看板
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
一話完結型(例外あり)の奇妙な短編・ショートショート集 ミステリーをメインとした、玉石混淆の掌編集で御座います。 眠れない夜のお供に、通勤通学時の暇つぶしに、ご活用いただければ幸いです。 便宜上、作品のジャンルを「ミステリー」としておりますが、ホラーやSF、コメディーも混ざる場合がありますので、あらかじめご了承頂ければと存じます。 当作品は、不定期投稿になります。 気まぐれな作者がネタを思いついたら、新作が追加されると思います。
本文
「今の見た?」
隣に寄り添って歩く彼女が訊いてきた。
彼女とは付き合い始めてまだ間もない。
「うん、見た」
路地裏の雑居ビル。
その薄汚れた壁に掛けられていた、ところどころサビの浮いた金属製の看板のことだろう。俺も目にしていた。
「なに……教えてくれるんだろうね?」
彼女はなぜか顔を紅潮させ、俺の耳元で囁く。
「ん? 書いてあったとおりでしょ?」
俺は答える。なにを疑問に思っているのだろう。
「ふうん。やっぱりあれかな、経験の浅い人に向けていろいろと教えてくれるんだろうね」
小さな手で口元を覆いながら、彼女はさらに小声になる。
「そりゃあそうでしょ。『教室』なんだから」
分かりきっているだろうに。
「――わたし、ちょっと通ってみたいかも」
彼女はポツリと呟いた。
「え? 興味あるの?」
あんなものに関心があるとは意外だった。
「うん。だって、あなたをもっと喜ばせたいし」
……まあ、俺も別に嫌いってわけではないのだけれど。
「体験教室とかはないのかな? 『おとこ教室』って」
「『おこと教室』だよっ!」
俺は頭を抱えながら、天然系女子の彼女に向けて全力のツッコミを入れた。
〈了〉
作品統計
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