日常の終わり。
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
十年前の事故で両親を亡くした。 そこから彼女の人生は全て変わってしまった。 でも、諦めずに立ちあがろうとする。 _この先どんなことが起こるかも知らずに__
本文
それから三十分ほど他愛ない雑談を続けた。
昨日食べたもの。
好きな季節。
最近ハマっていること。
どれも中身のない話だ。
でも、それがちょうどよかった。
「そろそろ落ちますね〜。今日は来てくれてありがとうございました!」
明るい声で挨拶して配信を終了した。
画面が暗くなる。
部屋に静けさが戻った。
闇莉はヘッドホンを外して机の上に置き、深く息を吐いた。
喉の奥が少し痛い。
無理に高い声を出し続けたからだ。
スマホを手に取る。
通知はなかった。
凪からは何も来ていない。
凪はただのファンとして配信を見に来ているだけで別に気づいたりしていない。
そう思った。
__……あ。
視界の隅で何かが動いた。
スマホの画面ではなくその向こう。
部屋の隅。
暗がりの中に__いや、違う。
これは記憶だ。
歪んだフロントガラス。
砕けたガラスの破片が頬に刺さる感覚。
鉄の匂い。
それから__
「…はっ」
息が喉の奥で引っかかった。
肺が呼吸を否定している。
うまく吸えない。
何度吸おうとしても浅いまま胸が苦しくなるだけだ。
闇莉は机に手をつき立ちあがろうとして膝が崩れた。
床に手をつく。
四つん這いになって必死に息を吸おうとする。
声が出ない。
涙も出ない。
ただ、心臓だけが壊れたように鳴っている。
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