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第三話『ちいももは、何等身?』

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📅 公開日: 2026/10/30 📚 シリーズ: ちいもも物語A 📝 5,815文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある朝、ちいももはケイモモを、 桃の里から少し離れた町へお出かけに誘います。 ふたりが花風トロッコに乗って向かったのは、 美しい花々に囲まれた花鈴町。 そこには、ちょっと不思議な、 「等身測定店」がありました。 お店の優しい店主、 ハカリーノさんに迎えられたふたりは、 自分たちが何頭身なのかをはかってもらうことに。 花風トロッコでの小さな旅と、 不思議なお店での新しい発見。 ケイモモとちいももの、 桃の里での優しくて微笑ましい一日を描いたお話です。

本文

桃の里に、柔らかな朝の光が差し込んでいた。

僕とちいももは、小さなおうちのテーブルで朝ごはんを食べていた。

「ケイモモ、今日はお出かけしたいモモ」

「お出かけ? どこに行きたいの?」

「桃の里の近くに、かわいい町があるモモ。そこに行ってみたいモモ」

「へえ、そんな町があるんだね」

ちいももは、パンを小さな口で頬張りながら、こくんとうなずいた。

「うん。トロッコに乗って行けるモモ」

「トロッコ?」

「そうだモモ。お花の山を通って、きらきらの川を渡っていくモモ」

僕は少し驚いた。

桃の里には、まだ僕の知らない場所がたくさんあるらしい。

「それは楽しそうだね。じゃあ、今日はその町に行こうか」

「うん!」

ちいももは嬉しそうに笑った。

そして、何かを思い出したように言った。

「あっ、ケイモモ。その町には、ちょっと変わったお店があるモモ」

「変わったお店?」

「うん。何頭身か、はかってくれるお店だモモ」

「何頭身……?」

僕は思わず聞き返した。

「そうだモモ。頭がいくつ分あるか、はかってくれるモモ」

「へえ……面白いね」

「ちいもも、まだはかったことないモモ。ケイモモと一緒にはかってみたいモモ」

ちいももは、小さな両手をテーブルの上に置いて、僕を見上げた。

「いいよ。じゃあ、ふたりではかってもらおう」

「えへへ……楽しみだモモ」

ちいももの首元の鈴が、ちりんと鳴った。

◆

朝ごはんを終えた僕たちは、桃の里の外れにある小さな乗り場へ向かった。

そこには、木でできた可愛らしい駅舎が建っていた。

屋根には桃色の瓦が並び、

看板には丸い文字で『花風トロッコ・桃の里駅』と書かれている。

線路は桃の木々の間を抜け、遠くの山へと続いていた。

「ケイモモ、あれだモモ」

ちいももが指さした先に、小さな乗り物が停まっていた。

木製の車体に、丸い屋根。

窓には花の形をした飾りがついていて、

車輪の周りには淡い金色の光が漂っている。

先頭には小さな風車がついていて、風を受けてゆっくり回っていた。

「……かわいいトロッコだね」

「うん。お花の風で走るモモ」

「お花の風?」

「そうだモモ。だから、煙も出ないモモ」

僕は感心しながらトロッコに近づいた。

車内には小さな木のベンチが並び、窓辺には桃色のクッションが置かれている。

僕が席に座ると、ちいももは隣の座席によじ登ろうとした。

「よいしょ……モモ……」

けれど、少し高さがあるようだった。

「抱っこしようか?」

「うん、お願いだモモ」

僕はちいももをそっと抱き上げ、隣に座らせた。

「ありがとうだモモ」

ちいももは嬉しそうに座り直し、窓の外を眺めた。

やがて、小さな鐘が鳴った。からん、ころん。

トロッコがゆっくりと動き始める。

車輪が線路を転がる音は、ころころ、ことことと、

まるで優しい子守歌のようだった。

「ケイモモ、動いたモモ」

「うん。出発だね」

窓の外では、桃の木々がゆっくりと後ろへ流れていく。

花びらが風に乗って舞い、ときどき窓から車内に入り込んできた。

ちいももは、その一枚を小さな手で受け止めた。

「……きれいだモモ」

トロッコは花の咲く丘を越え、透明な川に架かった小さな橋を渡った。

川の水面には、空の桃色が映り込んでいる。

ちいももは窓から景色を眺めながら、ときどき僕に話しかけた。

「ケイモモ、あのお山、桃の形に見えるモモ」

「本当だね。てっぺんが少しくぼんでいるね」

「えへへ……桃のお山だモモ」

僕たちは並んで座り、のんびりと景色を楽しんだ。

◆

しばらくすると、トロッコは小さな町に到着した。

駅の看板には『花鈴町』と書かれていた。

石畳の道が続く町には、色とりどりの屋根をしたお店が並んでいる。

パン屋さんからは焼きたてのパンの香りが漂い、

花屋さんの前には小さな鉢植えが並んでいた。

道の真ん中には、花の形をした噴水があり、透明な水がきらきらと輝いている。

「ここが花鈴町だモモ」

「素敵な町だね」

ちいももは僕の手を握り、ぽてぽてと歩き始めた。

「お店はこっちだモモ」

少し歩くと、可愛らしい建物が見えてきた。

クリーム色の壁に、薄桃色の屋根。

入口の上には、大きな木の定規が飾られている。

そして看板には、こう書かれていた。

『何頭身でしょう? ふしぎな等身測定店』

僕は思わず笑ってしまった。

「本当に、何頭身かはかるお店なんだね」

「そうだモモ」

ちいももは、少し得意そうにうなずいた。

入口の横には、小さな黒板が置かれていた。

『あなたは何頭身?

 頭の大きさと身長から、ぴったりの等身をお調べします。

 小さな方も、大きな方も、どうぞお気軽に。』

「……面白そうだね」

「入ってみるモモ?」

「うん、入ってみよう」

僕が扉を開けると、からん、と小さな鈴が鳴った。

◆

お店の中には、木の棚がいくつも並び、

さまざまな大きさの定規や測定器が置かれていた。

壁には、一頭身から八頭身までの人物や生き物の絵が飾られている。

奥のカウンターには、丸い眼鏡をかけた小柄なおじいさんが座っていた。

「いらっしゃいませ。等身測定店へようこそ」

おじいさんは優しく微笑んだ。

「こんにちは。ふたりの等身をはかっていただきたいんですが」

「もちろんですよ」

おじいさんはカウンターから出てきて、ちいももの姿を見つめた。

「おやおや、なんとも愛らしいお客さんですね」

「こんにちはだモモ」

ちいももは小さく頭を下げた。

「こんにちは。お名前を聞いてもよろしいですかな?」

「ちいももだモモ」

「ちいももさんですか。かわいらしいお名前ですね」

「えへへ……ありがとうだモモ」

おじいさんは、にこにこと笑った。

「私は、このお店の店主、ハカリーノと申します。

 もう長いこと、この町で等身をはかっているんですよ」

「等身をはかるのが、お仕事なんですね」

「ええ。人間も、小さな妖精も、不思議な生き物も、

 いろいろなお客さんが来ますからね」

ハカリーノさんは、壁に飾られた絵を指さした。

「等身というのは、身長が頭の縦の長さの何倍あるかを表すものです。

 たとえば七頭身なら、頭の長さ七つ分が全身の高さになるわけです」

「なるほど……」

僕がうなずくと、ちいももが僕の服を引っ張った。

「ケイモモ……」

「ん?」

「頭が七つあるモモ?」

「ふふ、違うよ。頭の大きさを七つ並べると、身長と同じになるってことだよ」

「……そうなんだモモ」

ちいももは、僕の頭をじっと見上げた。

それから、自分の頭に小さな手を乗せた。

「……ちいももは、いくつモモ?」

ハカリーノさんが微笑んだ。

「それを、これから調べましょう」

◆

最初に測定するのは僕だった。

お店の奥には、大きな鏡と、金色の目盛りがついた測定台が置かれていた。

「では、ケイモモさん。こちらに立ってください」

僕は言われたとおり、測定台の上に立った。

ハカリーノさんが小さなレバーを引くと、天井から淡い光の輪が降りてきた。

「おや、光るんですね」

「ええ。この測定器は、頭の大きさと身長を同時にはかることができるんです」

光の輪が僕の頭から足元まで、ゆっくりと降りていった。

ちいももは少し離れたところから、興味深そうに眺めている。

「ケイモモ、きらきらしてるモモ」

「そうだね」

やがて、測定器が小さな音を立てた。ちりん。

金色の目盛りが光り、鏡の横に数字が浮かび上がった。

『七頭身』

「おお、七頭身ですね」

ハカリーノさんが言った。

「頭の縦の長さが、ちょうど全身の七分の一ほどになっています」

「へえ……僕は七頭身なんですね」

「ええ。すらりとした、自然な体のバランスですよ」

ちいももは、鏡に映った僕の姿を見上げた。

「ケイモモ、七頭身なんだモモ」

「そうみたいだね」

「……七つモモ」

ちいももは、自分の短い指を見つめた。

両手を使って、一生懸命七つ数えようとしている。

「いち、に、さん……」

途中で少し考え込んだあと、僕を見上げた。

「ケイモモ、七って、いっぱいだモモね」

「ふふ、そうだね」

ハカリーノさんも、穏やかに笑っていた。

◆

「では、次はちいももさんですね」

ハカリーノさんが声をかけると、ちいももは小さくうなずいた。

「はいだモモ」

けれど、測定台はちいももには少し大きすぎるようだった。

ハカリーノさんは棚から小さな木の台を取り出した。

「こちらに乗ってくださいね」

ちいももは僕に抱き上げてもらい、小さな台の上に立った。

ふわふわの桃色の体。まんまるの白いお顔。

頭には桃の飾りがあって、首元には小さな鈴がついている。

短い手足でちょこんと立つ姿を見て、僕は思わず微笑んだ。

「では、動かずにいてくださいね」

「うん、わかったモモ」

ハカリーノさんがレバーを引くと、今度は小さな光の輪が現れた。

ちいももの頭から足元へ、ゆっくりと降りていく。

ちいももは少しくすぐったそうに目を細めた。

「……ふわふわするモモ」

「光が優しく触れているだけですから、大丈夫ですよ」

やがて、ちりん、と音が鳴った。

鏡の横に、桃色の数字が浮かび上がった。

『二頭身』

「おや、きれいな二頭身ですね」

ハカリーノさんが嬉しそうに言った。

「二頭身……?」

僕がつぶやくと、ちいももが首をかしげた。

「ちいもも、二頭身モモ?」

「そうですよ。頭の縦の長さが、全身の高さの半分ほどあるのです」

「……半分モモ?」

ハカリーノさんは、壁にかけてあった二頭身の絵を指さした。

「ほら、こちらをご覧ください。頭の大きさが、体の半分くらいでしょう?」

ちいももは絵をじっと見つめた。

それから、鏡に映った自分の姿を見た。

「……ほんとだモモ」

小さな手で、自分のまんまるの頭をそっと触った。

「ちいもも、頭がおっきいモモね」

「ふふ、そうだね」

僕が笑うと、ちいももも少し笑った。

「でも、ちいもものその姿、僕は大好きだよ」

「……えへへ」

ちいももは嬉しそうに目を細めた。

ハカリーノさんもうなずいた。

「二頭身というのは、とても愛らしく見える体のバランスなのですよ。

絵本に出てくる小さな生き物にも、よく見られます」

「そうなんだモモ……」

ちいももはもう一度鏡を見た。そして、ぽつりと言った。

「……ちいもも、二頭身なんだモモ」

自分の新しい発見を、ゆっくり確かめているようだった。

◆

測定が終わると、ハカリーノさんは二枚の小さなカードを持ってきた。

一枚には、僕の姿と『七頭身』の文字。

もう一枚には、ちいももの姿と『二頭身』の文字が描かれている。

「こちらは、測定の記念カードです。

 今日の思い出に、どうぞお持ち帰りください」

「ありがとうございます」

僕が受け取ると、ちいももは自分のカードをじっと見つめた。

「……ちいももがいるモモ」

「そうだね。ちいももの絵が描いてあるよ」

カードの中のちいももは、まんまるの頭に小さな体で、ちょこんと立っていた。

「ケイモモのカードも見たいモモ」

「いいよ」

僕は自分のカードを隣に並べた。

七頭身の僕と、二頭身のちいもも。

ふたりの体のバランスは、ずいぶん違っていた。

「……ケイモモは、すらっとしてるモモね」

「ちいももは、まんまるだね」

「うん。ちいもも、まんまるだモモ」

ちいももは、少し嬉しそうに笑った。

ハカリーノさんは、そんなふたりを眺めながら言った。

「等身というものは、それぞれの姿の特徴を表す数字です。

七頭身も二頭身も、どちらが優れているというものではありません。

それぞれに、その方らしい美しさがあるのですよ」

僕はうなずいた。

「そうですね」

ちいももはカードを両手で大事そうに持っていた。

「先生、ありがとうだモモ」

「ふふ、私は先生ではありませんが……どういたしまして」

ハカリーノさんは優しく微笑んだ。

僕たちはお礼を言って、お店をあとにした。

◆

帰りの花風トロッコは、夕暮れの光の中をゆっくり走っていた。

窓の外では、桃色の空が少しずつ金色に変わっていく。

ちいももは僕の隣に座り、測定カードを何度も眺めていた。

「ケイモモ」

「ん?」

「ケイモモは七頭身で、ちいももは二頭身だモモね」

「うん、そうだね」

「……五つも違うモモ」

僕は少し笑った。

「そうだね。

 でも、等身は体の割合だから、

 五つ違うからって、頭が五個分大きいわけじゃないんだよ」

「……そうなんだモモ」

ちいももは、少し考えたあと、僕の顔を見上げた。

「ケイモモ」

「なあに?」

「ちいもも、二頭身でよかったモモ」

「どうして?」

「だって……」

ちいももは、自分の小さな体を見下ろした。

「ちいもも、この体、気に入ってるモモ」

僕は、その言葉を聞いて微笑んだ。

「僕も、ちいもものその姿が好きだよ」

ちいももは、僕の腕にそっと寄り添った。

「……えへへ」

トロッコが小さな橋を渡ると、川面に夕焼けがきらきらと映った。

ちいももはカードを大切そうに胸に抱き、窓の外を眺めていた。

首元の鈴が、ちりんと優しく鳴った。

◆

桃の里のおうちに帰ると、

僕たちは二枚の測定カードを、部屋の棚に並べて飾った。

「ここでいいかな?」

「うん。よく見えるモモ」

ちいももは、棚の前に立ってカードを眺めた。

僕の七頭身のカードと、ちいももの二頭身のカードが、仲良く並んでいる。

「ケイモモ」

「ん?」

「今日、楽しかったモモ」

「僕も楽しかったよ」

「また、トロッコに乗りたいモモ」

「うん。また一緒に乗ろうね」

ちいももは嬉しそうにうなずいた。

それから、僕のほうへ小さな両手を伸ばした。

「ケイモモ、抱っこしてほしいモモ」

「もちろん」

僕が抱き上げると、ちいももは僕の胸にぴったりと寄り添った。

二頭身の小さな体は、僕の腕の中にすっぽりと収まった。

「……ちいもも、本当に小さいね」

「うん。ちいもも、ちっちゃいモモ」

ちいももは、僕の服をきゅっとつかんだ。

「でも、ケイモモに抱っこしてもらうのに、ちょうどいいモモ」

僕は思わず微笑んだ。

「ふふ、そうかもしれないね」

ちいももも、小さく笑った。

窓の外では、桃の花びらが夕風に揺れている。

今日、僕たちは初めて、自分たちが何頭身なのかを知った。

僕は七頭身。ちいももは二頭身。

並んで立つと、姿も大きさもずいぶん違う。

けれど、こうして抱きしめると、

小さなちいももは僕の腕の中に自然に収まってくれる。

「……ケイモモ」

「なあに?」

「ちいもも、また明日も一緒にいたいモモ」

「うん。明日も一緒だよ」

ちいももは安心したように目を細めた。

「……嬉しいモモ」

ちりん。小さな鈴の音が、お部屋に響いた。

棚の上では、七頭身と二頭身の記念カードが、夕暮れの光に優しく照らされていた。

桃の里で過ごす、またひとつの小さな思い出。

僕は、腕の中のちいももをそっとなでながら、今日の楽しい一日を思い返していた。

――第三話・おわり――

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作者について

ケイモモ

ケイモモ

はじめまして、ケイモモです。 相棒の「ちいもも」と一緒に、物語の世界をのんびり旅しています。 読む人の心に、そっと小さな花が咲くような。 笑ったり、ドキドキしたり、ときには胸がきゅっとなるような...

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