あし、くび
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
連作短篇の形式で語られる怪談ノワール。
本文
新聞より抜粋
×月×日
足首のない少女の遺体発見。
遺体はかなり毀損しており、死後数週間が経過。
不明少女か?
×月×日
公開捜査。不明少女らの詳細を発表。
×月×日
最悪の連続殺人。
衣服と遺体の一部を収容。
×月×日
犠牲者の数はさらに増える模様。
被害者はいずれも足首を切断された状態で殺害され……
×月×日
連続足切り殺人。
犯人逮捕。父子二代にわたる変質者。
父親は五件の拉致殺人容疑で有罪。五年前に死刑執行。
被害少女一名救出。
あしが、いたい。
ないのに。あしくびから、さきはないのに、いたいの。
なんでないの。よっちゃんも、きみちゃんも、ちづこも、あるのに、なんであたしだけ、りょうあしのさきがないの? ねえ。
いたくて、ねむれない。
にげたいのに、たてない。
どうして。なの。おかあさん。いつからあたしはここにいるの。
かんごふさんが、おくすりをくれる。おいしゃさんがいってた、きゅうしにいっしょう、ってなんのこと。
あしくびの、きれたところから、なんかはえてきた。
いたいいところが、ふくらんで、いっそう、いたくてつらい。
じくじく、しろいしるがでて、うんだところがやぶれちゃって、さゆうの、あしくびのあったところから、ちいさな、あたまがはえた。
このひとのかおしっている。おとうさんじゃ、ない。
どっちのかおもおぼえてる。
うんこよりもきたない、くさい、いやあなめだまがあたしをみてる。
あたしをなぐる。いきなりける。はが、ぐらぐらする。かみのけがぬけた。いきが、できない。くるしくても、たてない。
くさい。くさい。ちのいろはあかくないの。
もっと、のめ。ゆけつしてやる。っていってたの。だれ?
ゆけつは、もう、いや。いたいのはいや。
わかいおとこのかおのうしろで、としをとったおとこのかおが、こっちをみてる。みおろしている。
たすけて、くれない。うんこみたいにくずれた、おおきなくちが、げしゃげしゃわらって、もっと、もっと、ってけしかけるの。
だして、ここから。あしくびをかえして。
いたい、いたい、いたいのはもう、いや。
おまわりさんたすけて。
おまわりさん、おまわりさん、あいつをうちころして。
おまわりさんがつかまえたのね。
ぴすとるで、おどして、なぐって。でも、なんでうたなかったの。
しるが、でるから? しるはくさいから。そうなの。しるがかかるから、いやだったの? あたしがゆうかいされて、あしくびをとられるまえに、たすけてくれなかったのは、なんで。
かんごふさんがはなしてた。
おかされたって、なんのこと。はんにんはどうなったの。つかまったなら、とったものはかえすでしょ。
あしくびは、かえしてくれるのかしら。
このかおはきらい。
はえたあたまは、ひだりのかおはとしよりで、みぎのかおはわかいけど、あしくびじゃない。しろいしるをにじませて、ふたつのかおが、にっ、とわらった。
こわい。こわいの。このかおが、あたしをみたら、またいじめるわぜったい。
あしくびじゃないなら、なんどはえてもつぶしてやる。このかおはきらい。
きづちで、たたいたら、おとこのかおから、ちがでた。でた。
あら、おかしい。このちは、あかいわ。