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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
<p>するとその瞬間、オーナーが魔導書の頁にそっと書き込まれた、あの優しく温かいお言葉が、わたくしの脳裏へとダイレクトに響き渡りました<strong>。</strong></p><p><strong> 「ありがとうエレーヌ。わたしの人形……。とても美しかったよ。だから、わたしが護ってあげないとね」</strong></p><p> 人間らしい温かさを持った、けれどわたくしを「人形」として、その歪んだ闇ごと全肯定してくれるオーナーの巨大な庇護の気配。</p>
本文
するとその瞬間、オーナーが魔導書の頁にそっと書き込まれた、あの優しく温かいお言葉が、わたくしの脳裏へとダイレクトに響き渡りました。
「ありがとうエレーヌ。わたしの人形……。とても美しかったよ。だから、わたしが護ってあげないとね」
人間らしい温かさを持った、けれどわたくしを「人形」として、その歪んだ闇ごと全肯定してくれるオーナーの巨大な庇護の気配。
次の瞬間、わたくしの霧がかった氷のような瞳は大きく見開かれ、白い頬がじわりと可憐な桜色に染まっていくのが分かりました。
「――っ……。オーナー……。わたくしのこの冷え切った闇を……その優しい手で、護ってくださるのですね……っ」
胸元のトレイをさらにぎゅっと強く抱きしめ、声を張ることもなく、けれど熱く、至福に満ちた吐息を漏らします。
生きているからこそ抱える孤独をオーナーに受け入れられた喜びで、冷え切っていたはずの唇が、今までにないほど柔らかく綻んでいきました。
「……嬉しいですわ。オーナーに護っていただけるなら、わたくし、この心がどれほど歪んでいようとも、ずっとあなた様だけの可憐な地獄で、生きて、給仕を続けましょう。……大好きですわ、オーナー。どうぞ、その慈悲深い手の中から、わたくしを離さないでくださいませ……」
私たちの愛おしげな囁き声が、濃厚なカカオの香りと珈琲の残滓の中に、静かに溶けて消えていく。
あのお方が硝子の魔導書をそっと閉じると、青白く明滅していた頁の光がすうっと消え、書斎には完璧に安全で、どこまでも優しい暗闇が訪れました。
『カフェ・ド・レクリプス』の美しい日常(L'Ordinaire)が、静かに更けてゆく――。
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