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『怪獣駆除企業ガッタトン〜施工写真を撮るまでは殴るな!〜』

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/18 📚 シリーズ: 『怪獣駆除企業ガッタトン〜施工写真を撮るまでは殴るな!〜』 📝 5,294文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

自衛隊から地方の中小企業「ゼニアル重工」へ出向させられた迫間拓海。彼に与えられた仕事は、自社製品の展示用置物ロボット『ガッタトン』に乗って……怪獣の足元で「施工前・施工中・施工後」の写真を撮影すること!? ​災害救助予算(公共事業費)を引くために手書き黒板を持って怪獣へ突進する新人営業。 ​1本80万円の解体用ニッパーの刃こぼれに悲鳴を上げる血も涙もない経理。 ​国会での白鳥防衛大臣による伝説の迷答弁「撮れます!現に山田君は撮れました!」。 ​そして、ネット炎上と労基の指導を突っぱねて導入される「工事写真アプリ(評価点+15点)」——。 ​国家の縦割り行政と安全規定が自衛隊の最新鋭機を縛り付ける中、現場の意地と超法規的「全部盛り(違法改修)」で立ち上がるのは、不格好で愚直な民間企業と現場の公務員たちだった! ​【全6話構成】 ​第1話: 初出撃とゼニアル重工の現実(プロトタイプ受領と黒板文化) ​第2話: 『施工前写真を撮るまでは殴るな!』(超大型ニッパーと命がけの三点写真) ​第3話: 『国会審議:撮れます!山田君は撮れました!』(大炎上と工事写真アプリ導入) ​第4話: 『最強怪獣襲来と超法規的「全部盛り」』(自衛隊機大破と官民一体の暴走魔改造) ​第5話: 『施工完了:天満市防衛戦』(決死の爆発背景シャッターと本工事完了) ​第6話: 『会計検査官と始末書を抱えて』(一太郎書類バトルと平和な日常への帰還) ​名前はダサいが仕様は超絶イケメンな12mロボ『ガッタトン』が、重工メーカーの現場のプライドと大量の請求書を背負って天満市を駆け抜ける!

本文

第1話:『門前の置物、始動す(ただし書類ファイルは一太郎2004指定)』

 巨大ロボットの足元というのは、案外、鳥のフンがよく落ちているものだ。

 九月の生ぬるい風が、工業団地の油臭い匂いを運んでくる。二等陸尉・迫間拓海(はざま・たくみ)は、柄の長いデッキブラシを握りしめ、全高十八メートルの鋼鉄の足首にこびりついた白い汚れをゴシゴシと擦っていた。

「はぁ……なんで俺が、防衛大学校を首席近くで出て、陸自の人型特殊車両運用パイロットに選ばれて、毎日鳥のフンを掃除してるんだ……」

 見上げれば、青空をバックにそびえ立つ武骨な鋼鉄の巨人——『防衛用多目的作業機甲ガッタトン』の勇姿がある。だが、その胸部には「祝・ゼニアル重工 創立40周年」の巨大な朱色の懸垂幕が垂れ下がり、右腕の先端は「本日全休・安全第一」と書かれたお知らせ用ホワイトボードを抱え込まされていた。

「迫間さーん! お昼、いつもの仕出し弁当の唐揚げ、一個サービスしてもらったから一緒に食べようよ!」

 門の奥から声をかけてきたのは、ゼニアル重工の社長、銭有剛造(ぜにはら・ごうぞう)だ。作業着の袖をまくり、作業用ヘルメットを斜めに被った六十過ぎの男は、腹の底から響くようなダミ声で笑う。

「社長……ありがとうございます。でも俺、一応自衛官なんで、あんまり甘やかされると階級章が泣きます」 「何を言ってるんだ! ウチに『動かない巨大置物の監視員』として出向してきた以上、君もゼニアルの家族みたいなもんだ! ガッタトンの足元を一番綺麗にしてくれてるのは迫間さんなんだからさ!」

 迫間は胸の奥で、鉛のようなため息をついた。

 十五年前、防衛省の技術実証機として予算が投じられた『ガッタトン』。しかし、完成度九八パーセントという「あとひと押し」の段階で、政権交代と何年間も怪獣が現れなかった平和な情勢の煽りを受け、契約は無残にも破棄された。キャンセル料こそ支払われたものの、余った巨大なテスト機は引き取り手を失い、そのままゼニアル重工の門前で、会社の「巨大な看板」として雨ざらしになっていたのだ。

 そして迫間は、「防衛省の資産管理」と「万が一の機体保全」という名目のもと、この中小企業へ事実上たらい回しにされた出向パイロットだった。

 その時だ。

 地鳴りのような重低音が、空気を激しく振動させた。

 バリバリバリ、と遠くのガラス窓が震える音が響く。鳥が一斉に木々から飛び立ち、空を覆った。ただのトラックの通過音でも、工場のプレス機の音でもない。もっと皮膚の生毛が逆立つような、生物的な異様さを孕んだ地鳴りだ。

「……何だ?」

 迫間のポケットの中で、防衛省支給の緊急用IP無線機が甲高い警告音を鳴らし始めた。ディスプレイには『優先度S:湾岸部緊急事態』の文字が明滅している。

『こちら陸上自衛隊統合幕僚監部! 二尉、聞こえるか! 湾岸部、天満市沿岸に全長四十メートル級の未確認巨大生物……怪獣が出現した!』

 通信の向こうから飛び込んできたのは、迫間の元直属の上司であり、現・統合幕僚長である鞍馬兼嗣(くらま・ともつぐ)の声だった。ノイズの混じる声に、迫間の背筋が凍りつく。

「統幕長!? 怪獣って……三十年ぶりの、あの怪獣ですか!?」 『そうだ! 沿岸の防波堤を破壊し、天満市工業団地方向へ進行中だ!』 「すぐさま本省の『陸自プロトタイプ』を出撃させてください! あれなら……!」 『ダメだ』

 鞍馬の声が、急に冷ややかな、呆れを含んだトーンに変わった。

『出撃承認の決済ラインが止まっている。防衛大臣の白鳥(しらとり)閣下が「万が一負けたら私の任命責任が」「世論の反発が」と言い出して判を押さん。「まずは怪獣対策検討委員会を設置して議事録を取れ」と仰せだ。システムのセキュリティ認証解除だけであと二時間はかかる』 「二時間!? 今まさに怪獣が来てるんですよ!?」 『だからだ、迫間』

 鞍馬は一瞬の間を置き、低く囁くように言った。

『法的に、俺はお前に命令できない。自衛隊の最新機は動かせん。……だが、お前が今いる場所には、“ただの民間のおもちゃ”が転がっているはずだな?』 「え……? まさか、ガッタトンを……!?」 『俺は何も言っていない。自衛隊は関与していない。……だが、もし“無許可の民間作業機”が勝手に動いて怪獣を殴り倒したとしても、俺には止められん。始末書なら俺がもみ消してやる。……現場を頼むぞ、迫間』

 ブツッ、と通信が切れた。

「ちょ、統幕長!? 待ってください!!」

 叫ぶ迫間の横で、すでに工場内は大パニックに陥っていた。サイレンが鳴り響き、社員たちが右往左往している。

「社長! 大変です!」  広報部の鞍馬翔太(くらま・しょうた)が、スマートフォンを掲げながら走ってきた。 「天満市のライブカメラ映像です! 怪獣、まっすぐウチの協力工場がある『第3エリア』に向かってます!」

「何だと!?」  銭有社長の顔色がガラリと変わった。 「第3エリアには、ガッタトンの右脚用フレームを作ってくれた高橋工作所があるんだぞ! あそこが潰れたら予備パーツが手に入らなくなるだろ!!」

 社長は血走った目で門前の『ガッタトン』を見上げ、拳を握りしめた。

「おい、野郎ども! ガッタトンを出動させるぞ! 今すぐ胸の懸垂幕を引っ剥がせ! お知らせボードをどかせ!」 「正気ですか社長!?」  迫間は思わず叫んだ。 「ガッタトンは契約破棄されたテスト機です! それに完成度は九八パーセント! 残りの二パーセントは実戦用OSのパッチも当たってないし、右腕の固定ボルトすら入ってない未完成品ですよ! 無許可で動かしたら全員逮捕されます!」 「知るかあ!!」  銭有社長は胸を張り、大音量で怒鳴り返した。 「九八パーセントできてりゃ十分だ! 残りの二パーセントは職人の『気合』と『愛』で埋めるんだよ! うちの仲間が潰されそうになってるのに、黙って看板眺めてるバカがどこにいる!!」

「い、言い切った……!?」  迫間が戦慄していると、事務所の奥からカンカンと甲高いヒールの音が近づいてきた。

「ちょっと社長! 勝手に盛り上がらないでください!」  現れたのは、財務経理部主任の銭有華乃(ぜにはら・かの)だ。キリッとしたメガネの奥で、鋭い瞳が光っている。 「ガッタトンを動かすのにどれだけの出撃手続きが必要だと思ってるんですか!? 社内決済はもちろん、警察への緊急道路使用許可、陸自への管区横断通知、国交省への工作物一時移動届! 何より関係各省への申請書類、フォーマットが全部『一太郎2004』指定なんですよ!?」

「い、一太郎2004!?」  迫間は耳を疑った。現代の令和の世において、化石のようなワープロソフトの名前が出てくるとは。

「十五年前の開発当時の規定がそのまま残ってるんです!」  華乃はバインダーを叩きつけた。 「Wordで開くとレイアウトがぐちゃぐちゃになって印鑑枠が画面外に吹き飛ぶんです! これを手作業で直して、しかも出張中でゴルフ場にいる監査役のハンコをもらわないと、出撃経費が1円も下りません!」

「経理の壁が高すぎる……!」  迫間が頭を抱えた、その時だった。

 事務所の固定電話が、甲高い音で鳴り響いた。華乃が怒り肩のまま受話器を取る。

「はい、ゼニアル重工経理部……えっ?」 『ゼニアルさんですか!? 天満市役所防災対策課の天野(あまの)です!』

 スピーカーモードにされた電話から聞こえてきたのは、切迫した、しかしどこか聞き覚えのある若い女性の声だった。天満市役所防災対策課の技師、天野ほのかだ。度重なる地域の防災会議で、迫間と何度も顔を合わせている公務員である。

『怪獣が工業団地へ迫っています! 迫間さん、そこにいらっしゃいますよね!?』 「あ、天野さん!? はい、いますけど……!」 『迫間さん! 国や防衛省の許可なんて待ってたら天満市が全滅します! 今、市役所で緊急道路使用許可と特別防災出動の書類を、私が一太郎2004の旧フォーマットのまま代理代行で入力してます!』

「ええっ!? 天野さん、それ公文書の……!」 『レイアウト崩れも全部直しました! 印鑑枠もピッタリ配置しました! 監査役のハンコも、私が私印で代行で押しました! 全部私の責任で処理しますから……だから迫間さん、無事で、無事に出撃してください!!』

「天野さん……!?」  受話器の向こうで、カチャカチャと猛烈な速度でキーボードを叩く音が聞こえる。恋心ゆえの、恐るべき公務員の超法規的暴走だった。

「よし! 天満市役所から超法規的OKが出たぞ!」  銭有社長が腕を捲り上げた。 「柴田(しばた)の親父! ガッタトンのロックを解除しろ!」

「おうよ!」  奥から出てきたのは、油まみれの作業着を着た白髪の整備班長、柴田健三(六十八歳)だ。柴田は胸ポケットから、大切そうに黒い四角いプラスチックの板を取り出した。

「さあ、ガッタトン起動キーだ!」 「……柴田さん」  迫間は目を凝らした。 「それ……3.5インチのフロッピーディスク(2HD)ですよね?」

「そうだ! 十五年前のセキュリティシステムだからな!」  柴田は誇らしげにガッタトンの脚部ハッチを開け、内部の古いドライブにフロッピーを突っ込んだ。

 カチャ。ギー……ギー……ピー。

『ドライブA:読み取りエラー』

 赤く点滅するエラー表示。現場に冷ややかな静寂が流れた。

「読まねえ!!」  迫間が叫んだ。 「磁気が死んでます! 十五年間の湿気と経年劣化で磁気が死んでます!!」 「落ち着け!」  柴田班長は動じず、フロッピーを引き抜くと、シャッターをシャコシャコと素早く開閉させ、口を近づけて『フッフッ!』と勢いよく息を吹きかけた。

「何やってるんですか!?」 「昔のファミコンカセットと同じだ! ホコリを飛ばして、手持ちのドライヤーで3秒温めれば動く!」 「どんなアナログなノウハウですか!?」

 柴田が再びフロッピーをドライブに叩き込む。

 ギー……ガガガガ、ピピッ!

『SYSTEM ONLINE』

 緑色のランプが点灯した。

「「「読んだーーーーっ!!」」」  現場の社員たちから、割れんばかりの歓声が上がった。

「迫間さん、乗れ!」  銭有社長が迫間の背中をバンと叩いた。 「ウチの看板の威厳を、あの怪獣に見せてやれ!」 「くっ……もうどうにでもなれだ!」

 迫間は腹をくくり、ガッタトンのタラップを駆け上がった。狭く、油とほこりの匂いが充満するコックピット。シートに座り、シートベルトを締めると、メインモニターに雑多な警告表示が浮かび上がる。

『注意:OSパッチ未適用(完成度98%)』 『警告:右腕固定ボルト未装着』

「マジで二パーセント足りてないじゃないか!」

 迫間が操縦桿を握り締め、胸の点火スイッチを押し込む。

 ドババババババッ!!

 腹底に響く巨大な重油エンジンの駆動音とともに、全高十八メートルの鉄の巨人が震えた。胸の懸垂幕が破れ飛び、「祝・創立40周年」の文字が風に舞う。

「ガッタトン、出動準備完了!」

 その時、コックピットの通信インカムから、キーキーというノイズとともに華乃の叫び声が飛び込んできた。

『迫間さん! 聞こえる!? ガッタトンの燃料代、リッター二千円の特殊重油なんだからね! 無駄なアイドリングは禁止! それから、その右腕のパーツ壊したら修繕費で来月の給料出ないからね!!』

「給料!?」  迫間は思わずマイクに向かって怒鳴り返した。

「俺の給料、自衛隊から出てるから元々ゼニアルからは出ませんけど!? 出ないのはハナから仕様です!!」 『あ、そうだったわね! じゃあ破損させたら自衛隊のあなたの口座に直接修繕費の請求書送るわね!』 「やめて!! 俺の口座が凍結する!!」

「迫間さん、発進してください!」  天野ほのかの声も割り込んでくる。 『天満市境の道路封鎖、完了しました! でも市境の外へは絶対に出ないでください! 隣の市に行かれたら管轄が変わって、私が書類をまた一から一太郎で作らなきゃいけなくなります!』

「みんな勝手なことばかり言い上がってぇぇぇ!!」

 迫間は絶叫しながら、両手のスロットルレバーを限界まで押し倒した。

 ガギギギギギギッ!

 十五年間のサビを撒き散らし、関節から凄まじい異音を立てながら、看板ロボット『ガッタトン』が重い第一歩を踏み出した。アスファルトが砕け、地面が激しく揺れる。

 ゼニアル重工の正門を潜り抜け、赤信号の交差点を堂々と突き抜ける巨大な鉄塊。

 工業団地の向こう側から、建物をなぎ倒しながら姿を現した怪獣が、突如現れた人型ロボットに向かって鼓膜を破るような咆哮を上げた。

「行くぞ怪獣……いや、まずは現場の『施工前写真』を撮るのが先か!? もう何が正しいのか分からん!!」

 自衛隊のエリートパイロット・迫間拓海の、胃に穴があくほど泥臭い、そして世界一書類手続きのややこしい戦闘が、今まさに幕を開けたのだった。

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作者について

天霧 セナ

天霧 セナ

広島在住。AI生成を使用し小説とイラストをやってます。 ファンタジー・SF・恋愛など色々書いてますが、 一番大事にしてるのは感情の動き。AIで感情表現は何処までできるかをテーマにしてます。 今年...

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