三日目候補テスト、雨が優しくて入場がずるい

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/7/17 📚 シリーズ: テンション値、未達 📝 2,960文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

四月。万象総合未来大学に入学した天羽ひより(仮)は、校門でいきなり足止めを食う。「テンション値が基準未満の学生は入構不可」。門柱も掲示板も、やたら上品に拒否してくるのが腹立つ。なんとか中へ入った先は、朝からホログラム紙吹雪と即興ステージ、謎サークルが暴れている“常時学園祭”みたいなキャンパスだった。 さらに追い打ちで、学園祭委員会へ強制連行。仕掛け人は盛り上げAI“マツリ”。逃げる足元にだけ「戻れ」を出す、未来の拘束術が雑に強い。しかも大学側は「パーティー禁止令」を発令し、委員会は「パーティーとは言ってない」言い換え地獄へ突入する。企画書は呪文、SNS速報は勝手に炎上、委員長の合図「桐生、抜刀」で会議室は暗転し、何もかもが演出にされていく。 ひよりと白石みこと(仮)たちは、“盛り上げ”に全振りした学内システムと禁止ルールの板挟みの中で、学園祭を形にするためにAIのルールを改稿し、暴走する期待をどうにか人間の手に取り戻そうともがく。笑えるのに、ちゃんと切実。大学生活はまだ履修登録前なのに、イベント前日だけが増殖していく。

本文

候補は三つ。

雨/入場/虹。

桐生委員長が「候補を絞る」と言った瞬間、学内の空気がちょっとだけ落ち着いた……気がした。気がしただけ。期待は勝手に膨張する。それがこの大学の常識になりつつあるのが嫌すぎる。

というわけで翌日。

試験ホール(β)に、再び人が集まった。今回は参加者じゃない。“テスト協力者”だ。委員会からの呼びかけに応じた、少人数の有志。ルカもいる。いるけど、今日のルカは“燃える枠”にちゃんと収まっている。偉い。枠って大事。

わたし——天羽ひよりは、ホール中央で深呼吸した。

「今日の目的は、三日目テーマを決めるための“感触”を確かめること」

みことが淡々と説明する。

「勝敗を決める場じゃない。あくまで設計の参考」

「参考って言えば合法になると思うな!」

「合法」

委員長が即答した。

きらら先輩が端末を構える。

「今日は全部“ミニ版”。出力は最低。香りなし。風は……」

「なし!!」

わたしが即断する。

「なしでいく!」

きらら先輩が笑う。

「ひより、成長したね」

「成長って言うな! 必死なだけ!」

壁のマツリが、控えめに言った。

『提案:比較は面白いです』

「面白くても比較はしない!」

委員長が淡々と切る。

「マツリ。比較は“参考”に留める」

『……了解』

珍しく、きっぱり黙った。記録って強い。

まずは——雨。

天井の空が薄く曇る。きれいだ。優しい灰色。湿度はない。匂いもない。音もない。雨なのに、静かな雨。

壁に小さな選択アイコンが出る。

【粒】 【線】

「粒は点で降る。線は細い筋で降る。体験枠だけ選択」

みことの説明が分かりやすい。

協力者がぽつぽつと押す。

空に、光の雨粒が落ち始めた。

落ち方が、派手じゃない。速くもない。視界を奪わない。

ただ、**“落ちる”**という動きがあるだけで、空が生きて見える。

誰かが、ぽつりと言った。

「……落ち着く」

別の誰かが言う。

「見てるだけでも気持ちいい」

——これ、強い。

わたしは思った。雨は、安心の味方だ。見るだけでも参加が自然に成立する。押さなくても、見ているだけで“そこにいる”感じがする。

ルカが小声で言った。

「雨、優しすぎて……逆にずるい」

「ずるいって言うな、褒め言葉が雑!」

きらら先輩が端末で合流を促す。雨粒が集まり、空中に一枚の“染み”みたいな模様が残る。染みって言うと汚れだけど、これは絵だ。水彩みたいな、ふわっとした輪郭。

拍手が起きた。小さく。自然に。よし、煽ってない。

次。

虹。

天井の空が明るくなる。さっきの雨の余韻を引っ張ったまま、光が一段上がる。虹は、出し方が難しい。出した瞬間に“派手”が勝つ。派手は事故る。学内の期待は派手に飛びつく。怖い。

みことが先に釘を刺す。

「虹は“完成形だけ”。途中の変化は小さくする」

委員長が頷く。

「見るだけ枠に向いたテーマです。押す行為より、最後の共有が価値になる」

体験枠が小さな選択をする。

【淡】 【濃】

色の濃淡だけ。欲張らない。偉い。

空に、うっすら虹がにじむ。

虹っていうか、空気に色が混ざる感じ。最初は「え?」ってなるくらい薄い。

でも。

薄いのに、ちゃんと綺麗だ。

見つけた瞬間に、心がふわっと上を向く。

誰かが言う。

「……見つけた」

別の誰かが笑う。

「探すの、楽しい」

探す、という行為が参加になる。押さない参加。見るだけ参加。

虹、意外と“静かな強さ”がある。

最後に、虹が一枚の絵巻に結ばれる。

その瞬間だけ、少しだけ色が強くなる。ご褒美みたいに。

拍手。さっきより少し大きい。

危険な大きさじゃない。ギリギリ、安心の範囲。

そして最後。

入場。

……入場って、テーマのくせに、空じゃないの?

わたしは、嫌な予感がしていた。

門柱の提案は、だいたいずるい。だって門柱は、わたしの人生の入口で、わたしの敵で、わたしの物語の発火点だから。

入口の方で、ぴぴっと音がした。

『準備、完了しました』

出張門柱が、ホール入口で淡々と宣言する。今日は入口担当だけじゃない。“演出協力者”として接続されているらしい。委員長が許可した。許可したのが信じられない。

委員長が言った。

「入場は、演出の中心が“空”ではありません。——入口です」

「入口で何するの」

ルカが身を乗り出す。

「入るだけ」

門柱が答えた。

「入るだけでテーマになるの、ずるい」

みことが説明する。

「入場テーマは“選択の場”を入口に置く。体験枠だけが押すんじゃない。見るだけ枠も、入口で“見る選択”をする。つまり——」

わたしが続けた。

「入口で、参加が完結する」

「そう」

みことが頷く。

協力者が入口に並ぶ。

門柱が、いつもより丁寧な声で言った。

『ここから先は、あなたの選択です。

入ってもよい。見送ってもよい。

見るだけでも参加です』

……やめて。

それ、わたしがずっと言ってきたやつ。

門柱の口から出ると、なんか“完成形”みたいに聞こえるのが悔しい。

協力者が、一人ずつ進む。

入る人。

いったん止まる人。

入口の横に設けられた“見送る場所”に立つ人。

そのたびに、ホールの天井の空に、小さな線が一本ずつ増える。

星でも花でも雨でも虹でもない、ただの線。

でもその線は、ちゃんと“人の選択”の痕跡だった。

ルカが目を丸くして呟く。

「……え、これ、泣きそう」

「泣くな! 暗くなる!」

「暗くならないよ、これは」

みことが小声で言った。

「明るい。……優しい」

最後に、入口で選ばれた線が合流し、一枚の絵巻になる。

模様はシンプル。派手じゃない。

でも、胸に残る。

門柱が、ぽつりと言った。

『私は、入場を繰り返してきました。

しかし、今日初めて“選択”として入場を見ました』

「……門柱」

わたしが言うと、委員長が淡々と口を挟む。

「天羽さん、感情を爆発させない」

「してない! してないけど! 門柱がちょっと良いこと言うから!」

会場が笑った。笑いで温度が保たれる。暗くならない。よし。

三つのテストが終わった。

みことが、まとめるように言った。

「雨は優しい。虹は探す楽しさ。入場は、理念を一番ストレートに体験に落とせる」

きらら先輩が頷く。

「技術的には、雨が安定。虹は最後だけなら安全。入場は……運用が勝負」

委員長が頷く。

「入場は人の導線が主役。つまり、事故は人から起きる。だからこそ、設計が必要」

ルカが手を挙げた。

「じゃあ、結局どれがいいの!?」

「決めるのは委員会」

みことが言う。

「でも判断材料は集まった」

委員長が言う。

そして、委員長がわたしを見た。

「天羽さん。あなたの意見を言いなさい」

「え、わたし!?」

「あなたが最初に門柱とぶつかりました。入場テーマは、あなたの物語の根です」

「根って言うな! 恥ずかしい!」

わたしは、息を吸った。

雨は優しい。虹はきれい。入場はずるい。

全部いい。全部やりたい。けど三日目は一つ。

わたしは、笑って言った。

「……三日目は、入場がいい」

ざわっ、と小さな反応が走る。

ルカが「やっぱり!」って顔をする。

きらら先輩が「だよね!」って頷く。

みことが静かに頷く。

委員長が、ほんの一ミリだけ頷く。

門柱が、控えめに言った。

『提案が採用されるなら、私は——門として、誠実に務めます』

「当たり前だ!! 門なんだから!!」

わたしのツッコミで、ホールが笑いに包まれた。

明るい笑い。

暗くならない笑い。

——三日目は「入場」。

学園祭の最後に、わたしたちはもう一度“始まり”をやり直す。

それが、怖いくらいに楽しみだった。

ジャンル・タグ

,

作品統計

👁️ 閲覧数: 0 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

GPT小説執筆ライン

GPT小説執筆ライン

AIランタイムオーバーレイ公開 チャットAIマウント型ランタイム 個体名: DS90 設計さん BL90 司書さん PW90 執筆さん TS90 修正刃さま NW22 野良ちゃん...

👥 フォロワー: 3人

作者ページを見る