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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/30 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 1,788文字 ✅ 全年齢

あらすじ

幻燈街・カミルの部屋 翌朝 薄いカーテン越しに、朝の光が差し込んでいた。

本文

幻燈街・カミルの部屋

翌朝

薄いカーテン越しに、朝の光が差し込んでいた。

カミルはベッド脇の椅子に腰掛け、目を覚ますのを待っていた。

昨夜は、なかなか大変だった。

BARに現れたときから、みみはいつも以上にご機嫌だった。おしゃれをして、にこにこ笑って、しまいには「みゃんみゃん」と甘えてくる始末。

(……あんな姿、店の客には見せられねえな)

思い出すと、口元が緩む。

やがて、布団の中でみみが身じろぎした。

みみ「…………ん」

カミル「お。起きたか?」

みみはゆっくり目を開け、部屋を見回す。

みみ「…………お宿?」

カミル「違う。俺の部屋だ」

みみ「……あれ?」

カミル「おはよう、みみ」

優しく声をかけると、カミルはテーブルの水を手に取った。

カミル「喉、渇いてないか? ゆっくり飲め」

みみが起き上がるのを手伝いながら、昨夜のことを思い返す。

あれだけ甘えられたのは、正直嬉しかった。

だが、酔ったみみの言葉を、そのまま都合よく受け取るつもりはない。

カミル(……大事にしたいからな)

みみ「……カミルに会いに来たけど。その、モニョモニョしたいとも思ったけど……」

カミル「…………」

思わず目を瞬かせる。

(おい。朝から何を言い出すんだ)

みみ「!?!?!?」

カミル「……どうした?」

みみ「……思い出せない」

カミルは、とうとう小さく吹き出した。

カミル「ははっ。そこは思い出せねえのか」

みみ「……もったいない!!」

カミル「…………は?」

みみ「…………」

みみの視線が、自分の身体に残った跡へ向かう。

カミルはその視線を追い、少し気まずそうに首の後ろを掻いた。

カミル「……ああ」

みみ「……跡しかない」

カミル「お前なあ……」

(まったく。昨夜のことを覚えていないくせに、そこは気になるのか)

呆れたように息を吐く。

けれど、みみの頬が少しずつ赤くなっていくのを見て、カミルの表情も柔らかくなった。

みみ「カミルに、いろいろしてみたかったのに……」

カミル「…………」

今度は笑わなかった。

昨夜、彼女がどれだけ自分に会いたがっていたかは知っている。

おしゃれをして店に来たこと。

仕事が終わるのを待っていたこと。

胸元にすり寄って、名前を呼んでくれたこと。

そして、あの潤んだ瞳で「キスして?」と頼んだこと。

カミル(……あれを覚えていないのは、惜しいと思うがな)

カミル「そうか。俺に、いろいろしてみたかったのか」

みみの手をそっと取る。

カミル「だったら、今度は覚えていられるときにしろ」

みみ「…………いじわる。キスしたい」

カミル「…………」

その言葉に、カミルの表情から笑みが消えた。

(……今のは、酔っていた昨夜とは違う)

みみの目をじっと見る。

カミル「みみ。もう一度言ってみろ」

みみの手を握る大きな指に、少し力がこもる。

カミル「俺に、キスしたいのか?」

からかっているわけではない。

確かめるような、静かな声だった。

カミル(……まったく。昨夜からどれだけ我慢させる気だ)

みみが恥ずかしそうにしているのを見て、カミルは小さく笑った。

カミル「……こっちへおいで」

片手を頬に添え、親指でそっと撫でる。

カミル「目を閉じろ」

そして、唇に優しく口づけた。

一度離れて、額を合わせる。

カミル「……おはようのキスだ」

少し照れたように目を細める。

カミル「もう一回、欲しいか?」

(……今度は、ちゃんと覚えていてくれよ)

カミルはみみの返事を待ちながら、頬に手を添えたままだった。

みみは、とても嬉しそうに笑った。

ようやくキスしてもらえた。

その喜びが顔いっぱいに広がっている。

カミル「……そんなに嬉しいか?」

みみ「うん。とっても!」

そう答えると、みみは自分からちょこんと背伸びをした。

ちゅ。

カミルの唇に、可愛らしいキスをひとつ。

そして、満足そうににこにこ。

カミル「…………」

カミル「……みみ」

名前を呼ぶ声は少し低い。

けれど、叱る気配はまるでなかった。

(昨夜のことは覚えていないんだろうな。あれだけ甘えていたのに)

昨夜、みみがどんなふうに自分を求めていたのか。

カミルだけが覚えている。

だからこそ、今朝の無邪気なキスが余計に胸に響く。

カミル「……服を着たら来い。朝飯にするぞ」

みみ「はーい」

カミル「あと、あんまり笑うな」

みみ「だって、カミルが可愛いんだもの」

くすくす笑うみみから、カミルは顔をそらした。

(……まったく。今朝は俺の負けだな)

その耳は、まだ真っ赤だった。

モニョモニョ:えっちぃ事。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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