モテモテの日常
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
愛くるしい幼児達に囲まれて。
本文
ただでさえ男女差の少ないこの世界。幼児ともなれば、もはや全員が中性的で天使のように愛らしい。制服だってスカートやズボンといった明確な性別ごとのデザインはなく、全員おそろいだ。
だから、子供たちが俺に寄せる「好き」という感情も、前世のような甘酸っぱい異性愛意識というよりは、「頼りになるお兄ちゃん(お姉ちゃん?)への無邪気な憧れ」といった感じなのだろう。
「れんちゃん、卵焼き交換しよう〜」
「れんくん、お外でお城作ろうよ!」
「れんちゃん、私の絵本読んで!」
自由時間になると、俺の周りには男女問わず大量の園児たちがワラワラと群がってくる。
お人形のように綺麗な男の子も、元気いっぱいな女の子も、全員が俺の隣をかけて愛らしくも壮絶なポジション争いを繰り広げるのだ。
「れんちゃんの隣はぼくだよ!」
そう言って俺の腕をがっちりキープするのは、すっかり懐いた優ちゃんだ。
「優、みんなで一緒に遊ぼう。砂場で大きなお城を作ろうか」
俺が優の頭をポンポンと撫でてやると、ふにゃりと口元を緩めて顔をほころばせる。
「うん! ぼく、れんちゃんとお城作る! れんちゃんだーいすき!」
……うっ、可愛いすぎる。癒やし効果が半端じゃない。
俺からすれば優は愛くるしい幼児なのだが、優からすると俺は「頼もしい憧れのお兄ちゃん」にでも見えているのだろうか。
そして気づけば、俺の評判は園内にとどまらず、園外にまで広まっていた。
お迎えの時間になると、集まってきた保護者たち――見た目からはマダムなのか紳士なのかさっぱり分からないが――が俺を見ては「まあ……」とうっとりため息をついている。
鏡を見る限り、俺の容姿は自分でも認めるレベルの超絶美幼児だ。
そのズバ抜けたルックスに加え、他の園児たちの面倒をテキパキと見る年相応とは思えない包容力。さらには「国内有数の大企業グループの御曹司」という超ハイスペックな家柄まで揃っている。
……うん、これで目立たないように過ごせという方が無理な話だった。
「静かに平凡に生きたい」という俺のささやかな望みとは裏腹に、周囲からの「神童」という評価は、今日も今日とてうなぎ登りなのだった。
そんな賑やかなモテモテ幼稚園ライフを送る側で俺はもう一つの顔を持っていた。
作品統計
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