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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/10/30 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 1,452文字 ✅ 全年齢

あらすじ

みみ視点/カミルの部屋 昼食を終え、のんびりと過ごしていた午後。みみはふと、窓の外を眺めた。

本文

みみ視点/カミルの部屋

昼食を終え、のんびりと過ごしていた午後。

みみはふと、窓の外を眺めた。

(……そろそろ帰ろっかな)

一ヶ月。思っていた以上に長く滞在してしまった。

カミルと過ごす毎日は楽しかったし、居心地もよかった。だからこそ、ついつい長居してしまったのだ。

みみ「……ねえ、カミル」

隣にいる彼へ、いつもの調子で声をかける。

みみ「私、そろそろお宿に帰ろうかな」

特別な決意表明でも、別れを惜しむための言葉でもない。

思いついたから、口にした。

カミルの顔を見て、みみはふわっと笑う。

みみ「一ヶ月もお世話になっちゃったしね」

カミル視点

カミル「……そうか」

返事は、いつもと変わらなかった。

表情も崩さない。

声も落ち着いている。

だが、胸の内はまるで違った。

(……帰るのか)

たった今まで、当たり前のように隣にいた。

朝、目を覚ませばそこにいる。

食事をすれば向かいに座っている。

仕事から戻れば、部屋にみみの気配がある。

その日常が、今日からなくなる。

(……嫌だな)

正直に言えば、帰ってほしくない。

あと一ヶ月でも、五ヶ月でも。

自分の部屋で笑っていてほしい。

けれど、みみにはみみの居場所がある。

大切にしているお宿があり、待っている人たちがいる。

そして、あの葉のことも知っている。

彼女の大切なものを、自分の寂しさのために後回しにはできない。

カミル「分かった。帰るなら送っていく」

そう言って、みみの髪にそっと触れた。

カミル「一ヶ月、楽しかったか?」

穏やかな声だった。

みみの満面の笑みを見た瞬間、カミルの表情がわずかに緩んだ。

みみ「もちろん! カミルがいるだけで満足!」

迷いのない声だった。

カミル「……お前は、本当に」

言いかけて、彼は小さく息を吐く。

(敵わないな)

あと一日だけ、と自分から口にした。

けれど、彼女はそれを特別なお願いのようには受け取らず、ただ嬉しそうに笑っている。

その笑顔が、たまらなく愛おしかった。

カミル「そんな顔をされたら、明日も引き留めたくなる」

みみ「ふふ。明日は明日になってから考えよう?」

カミル「……自由なやつだな」

呆れたように言いながらも、声には笑みが混じっていた。

カミルは彼女の髪をそっと撫でる。

カミル「昼飯にするぞ。せっかく時間を空けたんだ。今日はゆっくり付き合え」

みみ「はーい!」

二人でテーブルへ向かう。

窓から差し込む午後の光。

いつもと変わらない部屋。

いつもと変わらない食事。

けれど今日のカミルには、少しだけ違って感じられた。

明日には帰る。

それは分かっている。

だからこそ、今は余計なことを考えず、この一日を楽しもう。

カミルは向かいに座るみみを見て、静かに微笑んだ。

カミル「ほら、冷めるぞ」

みみ「いただきます!」

彼女の明るい声に、カミルも食事を始めた。

あと一日。

その時間を、二人らしく過ごすことにした。

カミル視点

カミル「今日は出ない。仕事も入れていない」

みみ「お休みしたの?」

カミル「ああ。お前が帰る日くらい、俺にも休ませろ」

そう言って、カミルは椅子に腰を下ろした。

カミル「昼飯のあとは、好きに過ごせばいい。眠くなったら寝てもいいし、本を読んでもいい」

少し間を置いて、みみを見る。

カミル「俺もここにいる」

特別な予定はない。

二人で食事をして、話をして、気が向けば一緒にお茶を飲む。

そんな何でもない一日を、カミルはちゃんと自分のためにも取っていた。

明日、みみはお宿へ帰る。

だから今日は、どこにも行かない。誰にも邪魔させない。

カミル「……今日は俺のそばで、のんびりしていろ」

その声は、いつもの低く落ち着いた声だった。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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