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十五夜、お月さまの分け前

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/24 📚 シリーズ: 彼方のラブレター 📝 1,357文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

それは、彼方から届いた、ちょっと不思議な物語。ショートショート

本文

窓辺の三方に積まれた、真っ白な月見団子。

その一番上から、まるまるとした白い影が、ぴょんと飛び降りました。

「あ」

リビングの隅で、お兄ちゃんが息をのみます。

妹が指さした先には、本物のうさぎ。

いや、どこからどう見ても、真っ白でふかふかした野うさぎがいました。

うさぎは器用に前足を使い、お供えのお団子を、もぐもぐと頬張っています。

驚いて声を上げかけた子どもたちでしたが、うさぎは逃げるどころか、ぴんと耳を立てて、じっとこちらを見つめました。

赤く澄んだ目が、まるで、

「これ、すごくおいしいね」

そう言っているように見えます。

「……ねえ、一緒に食べる?」

お兄ちゃんがそっと近づき、お団子をひとつ転がしてやると、うさぎは嬉しそうに鼻をひくつかせ、小さな口でちょこちょこと食べ始めました。

子どもたちも負けじと、自分たちのお皿からお団子をひとつ。

ぱくり。

十五夜の静かな夜。

月明かりの下で、子どもたちとうさぎの、ささやかなお茶会が始まりました。

ところが、そこへ。

「ちょっと、何をしてるの!」

台所から、お母さんがやってきました。

慌てて子どもたちが身構えます。

「お母さん、違うの。この子が……」

「ダメでしょ。お月さまにお供えする大切なお団子を、全部食べちゃったら」

お母さんは呆れたようにため息をつき、うさぎと子どもたちを交互に見つめました。

けれど、うさぎはまったく悪びれる様子もありません。

お母さんの足元にちょこんと座り、ぴくぴくと耳を動かしています。

その姿を見た瞬間でした。

お母さんの表情が、ふっと緩みました。

どこか懐かしそうに、遠くを見るような目をしています。

「……まあ、いいか」

お母さんはふふっと笑うと、自分のぶんのお団子をひとつ摘み上げ、うさぎの前に、ぽんと置きました。

「実はね」

お母さんは子どもたちに言いました。

「お母さんも小さい頃、同じことをしたことがあるの」

「え?」

「十五夜の夜に窓を開けたらね、やっぱりこんなふうに、白い子がやってきたのよ」

「このうさぎ?」

妹が尋ねると、お母さんは少し考えてから、にっこり笑いました。

「もしかしたら、同じ子かもしれないね」

子どもたちの目が、ぱっと輝きます。

「それでね、一緒にお団子を食べたの」

「本当?」

「本当よ」

お母さんは子どもたちの頭を、優しく撫でました。

「だからきっと、うさぎはお月さまからの使いだけじゃなくて、子どもたちの秘密の友達でもあるのよ」

その言葉を聞いたうさぎは、まるで返事をするように、ぴょこんと耳を動かしました。

窓の外では、まん丸の十五夜お月さまが、部屋いっぱいに優しい光を注いでいます。

お皿の上のお団子は、いつの間にかずいぶん減っていました。

けれど、お母さんは何も言いませんでした。

今夜はきっと、お月さまにも分け前があるのでしょう。

そして、その夜。

子どもたちは、うさぎに小さな約束をしました。

「来年も、また来てね」

うさぎは答える代わりに、月を見上げました。

そして、ぴょんと窓辺へ跳び上がると、一度だけ振り返ります。

「約束だよ」

お兄ちゃんが言うと、

うさぎは、ぴくんと耳を動かしました。

それから月明かりの中へ、静かに消えていきました。

子どもたちは知らないことですが。

その夜、お母さんも窓辺に小さな団子をひとつだけ残しておいたのでした。

来年の十五夜まで続く、秘密の約束のために。

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JJ

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