❲ 狐の義兄 1 ❳
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
好きを詰め込みました。ただ、自分の好きを置いた作品集です。
本文
ある日突然、我が家にやってきた新しい 「お兄ちゃん」は、とんでもない美貌の持ち主で、とんでもない過保護。
そして――本物の狐の妖(あやかし)だった。
薄暗い雨の日の午後。 リビングのソファーでうたた寝をしてしまった私が目を覚ますと、目の前には至近距離でこちらを覗き込む義兄の顔があった。
さらに、驚くほど柔らかくて温かい、ふさふさとした九つの白い尾が、まるで羽毛布団のように私の全身をきっちりと包み込んでいる。
「あ、起こしちゃった? ごめんね。……でも、そんな無防備な顔で寝てたら、お兄ちゃん狼になっちゃうよ? あ、狐だけどね」 クスッと悪戯っぽく笑いながら、彼は私の前髪を指先で優しく払う。
その黄金色の瞳が、薄暗い部屋の中で妖しく、けれど溺れるような愛おしさを湛えてきらめいた。
(え、また…。) 「………。」
いつものことながら、距離感のバグった義兄に対して、私はいたって冷静な目で彼を見た。 「またやってるよ、この人……」という魂の底からの呆れを込めて。
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