第十八話 ★クロイの思惑
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
『呪われたダメおっさん、実は育成力Sランク~落ちこぼれの教え子を「英雄」に育てて世界を巡る旅に出る~』 - 第十八話 ★クロイの思惑
本文
「クロイ様、今回の森の異変はどう思われましたか?」
「そうだな。調査結果はやはりレインブルク一族の先祖の魔獣が暴れまわった原因のようじゃのう」
「あの魔獣は相当強かったですよ。わたくしもかなりやられました」
「そうであろうな。だがガンクとサラのおかげで助かった」
「巷の噂では、ガンク殿はただの飲んだくれのダメおっさんではなく、隠れ教官なのではとの噂が立っています」
わしはそれを聞いてほくそ笑む。あいつはわしの育てた弟子だが、魔族大戦で呪いと心の傷を負った。それが悲しくて仕方なかった。わしは戦場であいつの居たパーティーの多くを育てたが、あいつが一番お気に入りだったのだ。あいつは多くの英雄を育てられるだろう。わしはそれを陰から支えるのみ。
「ラーナ。ガンクのうわさを聞き付けた、ゴーガスの街の子爵がわしを通じて会いたいそうじゃ」
「まさか? あの呪われた子爵の娘をガンク殿に預けるという事ですか?」
「そう言う話が来ておる。ラーナ。お主から見てガンク殿は期待に応える男だと思うか?」
「……そうですね。ガンク殿ならあの娘を……救えるかもしれません」
ラーナはいつも無表情なのにすこしだけ顔を赤らめている。
フォッフォッフォ。ラーナにも好きな男ができたかのう。
「ラーナはあいつのことをどう思うんじゃ?」
「……知りません」
ラーナはそっぽを向いて顔の表情を見せないようにする。じゃが耳は赤い。
今回の森の異変ではあえて冒険者を下に見るカティンとその部隊を付けた。
だが帰ってきた時には冒険者もかなりやる、そしてガンクは真の男だと認めておった。
わしは嬉しかったぞ。まだまだガンクは大きくなる。
ラーナは少し恥ずかしそうにしておったが、わしに向かって言葉を続ける。
「ですが……何故サラの父親はサラを背中から斬ったのでしょうか。それが一番わからないのです」
「ふむ。それに関しては言えん。サラの父親に口止めされておるからのう」
「なるほど。後はサラ達レインブルク一族は何故、森の魔物を狩っていたのでしょうか」
「それに関しては言える。レインブルク一族はマルクの街の森の管理を任せておった。そして魔獣になってしまった先祖を抑える役割があったのだ。サラに一人でマルクの街の森に夜に行かせていたのもそれをサラが知っておるかは別として望んだからだ」
「なるほど。危険はなかったのですか?」
「そのためにお主をサラの監視に付けていたのだろう?」
「……」
ラーナは少しだけ納得のいっていない顔をする。
じゃがこれもサラの両親に頼まれたことだからな。本当はわしもやりたくなかった。
「サラにもこの話は聞かせていいのですか?」
「ふむ。サラとガンクにもレインブルク一族の役割については教えてやれ」
「かしこまりました。それでは失礼します」
ラーナは応接室から出ていった。
わしはゴーガスの街の子爵、ワルツ・ゴーガス・ミリル子爵の訴えに目を通す。
まあわしは駆け出し冒険者たちの成長の場、マルクの街を治める辺境伯だからの。
子爵よりはえらいんじゃ。えっへん。
「じゃがのう。ミリル子爵の娘、リリアは呪いで声が出せない。詠唱魔法が一番効果的であるからには呪いを解くことが不可欠なのじゃが……」
そういえば、ガンクにも呪いがある。解呪の方法をわしの影に探らせるか。
魔族大戦で活躍したあいつの元パーティーの異世界の勇者はもうこの世界にいない。
勇者の願いは元の世界に戻る事じゃったからのう。引き止められんよ。
ガンクの呪いを解呪できれば……まだあいつは戦える。
じゃが、あの微笑みの魔族は深い傷を負ったがまだ生きておる。
ないとは思うが、魔王になって復讐する可能性もあるからの。
わしもまた戦場に立つときがあるやもしれん。
カティンたちをしごいてやるかの。
第一章完結!
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