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あらすじ
蘇った夏の記憶はやさしく歪み、真実だけが取り残された ある新聞記事が、私の遠い記憶を呼び覚ました。 小学生時代の夏休みのある日、こっそり忍び込んだ学校の校舎内で体験した恐怖。 はたしてあれは現実だったのだろうか。 それとも夏の強い日差しが見せた幻だったのだろうか。
本文
「ふむ――小学五年生の時の、さらに十二、三年前、つまり今から二十七、八年くらい前の事件というわけだ」
三本目の缶ビールを飲み干した田母神は、アルミ缶を丁寧に潰しながら言う。
彼は私と同い年なので話が早い。
「まさかとは思うけど、そのタエ子さんの話が君の云う『奇妙な出来事』ってわけじゃないよな?」
田母神はそう続けながら訝しむ。
「もちろん。今の話は前振りに過ぎないよ。君に聞いてもらいたいのはこの先だ」
私は缶に残ったビールを一気に呷り、喉を潤してからそう答えた。
「そう来なくちゃ。シンジ少年たちの冒険譚を続けてくれ」
田母神は満足気に、ニヤリと口角を上げる。
気づけば、彼はいつの間にか秘蔵のウイスキーの瓶と氷、ミネラルウォーター、グラス二つを用意していた。相変わらず酒に関してだけは手間を惜しまない男である。手早く水割りを作ると、ひとつを私に差し出した。
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