❲ 狐の義兄 12 ❳
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
好きを詰め込みました。ただ、自分の好きを置いた作品集です。
本文
「……置いていかないと、毛が飛んでご飯に入るからさ。お兄ちゃんっていちいち邪魔なんだよね。 でも、悪いお兄ちゃんじゃないんだけど…」 はぁ、とため息つきながら私はお母さん、涼子さんの手伝いをしながら愚痴を言う。
お皿を並べるために棚を開ける私は、脳裏に今頃日本の裏側で優雅に仕事をしているであろう実の父親の顔が浮かんでいた。
(……本当に、あの男だけは絶対に許さない)涼子さんと再婚して、まだそう日は経っていない。 それなのにあの父親は、再婚早々「ちょっと外せない長期出張が入っちゃってさ!」と軽いノリで、私たちを置いて海外へ飛び立ってしまったのだ。
にこやかに去っていく父親の顔を思い出しただけで腹が立つ。
百歩譲って仕事は仕方ないとしても、絶対に許せないのは事前の説明が皆無だったことだ。
まさか新しくお母さんになった人が、神々しい白銀の九尾の狐で、その連れ子の義兄が、シスコン極まった絶世の美狐(過保護・M気質)だなんて、一言も聞いていなかった。 (あんな国宝級の美人と、最高にかっこいいお兄ちゃんを家に残して海外に行くなんて、正気の沙汰じゃないわ。
……というか、普通『これから家族になる人は狐の妖(あやかし)だよ』って事前にプレゼンするべきでしょ!?)おかげで最初の数日は、お兄ちゃんの美貌に心臓をバクバクさせ、狐の姿を見せられては卒倒しそうになるのを防ぐために、私の顔面の筋肉は死に物狂いで働くことになったのだ。
お兄ちゃんが狐だとか人の姿になれるとか、どーでもよくなった。
作品統計
👁️ 閲覧数: 3
👍 いいね: 1
📚 本棚登録: 0