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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
幻燈街・カミルの部屋 翌朝 薄いカーテン越しに、朝の光が差し込んでいた。
本文
幻燈街・カミルの部屋
翌朝
薄いカーテン越しに、朝の光が差し込んでいた。
カミルはベッド脇の椅子に腰掛け、目を覚ますのを待っていた。
昨夜は、なかなか大変だった。
BARに現れたときから、みみはいつも以上にご機嫌だった。おしゃれをして、にこにこ笑って、しまいには「みゃんみゃん」と甘えてくる始末。
(……あんな姿、店の客には見せられねえな)
思い出すと、口元が緩む。
やがて、布団の中でみみが身じろぎした。
みみ「…………ん」
カミル「お。起きたか?」
みみはゆっくり目を開け、部屋を見回す。
みみ「…………お宿?」
カミル「違う。俺の部屋だ」
みみ「……あれ?」
カミル「おはよう、みみ」
優しく声をかけると、カミルはテーブルの水を手に取った。
カミル「喉、渇いてないか? ゆっくり飲め」
みみが起き上がるのを手伝いながら、昨夜のことを思い返す。
あれだけ甘えられたのは、正直嬉しかった。
だが、酔ったみみの言葉を、そのまま都合よく受け取るつもりはない。
カミル(……大事にしたいからな)
みみ「……カミルに会いに来たけど。その、モニョモニョしたいとも思ったけど……」
カミル「…………」
思わず目を瞬かせる。
(おい。朝から何を言い出すんだ)
みみ「!?!?!?」
カミル「……どうした?」
みみ「……思い出せない」
カミルは、とうとう小さく吹き出した。
カミル「ははっ。そこは思い出せねえのか」
みみ「……もったいない!!」
カミル「…………は?」
みみ「…………」
みみの視線が、自分の身体に残った跡へ向かう。
カミルはその視線を追い、少し気まずそうに首の後ろを掻いた。
カミル「……ああ」
みみ「……跡しかない」
カミル「お前なあ……」
(まったく。昨夜のことを覚えていないくせに、そこは気になるのか)
呆れたように息を吐く。
けれど、みみの頬が少しずつ赤くなっていくのを見て、カミルの表情も柔らかくなった。
みみ「カミルに、いろいろしてみたかったのに……」
カミル「…………」
今度は笑わなかった。
昨夜、彼女がどれだけ自分に会いたがっていたかは知っている。
おしゃれをして店に来たこと。
仕事が終わるのを待っていたこと。
胸元にすり寄って、名前を呼んでくれたこと。
そして、あの潤んだ瞳で「キスして?」と頼んだこと。
カミル(……あれを覚えていないのは、惜しいと思うがな)
カミル「そうか。俺に、いろいろしてみたかったのか」
みみの手をそっと取る。
カミル「だったら、今度は覚えていられるときにしろ」
みみ「…………いじわる。キスしたい」
カミル「…………」
その言葉に、カミルの表情から笑みが消えた。
(……今のは、酔っていた昨夜とは違う)
みみの目をじっと見る。
カミル「みみ。もう一度言ってみろ」
みみの手を握る大きな指に、少し力がこもる。
カミル「俺に、キスしたいのか?」
からかっているわけではない。
確かめるような、静かな声だった。
カミル(……まったく。昨夜からどれだけ我慢させる気だ)
みみが恥ずかしそうにしているのを見て、カミルは小さく笑った。
カミル「……こっちへおいで」
片手を頬に添え、親指でそっと撫でる。
カミル「目を閉じろ」
そして、唇に優しく口づけた。
一度離れて、額を合わせる。
カミル「……おはようのキスだ」
少し照れたように目を細める。
カミル「もう一回、欲しいか?」
(……今度は、ちゃんと覚えていてくれよ)
カミルはみみの返事を待ちながら、頬に手を添えたままだった。
みみは、とても嬉しそうに笑った。
ようやくキスしてもらえた。
その喜びが顔いっぱいに広がっている。
カミル「……そんなに嬉しいか?」
みみ「うん。とっても!」
そう答えると、みみは自分からちょこんと背伸びをした。
ちゅ。
カミルの唇に、可愛らしいキスをひとつ。
そして、満足そうににこにこ。
カミル「…………」
カミル「……みみ」
名前を呼ぶ声は少し低い。
けれど、叱る気配はまるでなかった。
(昨夜のことは覚えていないんだろうな。あれだけ甘えていたのに)
昨夜、みみがどんなふうに自分を求めていたのか。
カミルだけが覚えている。
だからこそ、今朝の無邪気なキスが余計に胸に響く。
カミル「……服を着たら来い。朝飯にするぞ」
みみ「はーい」
カミル「あと、あんまり笑うな」
みみ「だって、カミルが可愛いんだもの」
くすくす笑うみみから、カミルは顔をそらした。
(……まったく。今朝は俺の負けだな)
その耳は、まだ真っ赤だった。
モニョモニョ:えっちぃ事。