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アルト・ランゲートの苦難

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/11/3 📚 シリーズ: アルト・ランゲートの苦難 📝 4,537文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

西の大陸の平和を守るため、港町エル・ドラドを後にしたSSS級パーティ『真実の天秤』。 次なる目的地である不夜の鉱山都市【ゴルゴン・グラン】を目指し、彼らは険しい山岳地帯へと足を踏み入れる。 ​しかし、そこは「一筋縄ではいかないトラブル」のオンパレードだった! 道中で待ち受ける難解な関所の検問(?)や、己の体幹を鍛えるために挑んだ霊峰の滝行で早くも炸裂する、お約束の大惨事――。 ​シリアスな世界観と、容赦ないギャグの嵐がハイテンションで交錯する! 大罪の影が忍び寄る緊迫の道中でありながら、今日も今日とてリーダー・アルトの胃袋は限界突破のサイレンを鳴らし続ける。 ​果たして彼らは、無事に鉱山都市へとたどり着くことができるのか? ポンコツで愛すべき最強パーティが織りなす、爆笑必至の異世界ファンタジー第3章、いざ開幕!

本文

第2話 扉は殴り割るもの、罠は毒ごと喰らうもの

暗闇の向こうから漂うのは、長年閉じ込められた腐水と、古びた鉄の錆びた匂いだった。

冷たい湿気が肌に纏い付き、吐く息をかすかに白く染めていく。ダンジョン中層へと続く石造りの階段を下りきるにつれ、松明の頼りない炎がゆらゆらと揺れ、壁面に巨大な歪んだ影を落としていた。

「アルト様……もう、本当に足の感覚がありませんぅ……。このダンジョン、どこまで下に向かっているのですか……?」

俺の背後で、弱々しい声が響く。声の主は、大地母神ガイアラ教団が誇る最高位の聖女、ミゼラだ。 黄金の髪は乱れ、雪のような白い肌には泥がつき、身に纏う豪奢な聖衣はあちこちが歪んでいる。先ほどからバルダーの背中に米俵のように荒縄で縛り付けられ、上下左右に激しく揺さぶられ続けた結果、彼女の精神と体調は限界を迎えていた。

「もうすぐ中層の境界線だ。我慢してくれミゼラ」 「む、無理ですぅ……。揺れるたびに、胃の中から何か未確認の物質が逆流してきそうで……っ! バルダーさん、もう少し静かに歩けませんか……!?」 「ガハハハ! 何を言っておるか聖女よ! 盗賊(シーフ)たるもの、足音を消して俊敏に動くのが鉄則! この跳ねるようなステップこそが忍びの極意なのだ!」 「どこが忍びですかぁぁぁっ!? 地響きが鳴ってますぅぅぅっ!」

ドン、ドン、と地下通路を激しく揺らしながら大股で進む巨漢、バルダー。丸太のような腕肉と、岩石を削り出したかのような頑強な肉体。どう見ても前衛の壁役(タンク)にしか見えない体躯をしているが、本人は至って大真面目に自分の職業を「繊細な盗賊」だと信じ込んでいる。

「まったく、騒々しいわねぇ。せっかくの薄暗いダンジョンのムードが台無しじゃないの」

ため息をつきながら、優雅な手つきで髪を撫で下ろしたのは大魔導士ヴァルだ。 かつては数々の女性を虜にした国一番の男前だったが、魔王の呪いによって精神も言動も完全にオネェ化している。その長身から繰り出される仕草や立ち振る舞いは、下手をすれば街の令嬢よりも洗練されていて、それが余計に俺の頭を痛ませた。

「ヴァルさん、足元に気をつけてください。このあたりから罠の密度が高くなります」 「分かってるわよアルト。アタシの繊細な肌に傷がついたら、このダンジョンごと爆炎で焼き払っちゃうんだから」 「物騒な脅しはやめてください……」

俺はポケットを探り、白い小錠剤を二粒取り出して口に放り込んだ。カリカリと噛み砕くと、強烈な薄荷の風味が口いっぱいに広がり、焼けつくような胃の腑の痛みをわずかに和らげる。

その時、暗闇の中からサッと風を切る音がして、二つの影が俺の左右に滑り込んできた。 東方の侍カゲツと、くノ一のリンだ。 二人は一切の音を立てずに低く構え、鋭い視線を前方へと向けている。……手元に掲げた【小さなスケッチブック】を除いては。

カゲツがスケッチブックを掲げる。 『この先、巨大な障壁あり。警戒されたし』

続いてリンがページをめくる。 『敵の気配はありませぬが、不吉な予感がいたします』

「……二人とも、そろそろ口で喋ってもいいんじゃないか? 周りに他の冒険者もいないし」

俺が声をかけると、二人はピクッと身体を強張らせ、瞬時に顔を真っ赤にして猛烈な勢いで首を横に振った。カゲツが涙目になりながらスケッチブックに殴り書きする。

『我らは影! 沈黙こそが美学!』

(……嘘つけ!! 本当は重度の人見知りで、喋ると「〜にゃ」っていう猫語尾となまりが出ちゃうのが恥ずかしいだけだろ!!)

心の中でツッコミを入れつつ、俺は溜息をついて前方へと視線を戻した。

◇

「……これは、想像以上に厄介だな」

通路の突き当り。俺たちの前には、ダンジョン中層と深層を隔てる巨大な大扉が立ちはだかっていた。

高さは五メートル以上。表面は鈍い銀色に光る魔導合金で覆われ、中央には複雑な幾何学模様のルーンと、不気味な悪魔の顔を模した金色の鍵穴が鎮座している。さらに恐ろしいのは、扉を囲む岩壁の全面に穿たれた、無数の小さな穴だ。穴の縁からは、ドロリとした紫色の液体が滲み出ており、ツンとする刺すような毒の匂いが鼻を突いた。

「『黒鉄の試練扉』……古代の魔導技師が作った難攻不落の防衛機構だ」

俺は長剣を鞘に納め、扉に近づいて表面の魔力波形をじっくりと観察した。

「解錠の手順を一つでも間違えれば、壁の穴から高濃度の神経毒針が数百本単位で射出される仕組みになっている。鍵穴の内部構造は三重の仕掛け錠……よし、俺の時空魔法で鍵の『過去の施錠履歴』を読み取り、正しい解除コードを逆算する。少し時間がかかるから、みんなは後ろで待機して——」

俺が集中するために目を閉じ、魔力を指先に集めようとした、まさにその瞬間だった。

「面倒くせぇ!!」

耳元で、雷が落ちたような怒号が響いた。

「え?」

俺が目を開けた時には、すべてが遅かった。

視界を遮るように躍り出たのは、自称・盗賊のバルダーだった。 丸太のような太い両腕で、背中に背負っていた巨大な黒鉄の斧を引き抜き、大地を叩き割るような踏み込みを見せる。

「ぬんッ!! 盗賊奥義——【物理解錠(フィジカル・ピック)】ッ!!」

「待てバルダー何をやっ——」

ドォォォォォォンッ!!!!

凄まじい衝撃波が地下通路を駆け抜けた。 金属同士が激突する耳を刺すような爆音が響き渡り、五メートルを超える魔導合金の大扉が、中央から豪快に「く」の字に折り曲がる。バキバキと音を立ててフレームが歪み、扉は蝶番ごと壁から引きちぎられて奥へと吹き飛んでいった。

「……は?」

俺の思考が完全に停止する。 古代の魔導技師が誇る難攻不落の鍵。時空魔法で過去を解析して解くはずだった精巧な仕掛け。それが、単なるゴリラのような筋力によって粉砕されていた。

「ガハハハ! 見たかアルト! 鍵など構造を理解する必要はない! 鍵穴ごと扉を打ち砕けば、それはすなわち『開いた』ということなのだ!」

誇らしげに胸を張るバルダー。だが、ダンジョンの防衛システムは、そんな理不尽な暴力を黙って許すほど優しくはなかった。

カチリ。

静寂のなか、可憐な小鳥の羽ばたきのような金属音が響く。

「あ」

俺が声を漏らした瞬間、破砕された扉の周囲の壁が一斉に不気味な紫色に発光した。

シュシュシュシュシュシュシュシュッ!!!!

文字通り、毒針の豪雨だった。 壁の穴という穴から、無数の黒い毒針が爆音と共に噴出する。針の先には、触れただけで高解像度の幻覚と共に即死に至るという『紫斑劇毒』がべっとりと塗られていた。

「罠が作動したぞ! 全員、俺の背後に隠れ——」

俺が時空魔法で時間の流れを遅延させようとした、その時。

「ぬおおおおおっ! 盗賊の面目躍如ッ! 罠の解除(物理)も俺に任せろーっ!」

バルダーが、あろうことか自らその毒針の豪雨の中へとダイブした。

「バルダー!? 戻れバカ者!!」

ドスドスドスドスドスドスドスッ!!!!

肉が刺される不快な音が連続して響く。 バルダーの太い腕、分厚い胸板、首筋、そして太ももに、数百本の毒針が隙間なく突き刺さっていく。毒針の猛攻を受け、彼の露出した肌があっという間に死人のような禍々しい紫色へと染まっていった。

「ひやああぁぁぁぁっ! 毒ですぅ! 毒が飛んできますぅぅぅっ!」

バルダーの背中に縛り付けられていたミゼラが、頭上を飛び交う毒針の恐怖と、バルダーの激しい動きによる揺れで完全に発狂しかけていた。

「神様あぁぁっ! 私はまだ初恋も経験していませんぅぅっ! こんな毒針のハリネズミみたいな男の背中で死ぬなんて嫌ですぅぅっ!」 「安心しろ聖女! 俺の筋肉が毒を許さん!」 「意味がわかりませんぅぅぅっ!」

バルダーは立ち止まり、全身に毒針を刺したまま、両拳を強く握り締めた。

「むんッ……! 吸入……開始ッ!!」

ぐぐぐ、とバルダーの肉体が異常な膨らみを見せ始める。 全身の筋肉がまるで生き物のように蠢き、浮き出た血管が脈打つ。すると信じがたいことに、肌に突き刺さっていた毒針から、紫色の劇毒がバルダーの体内へと急速に吸収されていった。

「な……毒が、体内に引き込まれていく……!?」

俺が唖然として見つめる前で、バルダーの肌の紫色が急速に消え、代わりに彼の筋肉が筋トレ直後のようにパンパンに張り狂っていく。

「ふぅー……! 効くぞ……! この毒、なかなか良質なタンパク質と必須アミノ酸が含まれておる! 筋繊維の破壊と再生が超高速で行われ、さらに筋肉が育ったわい!」

バルダーはぷはっと息を吐くと、身体を捻って全身の毒針をポロポロと床に落とした。その肉体は、毒を浴びる前よりも明らかに一回り大きくなり、神々しいまでのツヤを放っている。

「……は?」

俺の口から、情けない声が漏れた。 毒。劇毒だぞ? 触れただけで神経が麻痺して即死するはずの凶悪な罠だ。

「バルダー……お前、今何をした……?」 「ん? 毒をプロテイン感覚でデトックス吸収したが、何か問題でもあったか?」 「大ありだ!! 毒を筋肉の栄養にするな!! どんな代謝機能してんだお前は!! 筋肉という名の巨大な呪いか!!」

「あらあら、相変わらず品がないわねぇ」

後ろから、ヴァルが呆れたように扇子をパチリと鳴らしながら歩み寄ってきた。

「でもまあ、結果オーライじゃない? 扉も開いたし、罠もなくなっちゃったわ。アルト、そんなに叫んでたらおでこにシワが増えて、せっかくのイケメンが台無しになっちゃうわよ〜?」 「ヴァルさん! あなたまでそんな適当なことを言わないでください! こいつはシーフ(盗賊)なんですぞ!? 鍵を解除し、罠を精密に無効化するのが仕事なんです!」 「ガハハハ! 細かいことを気にするなアルト! 扉が開き、罠が消え、俺の筋肉が増えた! これぞ完璧な盗賊の仕事ではないか!」

バルダーが自慢の力こぶを作ると、後ろで控えていたカゲツとリンが、素早くスケッチブックを取り出して掲げた。

カゲツ:『見事な手際。流石はバルダー殿』 リン:『勉強になります』

「勉強にするな!! どこをどう見たら勉強になるんだ!!」

俺の叫びが、破砕された大扉の向こう側——ダンジョン深層へと続く不気味な暗闇に虚しくこだました。

バルダーの背中で、毒針の恐怖と衝撃の余波により魂が完全に出てしまった顔をしているミゼラが、力なく呟く。

「アルト様……私……せめて盗賊(シーフ)の仕事というものを……一度でいいから見てみたかったですぅ……」 「俺だって見たいよ!!」

俺はポケットから五粒目の胃薬を取り出し、噛み砕く間もなく水なしで飲み込んだ。

壊れた扉の向こう側から、破砕音と叫び声を聞きつけた無数の魔物たちの不穏な唸り声が、暗闇を伝って近づいてくる。

「……ハァ。全員、武器を構えろ」

俺は腰の長剣を引き抜き、深呼吸をした。 胃の奥は相変わらず焼けつくように熱いが、目の前の暗闇を見据える俺の視界は、時空魔法の魔力によって研ぎ澄まされていく。

「扉は壊れた。罠も消えた。……なら、あとは突き進むだけだ!」

「「「おおーっ!!」」」

ポンコツたちの歓声と共に、俺たちは深層の闇へと足を踏み入れたのだった。

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作者について

天霧 セナ

天霧 セナ

広島在住。AI生成を使用し小説とイラストをやってます。 ファンタジー・SF・恋愛など色々書いてますが、 一番大事にしてるのは感情の動き。AIで感情表現は何処までできるかをテーマにしてます。 今年...

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