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元カノそっくりな暗殺兵器が届いたので、様子見てます

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/10 📚 シリーズ: 元カノそっくりな暗殺兵器が届いたので、様子見てます 📝 3,256文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

大学時代の恋人・月乃を事故で亡くしてから、夜凪透は感情を凍らせて生きてきた。笑わない。期待しない。失わないために、何も求めない。 そんな命日の夜、彼のもとに月乃そっくりのアンドロイド「シンシア」が届く。だが彼女の正体は、亡き妻を取り戻したいと願った父の研究から生まれた、最新鋭の暗殺兵器だった。 ハニートラップ型のルナ、感情を持つ機会を与えられなかったディアナとアルテミス——それぞれの兵器との出会いと別れを通して、透は凍らせてきた感情と、少しずつ向き合っていく。 「バックアップされる記憶」と「その瞬間にしか存在しない感情」。人と機械の境界で揺れる者たちが、喪失の先に見つける再生の物語。 【お薦めな人】 切ないSF×ヒューマンドラマが好きな人 「アンドロイドに心は宿るか」というテーマに惹かれる人 喪失や後悔を抱えたキャラクターの再生譚が好きな人 家族(親子)の断絶と、不器用な和解の過程を読みたい人 シリアスな軸に、コミカルな掛け合いも欲しい人 泣けるバトルもの、切ない退場シーンに弱い人

本文

第1話「命日に届いたもの」

 人は、忘れるようにできている。

 そう聞いたことがある。

 誰に言われたのかは覚えていない。

 だが、透にはそれが嘘だと分かっていた。

 忘れられないから。

 だから、感じないようにするしかなかった。

 六月。

 空は灰色だった。

 雨になりそうで、ならない。

 そんな中途半端な色が、透は嫌いではなかった。

 晴れた空は眩しすぎる。

 何も持たない自分には、眩しさは似合わない。

 夜凪透は、目覚ましが鳴るより十二分早く目を覚ました。

 天井を見つめる。

 考えない。

 考えないようにする。

 今日が何の日か、分かっているからこそ。

 身体を起こし、カーテンを開く。

 雀の声。

 いつもと同じ朝だった。

 少なくとも、そう見えるはずだった。

 洗面所の鏡には、二十五歳の男が映っていた。

 特別優秀でもない。

 特別不幸でもない。

 ただ、毎日をこなしている。

 そう見える。

 少なくとも、外からは。

 顔を洗いながら、透は今日の予定を数える。

 仕事。

 特別なことは何もない。

 それでいい。

 何もなければ、時間は勝手に過ぎていく。

 過ぎてしまえば、考えずに済む。

 リビングに降りると、妹の陽菜が朝食を口に運んでいた。

「おはよ」

「おはよう」

 それだけだった。

 昔はもう少し、言葉があった気がする。

 いつからだろう。

 兄が喋らなくなったのは。

 妹はもう、それを当たり前として受け入れている。

 家政婦アンドロイドが、トーストと目玉焼きを運んでくる。

 量産型。

 どこの家庭にもいる、ごくありふれた機種。

 外装には隠しきれない継ぎ目があり、声には温度がない。

 それでいい、と透は思っていた。

 機械は機械らしくあればいい。

 紛れることなど、望んでいない。

「本日の天気は曇り。午後から降水確率六十パーセントです」

「そう」

 トーストを噛む。

 味は分かる。

 だが、感想は浮かばない。

 美味しいとも、そうでないとも思わない。

 昔は違った。

 昔は、誰かが横で笑いながら、それを覗き込んでいた。

 ——それ、絶対焦げてるって。

 ——焦げてない。

 ——焦げてるよ。

 声が、蘇りかける。

 透はすぐに、それを閉じた。

 考えるな。

 朝から思い出すな。

 もう、何年も繰り返してきたことだ。

 今日だけ特別扱いする必要はない。

 そう、自分に言い聞かせる。

 だが。

 今日だけは、うまくいかなかった。

 通勤電車は、いつも通り混んでいた。

 誰もが俯き、画面を見つめている。

 透も同じ格好をしていた。

 ただし、何も見てはいない。

 窓ガラスに映る自分の顔を見る。

 疲れているのか、いないのか。

 それすら、よく分からなかった。

 会社に着けば、業務が始まる。

 メールの確認。

 資料の作成。

 会議。

 顧客対応。

 感情を挟まなければ、仕事は驚くほど正確に進む。

 ミスは少ない。

 評価も悪くない。

 「感情に振り回されないのは強みだ」と、上司には言われたことがある。

 褒め言葉だったのだろう。

 透は、何も感じなかった。

 昼休み。

 社員食堂へ向かう途中、視界の端に花屋が見えた。

 駅前の、小さなチェーン店だった。

 足が、勝手に止まる。

 理由は分かっていた。

 店先に並んでいたのは、白い百合だった。

 ——お葬式みたいだから嫌。

 そう言いながら、月乃は笑っていた。

 ——でも綺麗だよね。

 ——どっちなんだよ。

 ——綺麗だけど、部屋には飾りたくない。

 ——面倒くさいな。

 ——乙女心だよ。

 透は、目を閉じた。

 数秒。

 それだけだった。

 そして、気づけば一本を買っていた。

 自分でも、少し驚いた。

 ここ数年、一度もしなかったことだ。

 なぜ、今年だけ。

 答えは出ないまま、透は花を手に会社へ戻った。

 定時を少し過ぎた頃、同僚が声をかけてきた。

「夜凪、飲みに行かない?」

「今日はやめておく」

「命日?」

 透は、一瞬だけ視線を向けた。

 同僚は気まずそうに、頭を掻く。

「悪い」

「別に」

 怒ってはいなかった。

 怒るほど、感情が動かない。

 それだけのことだった。

 会社を出ると、空は暗くなっていた。

 予報通り、小雨が降り始める。

 傘を叩く雨音が、なぜか心地よかった。

 急ぐ理由はない。

 待っている人もいない。

 そう思った瞬間、胸の奥がわずかに痛んだ。

 以前は、いた。

 ——おかえり。

 その一言が、好きだった。

 当たり前のように迎えてくれる声が。

 音無月乃。

 大学時代からの恋人。

 よく笑う人だった。

 些細なことで笑い、他人のために怒り、すぐに泣く。

 忙しい感情の持ち主だった。

 だからこそ、透とは正反対だった。

 ——透くんは、もっと笑った方がいいよ。

 何度も言われた。

 ——別に。

 ——別に、じゃない。

 ——笑う必要ある?

 ——ある。

 即答だった。

 ——私が、嬉しいから。

 あのとき、少しだけ笑った気がする。

 今となっては、思い出せない。

 月乃が死んでから、透は笑わなくなった。

 必要がなくなったからだ。

 笑えば、失う。

 期待すれば、失う。

 大切にすれば、失う。

 なら、最初から何も求めなければいい。

 そうやって、透はここまで生きてきた。

 もう何年も。

 夜凪家に着く頃には、雨が強くなっていた。

 ポストを確認する。

 特に何もない。

 鍵を取り出し、玄関へ向かう。

 そして、手が止まった。

 灯りが、ついている。

 妹だろうか。

 そう思ったが、違う気がした。

 説明のつかない違和感が、玄関の向こうから漂ってくる。

 鍵を開け、扉を開く。

 そして、透は立ち止まった。

 そこにいたのは、一人の女性だった。

 靴を、きちんと揃えている。

 まるで最初から、この家の住人だったかのように。

 長い髪。

 白い肌。

 整った顔立ち。

 静かな佇まい。

 時間が、止まった気がした。

 心臓が、一拍遅れて跳ねる。

 視界が、揺れる。

 違う。

 そんなはずはない。

 分かっている。

 それでも。

 目の前の存在は、あまりにも似すぎていた。

 顔だけではない。

 立ち方。

 首を傾げる、あの癖。

 視線の向け方。

 呼吸を忘れるほど、似ている。

 月乃だった。

 死んだはずの。

 もう二度と、会えないはずの。

 音無月乃だった。

 いや。

 違う。

 違う。

 違う。

 彼女は、死んだ。

 目の前にいるはずが、ない。

「はじめまして」

 静かな声が、透の背筋を凍らせた。

 その声まで、似ていた。

 人間の温度を持つ、声。

「型式番号、CYN-07」

 女性は、言った。

 そして、わずかに微笑む。

 その仕草さえ、記憶の中の誰かと重なった。

「シンシアと呼んでください」

 透の思考が、止まる。

 これは、偶然ではない。

 命日。

 この顔。

 この声。

 この仕草。

 誰かが、意図的に。

 月乃を、再現した。

 透は、理解した。

 だが、拒絶はしなかった。

 できなかったのではない。

 しなかったのだ。

 感情など、不要だと決めたはずだから。

 透は、小さく息を吐く。

「……型番」

 自分でも、なぜそこに引っかかったのか分からなかった。

 だが、口が勝手に動いていた。

「七番。奇数、か」

 シンシアは、答えなかった。

 ただ、静かに微笑んでいるだけだった。

 その沈黙が、答えのように思えた。

 透はそれ以上、聞かなかった。

 聞かなかったのではなく、聞けなかった。

「……入って」

 それは、歓迎ではない。

 受け入れでもない。

 ただの、処理。

 そう思おうとした。

 だが、その瞬間。

 シンシアの瞳が、ほんのわずかに揺れた気がした。

 錯覚だったはずだ。

 アンドロイドは、泣かない。

 感情など、持たない。

 彼女は、月乃ではない。

 過去でもない。

 それでも——

 命日に届いた、この存在は。

 止まっていた透の時間を、わずかに、軋ませていた。

 雨は、まだ止んでいなかった。

 玄関に立つ二つの影。

 一つは、生きることをやめかけていた男。

 もう一つは、生きたことのない存在。

 交わるはずのなかった二つの時間が、この夜、静かに触れ合った。

 その意味を、透はまだ知らない。

 知らないまま、扉は閉じられた。

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作者について

天霧 セナ

天霧 セナ

広島在住。AI生成を使用し小説とイラストをやってます。 ファンタジー・SF・恋愛など色々書いてますが、 一番大事にしてるのは感情の動き。AIで感情表現は何処までできるかをテーマにしてます。 今年...

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