弐

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/11/2 📚 シリーズ: きまぐれまほろば夜行帖【本編】 📝 951文字 ✅ 全年齢

あらすじ

一週間後・お宿の午後 ヴァンが狭間のお宿に滞在するようになって、一週間。最初の頃は、少し気取った態度で、みみと話すときもどこか距離を置いていた。

本文

一週間後・お宿の午後

ヴァンが狭間のお宿に滞在するようになって、一週間。

最初の頃は、少し気取った態度で、みみと話すときもどこか距離を置いていた。

けれど、毎日顔を合わせるうちに、少しずつ変化が出てきた。

午後の座敷。

みみは座布団に座り、銀くんとおしゃべりをしていた。

銀はみみの隣で、ふわふわの尻尾を揺らしている。

そこへヴァンがやってきた。

ヴァン「……みみ」

みみ「あら、ヴァンくん。こんにちは」

ヴァン「……眠い」

みみ「お昼寝する?」

ヴァン「だから、そう言ってるだろ」

少しぶっきらぼうに返すと、ヴァンはみみのそばに座った。

そして、何も言わずにもぞもぞと位置を変える。

ヴァン「……膝、貸して」

みみ「あら。いいよ、おいで」

ヴァン「別に甘えてるわけじゃないからな」

そう言いながら、ぽすんと頭を乗せる。

みみは笑いながら、黒い髪をそっと撫でた。

みみ「ふふ。ゆっくりお休み」

ヴァン「……子ども扱いするなよ」

文句を言いながらも、撫でる手を避けようとはしない。

やがて、目を閉じて静かになった。

その様子を見ていた銀の狐耳が、ぴくりと動く。

銀「…………」

(そこは、ぼくがいつも甘えている場所なのに)

尻尾が、ぱたん。

銀「みみ……」

みみ「なあに?」

銀「ヴァンくん、いつもああなの?」

みみ「ううん。今日は眠かったみたい」

銀「……ふうん」

銀はヴァンをじっと見つめた。

銀「……ぼくも、そこがいいな」

みみ「あらあら」

銀「でも、今はヴァンくんがいるから……」

少し不満そうに尻尾を揺らす。

(本当は、ちょっと嫌だな)

(でも、みみは誰にでも優しいから)

銀は小さく息をついて、みみの袖をつまんだ。

銀「……あとで、ぼくも撫でてね」

みみ「もちろん。約束ね」

そのとき、膝の上から小さな声がした。

ヴァン「……聞こえてるぞ」

銀「起きてたの?」

ヴァン「うるさくて眠れないんだよ」

銀「……ごめんね」

ヴァン「ふんっ」

そう言って、ヴァンはみみの着物に頬を寄せ、もう一度目を閉じた。

みみは二人を見て、くすりと笑う。

どちらも素直ではないけれど、甘え方はそれぞれ違う。

銀はみみの袖をつまんだまま、ヴァンの寝顔をちらりと見た。

(……あとで、いっぱい撫でてもらおう)

尻尾が、今度はゆっくりと揺れた。

穏やかな午後のお宿。

二人の少年は、それぞれの気持ちを胸に、みみのそばで過ごしていた。

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作者について

みまち

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紅茶、珈琲、レモンが好き。【私がニヤニヤする物を置いております】

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