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【58番外】リアルリーチ4D

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/1 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 1,581文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

その日の時環遊技場は、いつもと変わらない午後だった。

古い蛍光灯が、少しだけ白っぽい光を落としている。遊技台から流れる電子音と、玉の転がる音。ときおり客の笑い声が混じり、それらが重なって、店内には独特の時間が流れていた。その一角に、古いCR機が一台ある。

液晶画面の中で、派手な演出が始まった。

炎をまとったキャラクターが画面を駆け抜け、背景が赤く染まっていく。

客が身を乗り出した。

リーチだった。

炎は次第に勢いを増していく。画面いっぱいに燃え上がった、そのときだった。

台の前で、小さな炎が揺れた。

ほんの数センチほどの高さだった。赤い舌が、ちろり、ちろりと空気を舐めている。

客はしばらく、それを見ていた。

液晶と炎を交互に見る。

どう考えても、炎は画面の外にある。

「……店主さん」

呼ばれて、店主がやって来た。炎を見て、少し首を傾げる。

そして、そっと手をかざした。

熱かった。

「これは……」

店主が呟いたところで、液晶の中の炎が消えた。すると、こちら側の炎も、何事もなかったように消えた。

店主はしばらく画面を眺めていたが、「演出が、少し大きく出てしまったようですね」

そう言って笑った。

客も笑った。

そのときは、それで済んだ。――そのときは。

しばらくして、再び同じ台から派手な音が響いた。

今度は、水だった。画面の中で大きな波が砕け、白い水しぶきが舞う。

そして次の瞬間。客の足元に、本物の水が跳ねた。

床が濡れた。

「……またですか」

店主はそう言いながら、モップを取りに行った。

客は呆れたように笑っていたが、隣の客は面白そうに画面を覗き込んでいる。

「次は何が出るんだろうな」

誰かが言った。

まるで、それを聞いていたかのようだった。液晶いっぱいに、桜の花びらが舞い始めた。

ひらり。

ひらり。

一枚の花びらが画面の端を離れた。 そして――

店内に落ちた。

誰も声を出さなかった。

続いて、二枚、三枚。気がつけば、蛍光灯の下を淡い桜色の花びらが舞っていた。

客たちは手を伸ばした。

指先に触れた花びらは、確かに紙でもホログラムでもなかった。

薄く、柔らかい。花の匂いまでした。

店主も一枚を拾い上げた。

「きれいですね」

そう言って、少しだけ目を細めた。

やがて演出が終わると、花びらは一斉に消えた。ただ一枚だけが、店主の肩に残った。

店主は気づいていない。

客のひとりがそれを見つけたが、教えるより先に、CR機がまた音を立てた。

今度は雷だった。

画面の中を稲妻が走る。店内の蛍光灯が一瞬だけ明滅した。そして液晶の中央に、巨大な文字が現れた。

激熱!!

その文字が、画面の中で激しく揺れる。

次の瞬間。

ぽん、と。文字そのものが液晶から飛び出した。

誰もが息を呑んだ。

巨大な「激熱!!」はゆっくりと天井へ浮かんでいき、蛍光灯の横にぺたりと張りついた。

店主が見上げる。

「……これは、少し大きすぎますね」

客たちから笑いが漏れた。

けれど、その笑いも長くは続かなかった。

液晶の図柄が、ゆっくりと停止していく。

そして――外れ。

それと同時に、店内にあった炎も、水も、桜も、すべて消えた。

天井の「激熱!!」も、ふっと輪郭を失い、その場から消えていった。

店内に、いつもの静けさが戻る。

誰かが小さく息を吐いた。

「……すごい演出だったな」

店主は床を見回した。

「さて。水だけは片付けないといけませんね」

そう言ってモップを手に取る。そのときだった。

「店主さん」

客から声がかかった。

「はい?」

「頭に、何かついてますよ」

店主は不思議そうに手を頭へ伸ばした。指先に触れたのは、小さな花びらだった。

淡い桜色。

店主はそれを手のひらに乗せて、しばらく眺めた。

そして、ふっと笑った。

「……まだ残っていたんですね」

花びらをカウンターに置き、店主はモップを手に歩き出した。

その後ろ姿を見送っていた客が、ふと気づいた。

店主の頭には、もう一枚。桜の花びらが、ひらりと乗っていた。

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作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

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