【57番外】 電子月球兎の表紙画像

【57番外】 電子月球兎

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/30 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 1,818文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

秋のある日、未来都市ではお月見イベントが開かれていた。

街の上空には、都市環境システムによって投影された大きな月が浮かんでいる。建物の間を照らす淡い光は本物の月明かりとほとんど変わらず、広場にはホログラムで作られた月見団子の段がいくつも並べられていた。

参加者たちは思い思いにホログラムの兎耳をつけ、記念撮影をしたり、月を眺めたりしている。中には、肩に小さなホログラムの兎を乗せて歩いている人もいた。

そんな賑やかな街から少し離れた場所に、時環遊技場はあった。その日も店内では、古い遊技台が静かに玉を弾いている。

チリーン。

賞球が出るたび、昔ながらの音が響く。その音に混じって、店の外からは秋の虫の声を再現する小さな昆虫ロボットの鳴き声が聞こえていた。

店主はカウンターから店内を眺めながら、穏やかに笑っている。

その時、一人の常連客がドル箱を覗き込んだ。

「……ん?」

ドル箱の中で、何かが淡く光っている。

「店主、これ……?」

店主も近づいてみる。銀色の玉の一つが、ぼんやりと白く輝いていた。

「これは……不思議ですねぇ」

店主が玉を一つ拾い上げる。

それは普通のパチンコ玉だった。重さも、形も、手触りも変わらない。

ただ、月のような淡い光だけが、その表面からにじむように浮かんでいる。

「発光機能はありません」

従業員アンドロイドが確認する。

「そうですか」

「はい。ですが、発光しています」

「なるほど」

店主は玉を眺めた。

その間にも、ドル箱の中で新しい玉が一つ光った。

ぽうっ。さらに一つ。ぽうっ。

気がつけば、ドル箱の中には小さな月がいくつも並んでいた。

「おお……」

常連客が声を上げる。

「これ、今日のお月見イベントと関係あるんじゃないか?」

「そうかもしれませんねぇ」

別の常連客もドル箱を覗き込む。

「なんだか月見団子みたいだな」

「月見団子?」

「ほら、こうして見ると」

確かに、光る玉が何段にも重なった様子は、白い月見団子が積み上げられているようにも見える。

「言われてみると……」

店主も楽しそうに笑った。

「月見団子ですね」

その時だった。店の入口から、ぴょん、と何かが入ってきた。

「あれ?」

全員が振り返る。それは小さなホログラムの兎だった。透明感のある白い身体が淡く輝き、長い耳を揺らしながら、店内をぴょんぴょん跳ねている。

「お客さん、これ……?」

アンドロイドが尋ねると、入口近くにいた常連客が笑った。

「さっきのお月見イベントでもらったやつだよ。どうもついてきちゃったみたいでさ」

「自律移動機能付きでしょうか」

「たぶんね」

兎はそんな会話には興味も示さず、店内を進んでいく。そして、光る玉がいっぱい入ったドル箱の前でぴたりと止まった。

長い耳が、ぴんと立つ。

ぴょん。ドル箱の周りを一周する。

ぴょん。もう一周。

「気に入ったみたいだな」

「月見団子だと思ってるんでしょうかねぇ」

店主が笑う。

「いやいや、あれはパチンコ玉だよ」

常連客がそう言った瞬間、遊技台から賞球が出た。

チリーン。

兎が振り向く。そして、光る玉を見つめた。

ぽうっ。新しい玉が光る。

兎は嬉しそうに、その場で一度だけ跳ねた。

「おおっ」

店内から笑い声が上がる。

いつの間にか、遊技台の賞球音と、光る玉と、ホログラムの兎が妙に息の合った動きを見せ始めていた。

「なんだか、本当に月見してるみたいだな」

常連客が笑う。

店主はドル箱を眺めながら、少し嬉しそうに頷いた。

「ええ。今年のお月見は、ずいぶん近くで楽しめますねぇ」

その時、店の外から秋の虫ロボットの声が聞こえた。

リーン……リーン……。

するとホログラムの兎が、そちらへ顔を向ける。さらに一匹の虫ロボットが、店内へ入ってきた。

そして光るドル箱の横に止まる。

リーン……。チリーン。虫が鳴く。

賞球が出る。リーン……。チリーン。また虫が鳴く。

いつの間にか、店内は小さな月見会場のようになっていた。

やがて閉店時間が近づき、店内に蛍の光が流れ始める。ホログラムの兎は、その場で静かに立ち止まった。

光っていた玉も、一つ、また一つと普通の銀色へ戻っていく。最後に一つだけ、ドル箱の底で小さな光が残った。

店主はそれを拾い上げる。掌の上で、淡い月のような光が揺れていた。

「来年もまた、見られるといいですねぇ」

店主がそう言うと、ホログラムの兎が、ぴょん。と一度だけ跳ねた。

その夜、街の上空では、まだ大きな擬似月が輝いていた。

そして時環遊技場のドル箱の中には、月見団子にそっくりな銀玉が、静かに積まれていた。

ジャンル・タグ

,

作品統計

👁️ 閲覧数: 2 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

👥 フォロワー: 1人

作者ページを見る