について、お願いがあります」
言葉は丁寧だった。内容は曖昧だった。
「配送が遅れています」
その一文だけが、少しだけ重かった。
誰かが聞いた。
「どれくらい遅れるんだ」
職員は答えない。
「調整中です」
それだけだった。
集会のあと、高瀬は村の老人・安田に声をかけた。
七十を過ぎた男で、この村に生まれ、この村で育ち、一度も出たことがない人間だった。
「こういうこと、前にもありましたか」
老人は空を見て、少し間を置いた。
「戦後みたいだな」
それだけ言って、歩いて行った。
高瀬はその背中を見送りながら、自分がまだ、この土地の時間に慣れていないと思った。
夕方、村の端に人影が見えた。
二人。荷物を持って、歩いてくる。
誰も止めなかった。誰も迎えなかった。
それが、この村のやり方だった。
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