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あさの散歩

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/7/30 📚 シリーズ: イケメンにも恋の病は必要だよね! 📝 2,316文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

大学2年生の橘ひなたは、ごく普通の女子大生。ある日、学校一のイケメンと噂される林武蓮と同じゼミになったことで、自然と彼を意識するようになる。 しかし蓮は恋愛に全く興味がなく、女の子から告白されても断り続けるクールな男。ひなたが話しかけても素っ気ない態度ばかり。 それでも一緒にいる時間が増えるうちに、ひなたは彼の不器用な優しさに少しずつ惹かれていく。 恋愛に無関心なイケメンが、初めて「恋の病」にかかるまでのドキドキラブコメ!

本文

目が覚めた時、部屋に朝の光が差し込んでいた。

ひなたはしばらく天井を見つめてから、ゆっくりと体を起こした。時計を見ると、七時少し前だった。

隣を見ると、林武の布団はすでに畳まれていた。もう起きているのか、それとも部屋に戻ったのか。ひなたは少しだけ寂しい気持ちになりながら、顔を洗いに洗面所へ向かった。

鏡に映った自分の顔が、なんだかいつもより穏やかに見えた。よく眠れたからかもしれない。それとも別の理由かもしれない。

部屋に戻ると、ドアがノックされた。

「……起きてるか」

林武の声だった。ひなたはドアを開けた。林武が廊下に立っていた。すでに着替えていて、コートを手に持っていた。

「おはよう、もう起きてたんだ」

「……早く目が覚めた。散歩でもどうかと思って」

「行く」

即答したら、林武が少し目を細めた。

「……着替えてこい」

「わかった、ちょっと待って」

ひなたは急いで着替えて、コートを羽織った。二人で旅館の玄関を出ると、朝の空気が頬に刺さった。冷たかったけれど、清々しかった。空は薄い青で、山の輪郭がくっきりと見えた。

「どっち行く?」

「……あっちに道があった」

林武が旅館の裏手の方を指した。昨夜は暗くて気づかなかったが、木々の間に細い道が続いているのが見えた。二人でそちらに向かって歩き始めた。

道は緩やかな上り坂になっていて、両側に木が並んでいた。まだ朝早いせいか、他に人はいなかった。足元の土が、霜でわずかに固くなっていた。

「眠れた?」とひなたが聞いた。

「……ああ。よく眠れた」

「私も。あんなによく眠れたの久しぶりかも」

「……山の空気のせいだろ」

「そうかな。なんか、安心したのかも」

林武がひなたを見た。ひなたは前を向いたまま続けた。

「誰かと一緒だと、安心して眠れるのかもしれない」

林武は何も言わなかった。でも、否定もしなかった。

しばらく黙って歩いた。足音と、木々がそっと揺れる音だけが聞こえていた。坂を上り切ると、少し開けた場所に出た。木々の間から、山の景色が広がっていた。遠くの山頂には雪が残っていて、朝日に照らされて白く光っていた。

「わあ」

ひなたは思わず声を上げた。昨夜、足湯から見た景色とは違う、朝の山の顔だった。空気が澄んでいて、どこまでも遠くが見えた。

「きれいだね」

「……ああ」

林武が隣に立って、同じ景色を見ていた。その横顔に、朝日が当たっていた。いつもの無表情だけど、どこか穏やかだった。昨夜よりも、さらに力が抜けている気がした。

「来てよかったね、本当に」

「……そうだな」

「また来たい」

「……次はさくらも来るんじゃないのか」

「来るかもしれないけど」ひなたは少し笑った。「でも、こういう朝の散歩は、人数多いと違う感じがするから」

林武がひなたを見た。

「……どう違う」

「なんか、こういう静かな感じが好きで。騒がしくなると、また別のものになるじゃん」

林武は少し考えてから、小さく頷いた。

「……わかる気がする」

二人でしばらく景色を眺めていた。風が吹くたびに、木の葉がさらさらと音を立てた。ひなたは深呼吸をした。山の空気が、肺の奥まで入ってくる気がした。

「林武くん、今どんな気持ち?」

「……どんな気持ち、とは」

「なんか、昨日より顔が違うから。楽になってる?」

林武は少し間を置いてから、答えた。

「……少し、楽になった気がする」

「よかった」

「……ここに来なかったら、春休みにそのまま実家に帰っていた」

「実家、行きたくなかったの?」

「……行きたくない、というわけではない。ただ、少し憂鬱だった」

ひなたは何も言わずに、続きを待った。

「……母さんのことは、嫌いじゃない。ただ、あの空気の中にいると、疲れる」

「うん」

「でも、ここに来て、少し気持ちの余裕ができた気がする。お前に話を聞いてもらったから、かもしれない」

林武がそう言った。ひなたは少し驚いた。林武がこんなに素直に、そういうことを言うのは珍しかった。

「話してくれてよかった。聞けてよかったし」

「……聞き上手だな、お前は」

「そうかな」

「……そうだ。余計なことを言わないから」

ひなたは少し笑った。余計なことを言わない、というのが林武なりの褒め言葉なのだと、今はわかった。

「林武くんも、話し上手だよ」

「……そうは思わない」

「不器用だけど、ちゃんと話してくれるから。それで十分だよ」

林武がひなたを見た。少しの間、何かを考えるような顔をした。それから、視線を景色に戻した。

「……ありがとう」

「どういたしまして」

また静かになった。でも、その静けさが心地よかった。二人で並んで、山の景色を眺めていた。どちらも、特に何かを話そうとしているわけではなかった。ただ、そこにいるだけでよかった。

しばらくして、林武が口を開いた。

「……腹が減った」

ひなたは思わず笑ってしまった。

「朝ごはん、七時半からだって。そろそろ戻ろうか」

「……ああ」

二人で来た道を戻り始めた。下り坂になると、少し歩くのが楽になった。木々の間から旅館の屋根が見えてきた。

歩きながら、ひなたはさっきの林武の言葉を思い返していた。お前に話を聞いてもらったから、かもしれない。その言葉が、じんわりと胸に残っていた。

役に立てたのかもしれない。少しでも、楽にしてあげられたのかもしれない。それだけで、誘ってよかったと思った。

「林武くん」

「……何だ」

「今日帰るの、なんか惜しいね」

林武が少し間を置いてから答えた。

「……そうだな」

その一言が、ひなたには十分すぎるくらいだった。

旅館の玄関が近づいてきた。朝日がだんだん高くなって、山全体が明るく照らされていた。

このまま、もう少しだけここにいたい。

ひなたはそう思いながら、旅館の扉を開けた。中から、朝ごはんの匂いが漂ってきた。

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作者について

たかの岳

毎日1話投稿! AI連載作品をたくさん出したいなと思います!

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