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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/30 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 3,178文字 ✅ 全年齢

あらすじ

カミル視点 みみ「台帳様、お友達に連絡……」台帳様「おお!そうじゃな!」

本文

カミル視点

みみ「台帳様、お友達に連絡……」

台帳様「おお! そうじゃな!」

金箔が、ぱらぱらぱらっ!

表紙いっぱいに散った金箔が、嬉しそうにぐるぐると回り出す。

台帳様「久々にあの方々へ声をかけるとするかのう」

みみ「お願いします」

台帳様「任せておけ!」

……あの方々?

俺は耳を立てた。

台帳様が、誰かに助けを求める。

しかも、これほど嬉しそうに。

カミル「……台帳様。その友人とは?」

台帳様「ふふん。おぬしらが普段お目にかかれる方々ではないぞ」

金箔が、またひときわ大きく回った。

台帳様「さて、少々上の方々にお越しいただこうかの」

(……少々、だと?)

俺はみみを自分の側へ寄せながら、怪異への警戒を強めた。

この場に、何が来る。

カミル視点

みみ「あっ! 捧げ物ない!」

台帳様「…………」

金箔が、ぴたり。

台帳様「……おぬし、今それに気づいたのか」

みみ「だって、お友達を呼ぶんでしょう?」

台帳様「うむ。あの方々は、そういう形式を好まれることもあるが……」

金箔が、ひとひらぱらり。

台帳様「今回はわしからの招待じゃ。気にせずともよい」

みみ「本当に?」

台帳様「本当じゃとも!」

(……会話についていけん)

俺は怪異を警戒したまま、みみを見下ろした。

カミル「みみ。捧げ物の心配より、まず俺のそばにいろ」

みみ「でも……」

カミル「でも、じゃない」

……今度は俺が説教する番だ

みみ「うーん、何かないかな!!」

守り札を握ったまま、みみは巾着を探り始めた。

俺は思わず目を細める。

(今、何を探している……?)

みみ「あっ! あるよ!」

ぱっと顔を輝かせる。

みみ「じゃ〜ん! 大樹の葉っぱ!」

取り出したのは、深い緑色の葉。

葉脈の奥に、淡い光が宿っている。

台帳様「おおお……!」

金箔が、ぱらぱらぱらっ!

台帳様「これはまた……! みみよ、それを捧げるというのか?」

みみ「うん! お友達にどうぞ!」

台帳様「ありがたく預かろう!」

金箔が、今度は勢いよくぐるぐる回る。

(……大樹の葉?)

俺はその葉を見つめた。

ただの贈り物ではない。

気軽に扱ってよいものなのかも分からない。

カミル「みみ。それは大切なものではないのか」

みみ「大丈夫。大樹からの贈り物だもの」

……そう言って笑う。

俺は小さく息を吐いた。

この場で一番危なっかしいのは、やはり彼女だ。

みみ「そーれ!」

台帳様「待て待て! みみよ、全部はいかん!」

みみ「えっ?」

台帳様「大樹の葉を丸ごと差し出すでない! 一枚で十分じゃ!」

金箔が慌ただしくぱらぱら弾ける。

みみ「一枚でいいの?」

台帳様「よいとも! あの方々への手土産としては十分すぎる!」

(……台帳様が慌てている)

俺はみみの手元を覗き込んだ。

カミル「みみ。言われたとおりにしろ」

みみ「はーい!」

台帳様「では、一枚いただこうかの。ふふふ……久々に賑やかになりそうじゃ」

金箔が、また嬉しそうにぐるぐる回った。

俺は怪異への警戒を保ちながら、みみの隣に立つ。

……どうやら、これから来るのは怪異より厄介な相手かもしれない。

カミル「……一枚でいいと言われている。大切なものなら、無理に渡す必要はない」

みみ「ううん。これは大丈夫」

台帳様「……みみよ」

一瞬だけ、金箔の動きが静かになる。

台帳様は、みみが差し出した葉を大切そうに受け取った。

カミルには分からない。

ただ、彼女が迷わず手渡したことだけが、妙に気にかかった。

みみ「えーっと……これと、これと……」

巾着の中を覗き込んでいたみみが、ぱっと顔を上げた。

みみ「よし! 五枚だけ残しておこう!」

カミル「……五枚?」

(一枚でいいと言われているだろ?)

次の瞬間。

みみ「はいっ! 大盤振る舞い〜!」

ぱらぱらぱらっ!

どばどばどばっ!

深緑色の葉が、巾着から次々と溢れ出した。

台帳様「お、おおおおっ!?」

金箔が猛烈な勢いでぐるぐる回る。

台帳様「みみ! 待て! 待つのじゃ! そんなに出してどうする!」

みみ「お友達、いっぱい来るんでしょう?」

台帳様「そうじゃが! そういう問題では……いや、そういう問題でもあるのじゃが!」

(…………)

俺は、みみの手元に積み上がっていく葉を見つめた。

カミル「みみ」

みみ「なあに?」

カミル「……それは、そんなに気前よく配っていいものなのか?」

みみ「五枚残ってるよ!」

(質問の答えになっていない)

台帳様「……。まったく、おぬしという子は」

金箔が、嬉しそうに舞い上がった。

俺は怪異への警戒を続けながら、みみの巾着を見た。

……五枚。

その数字だけは、覚えておこうと思った。

カミル視点

台帳様の表紙が、ぱあっと金色に輝いた。

台帳様「……では、お越しいただこうかの」

空気が変わった。

風もないのに木々がざわめき、足元に淡い光が広がる。空間そのものが、静かに扉を開くようだった。

そして――。

そこに、何者かが現れた。

一柱、また一柱。

姿形はそれぞれ異なる。人のようで人ではない。美しいとも、恐ろしいとも言い切れない。そこにいるだけで、周囲の空気がひれ伏すような存在たち。

(……なんだ、これは)

俺の仲間たちも、思わず動きを止めていた。

だが、みみは違った。

みみ「おいでませ〜!!」

まるで宿に客を迎えるような、明るい声。

みみ「遠いところ、ありがとうございます!」

……慣れている。

この規格外の存在たちを前にして、まるで驚いていない。

台帳様「こら、みみ。もう少し礼儀というものを……」

みみ「えへへ。だって、お客様ですもの!」

(狭間の宿で、何を見てきたんだ……)

俺はみみの隣に立ち、上位の存在たちを見据えた。

カミル「……カミルだ。みみの連れだ」

一礼はする。

だが、警戒は解かない。

今ここにいる者たちの力は、俺の理解の及ぶ範囲を超えている。まして、みみは彼らを友人と呼んだ。

……本当に、俺の知らない顔をいくつ持っているんだ。

みみは上位の方々に囲まれながら、ここまでの出来事を説明していた。

みみ「それでね、知らない方なのに急についてきて……。受け入れてほしいって言われても、私には分からないでしょう?」

上位の方「うむ」

みみ「お話は聞いたんです。でも、だからって人を怖がらせたり、傷つけたりしていいわけじゃないと思うんです」

上位の方々は、静かに頷いていた。

みみ「それで、台帳様に相談したんです」

台帳様「うむ。ここからはわしが話そう」

台帳様の金箔が、今度は落ち着いた動きを見せる。

台帳様「実は、この者が現れる前に、人間の女性がひとり犠牲になっておる」

みみ「……え?」

(…………。)

台帳様「その者の身内も、今なお深く悲しんでおる。遺された者たちのことも含め、説明しておかねばならぬと思ってな」

みみの表情が曇る。

俺は、みみがその事件を知らなかったことを思い出した。

台帳様は、女性の身に起きたことと、その後に異形が現れた経緯を説明した。

上位の方々の表情から、先ほどまでの親しげな空気が消えていく。

上位の方「……なるほど。これは我らが預かろう」

別の方「この異形の処遇はこちらで引き受ける。被害についても、なかったことにはせぬ」

怪異の濁った身体が揺れた。

上位の方「ただし、みみ。覚えておきなさい」

みみ「はい」

上位の方「このような存在が、これから先も現れる可能性はある」

みみは黙って聞いている。

上位の方「いつの世にも、濁ったものは生まれる。拒絶や悲しみ、憎しみが形を得ることもある。それをすべて防ぐことはできぬ」

別の方「今回のことは、我らが特別に預かろう。だが、次も同じように我らが介入できるとは限らぬ」

上位の方「そこは、よく心得ておきなさい」

みみ「……はい。分かりました」

何度も念を押され、みみは素直に頷いた。

俺はその横顔を見ていた。

彼女は弱い。

それでも、見過ごせないものの前では一歩も引かない。

だからこそ、周囲が止める。

そして俺も、そのひとりだ。

カミル(……頼むから、自分の身も大切にしてくれ)

俺は大きな身体を少しだけみみに寄せた。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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