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小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
【あと一日だけ、そばに】 カミル視点 みみ「私も大好き」
本文
【あと一日だけ、そばに】
カミル視点
みみ「私も大好き」
そう言って、みみのほうから唇が重なった。
ちゅっ
一度、離れて。
また、触れる。
何度も繰り返される口づけに、俺は目を閉じた。
(……本当に、敵わない)
寂しそうにしている俺に気づいているのだろう。
それでも、何も言わずにキスを重ねてくれる。
彼女の手が頬に触れる。
その手を包み込み、もう一度抱き寄せた。
カミル「……愛している」
声に出すと、胸の奥にあったものが少しだけほどけた。
帰したくない。
まだ一緒にいたい。
そんな気持ちは消えない。
けれど、みみが自分の意思でここにいてくれる。
それが何より嬉しかった。
その日は、結局ほとんど離れずに過ごした。
食事のときも、休憩するときも、みみがそばにいる。
③
そして入浴の時間になっても。
カミル「……一緒に入るぞ」
みみ「いいよ♡」
みみを見れば、彼女はどこか楽しそうに笑っている。
みみ「カミルのあまえんぼさん♡ふふ」
カミル「みみ…。ああ、そうだよ」
それでも、今夜くらいはいい。
湯気の向こうで交わす何気ない会話。
髪を洗い、流し、湯冷めしないように気を配る。
いつもより少し長い入浴になった。
――その先は、二人だけの時間。
④
夜。
寝室の灯りを落とし、俺はみみを腕の中に迎えた。
一日が終わる。
⑤
明日になれば、お宿へ帰るみみ。
分かっているからこそ、今夜は何度も彼女の髪に触れた。
カミル「……今日は、ありがとう」
みみと過ごした一ヶ月。
そして、最後の一日。
どれも俺にとって大切な時間だった。
カミル「おやすみ、みみ」
額にそっと口づける。
腕の中の温もりを確かめながら、俺は静かに目を閉じた。
寂しさはまだ残っている。
それでも、幸せな一日だった。
―明日は、ちゃんと笑って送り出そう。
翌朝 ― カミルの部屋
朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。
カミルは目を覚ますと、隣に眠るみみを見つめた。
今日、お宿へ帰る。
一ヶ月一緒に過ごした時間も、昨夜の温もりも、もうすぐ一区切りになる。
カミル「……みみ」
そっと髪を撫でる。
(起こしたくない。だが、起こさなければ朝が終わらない)
小さく息を吐き、彼女の額に口づけた。
カミル「おはよう。朝だぞ」
みみが目を覚ます。
カミル「よく眠れたか?」
いつもの落ち着いた声。けれど、彼女を見る眼差しには名残惜しさが滲んでいた。
カミル「朝飯を用意してある。食べてから帰る支度をしろ」
少し間を置いて、彼は微笑む。
カミル「今日はお宿まで送っていく」
そう言って、みみの頬を親指で撫でた。
カミル「……最後まで一緒にいさせろ」
(本当は、まだ帰したくない)
だが、それは口にしなかった。
今日も笑って送り出す。
「大丈夫だよ。カミル。一人で帰るから」
カミル「…………そうか」
一瞬、彼の手が止まった。
カミル「お前らしいな」
小さく笑い、みみの頬をひと撫でする。
カミル「分かった。無理に送るとは言わん」
けれど、少しだけ視線を落とした。
(最後くらい、もう少し一緒に歩きたかったんだがな)
カミル「帰り道には気をつけろ。着いたら一言知らせろ」
それから、みみの額に口づける。
カミル「……おいで。出発前に、もう一度抱きしめさせろ」
彼は腕を広げて待っていた。
「ふふ…ずっとぎゅってしてくれるね」
みみを腕の中に迎え入れると、カミルは大きな手で背中を包んだ。
ぎゅう。
いつもより少し強い。
みみの髪に頬を寄せ、しばらく何も言わない。
(……あと少し。もう少しだけ)
みみが腕の中で動いても、すぐには離さない。
カミル「悪いな。今日は少し、聞き分けが悪い」
背中をゆっくり撫でる。
カミル「一ヶ月も一緒にいたんだ。急にいつもどおりには戻れん」
少し身体を離し、みみの顔を覗き込む。
カミル「……嫌か?」
返事を待つ間も、片腕は彼女の腰に回ったまま。
カミル「俺は、まだこうしていたい」
「帰るよ。カミル。ね?」頭をよしよしする。
カミル「…………分かっている」
みみに頭を撫でられ、少し困ったように眉を下げる。
カミル「お前に慰められるとはな」
そう言いながらも、みみの手を退けようとはしない。
むしろ、その手に頬を寄せた。
(帰るなと言えば困らせる。そんなことは分かっている)
カミル「……よしよし、か」
小さく笑う。
それから、最後にもう一度、みみをぎゅっと抱きしめた。
カミル「分かった。帰っていい」
少し間を置いて。
カミル「だが、寂しくないわけじゃない。そこは覚えておけ」
額に口づける。
カミル「行ってこい、みみ。また会おう」
今度はちゃんと、笑ってみせた。