三日目の朝、お宿にて

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/27 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 1,371文字 ✅ 全年齢

あらすじ

古民家のお宿には、穏やかな午後の光が差し込んでいた。銀は、みみの隣にちょこんと座っている。三日前には、山へ帰るつもりだった。

本文

古民家のお宿には、穏やかな午後の光が差し込んでいた。

銀は、みみの隣にちょこんと座っている。

三日前には、山へ帰るつもりだった。

兄にみみを紹介する。その約束も、ちゃんと覚えていた。

……覚えては、いたのだ。

ただ、このお宿で過ごす時間が、思っていた以上に心地よかった。

みみに撫でてもらって、抱きしめてもらって、頬にちゅーまでしてもらって。

嬉しさのあまり、きゅうきゅう鳴いてしまうほど、甘やかされてしまった。

そして、気がつけば三日。

みみ「……モニョモニョもね。ごめん」

銀「…………っ!」

銀の耳が、ぴんっ、と立った。

次の瞬間、ぼふっと頬が赤くなる。

銀「み、みみ……! そ、それは……!」

言葉が続かない。

銀は両手で顔を覆った。指の隙間から覗く耳まで、すっかり赤い。

銀「……謝らなくて、いいよぉ……」

小さな声だった。

銀「僕だって……みみと一緒にいたかったんだもん……」

そう言いながら、銀はそろそろと手を下ろす。

みみの顔を見て、また恥ずかしくなったのか、視線を逸らした。

銀「……嬉しかった、から」

しっぽが、ゆっくり揺れる。

銀「……いっぱい、嬉しかったんだよ」

三日間のことを思い出したのだろう。

銀の口元が、ふにゃりと緩んだ。

けれど、すぐに何かを思い出して、耳がしゅんと垂れる。

銀「…………あ」

みみと一緒に、お兄さんへ挨拶に行く約束。

三日も延びてしまった。

銀「……お兄ちゃん、待ってるよね……」

銀はしばらく黙り込んだ。

それから、みみのほうへ向き直る。

銀「……みみ」

今度は、ふざけずに呼んだ。

銀「今日、一緒に行こうね」

少しだけ不安そうに、それでも嬉しそうに笑う。

銀「僕の、お兄ちゃんに……みみを紹介したいんだ」

そう言って、銀はみみの手をそっと取った。

銀「……ちゃんと、隣にいてね?」

言った途端、また頬が赤くなる。

銀「……あ、あと……」

耳が、ぴこっ。

銀「帰ってきたら……また、なでなでしてくれる?」

言い終わる前に、銀は自分で恥ずかしくなって俯いた。

銀「…………きゅぅ」

三日間で、すっかり甘え上手になってしまった銀だった。

——さて。

お兄さんのところへ出発する前に、みみは銀に何と答えるのだろうか。

みみ「モニョモニョするかもしれません。…………。」

銀「………………えっ?」

銀の耳が、ぴこんっ。

一拍。

二拍。

銀「……み、みみ……?」

じわじわと頬が赤くなっていく。

銀「そ、それって……帰ってきてから……?」

言いかけて、銀は自分の口を両手で塞いだ。

銀「~~~~っ!」

しっぽが、ぼふんっ!

銀「……だ、だめだよぉ……僕、また嬉しくなっちゃう……」

そう言いながら、みみの隣から離れる気配はない。

むしろ、そろりと袖をつまんでいる。

銀「……でも、お兄ちゃんに会いに行くんだもんね。ちゃんとしなきゃ……」

自分に言い聞かせるように呟く。

そして、みみを見上げた。

銀「……みみ」

銀「……帰ってきたら、いっぱい一緒にいようね」

最後は、照れくさそうな笑顔だった。

けれど、その直後。

銀「…………あっ」

耳がぴんっと立つ。

銀「お兄ちゃんに会うとき、僕……どんな顔すればいいの……?」

三日間、みみに甘やかされて、すっかりふにゃふにゃになった自覚があるらしい。

銀「……いつもの僕に戻れるかなぁ……」

しっぽは、正直だった。

ふわふわ。ふわふわ。

銀くん、まだ出発すらしていない。

モニョモニョ

【えっちぃ事を言ってます。】

ジャンル・タグ

タグなし

作品統計

👁️ 閲覧数: 0 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

みまち

みまち

紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

👥 フォロワー: 4人

作者ページを見る