日本人向けコンビニ&カフェ
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
第1章:横浜出港 横浜港。夜の埠頭に白い船体「アストラル・クイーン」が浮かぶ。デッキに立つ二人は一見新婚カップル。船長から封筒を渡される。
本文
第1章:横浜出港
横浜港。夜の埠頭に白い船体「アストラル・クイーン」が浮かぶ。
デッキに立つ二人は一見新婚カップル。船長から封筒を渡される。
> 「次の寄港地・釜山に、私の古い友人が店を出している。合言葉は"稲荷"。困ったら頼れ」
第2章:補給と決意 - D→C
あなたはまず船内3階の日本型コンビニ「YAMAZAKI-ASTRAL店」に寄る。
レジ横には伏見稲荷の授与所にしかないはずの「つまみ稲荷」と京都の漬物。店員が日本語で言う。
「新婚旅行のお二人ですね。奥の冷蔵庫、見てください。お二人の名前で取り置きがあります」
冷蔵庫の奥に木箱。中には乾燥した蔓の種とメモ。
> 『これは"任務でストレスがかかった時用"。妖力が緩んでも、身を守れる。——志保利より』
実母からの差し入れに、植物製のサラシが暖かくなる。
次に日本人向けカフェ「喫茶くらま」へ。マスターが言う。
「次の寄港地、船のレーダーに映らない島だってさ。コンビニのPOSも"該当なし"エラー吐いてた。気をつけて」
糖分と情報を補給し、船長室に戻って無線で答える。
「船長、常識外れでも構いません。二人で乗り越えます。私たちの新婚旅行ですから」
船長が笑う。「待ってたよ、その言葉を。針路変更! 次は海図にない寄港地だ!」
第3章:海図にない島 - 黒の回廊
翌朝、霧が晴れると地図にない島が現れる。看板には日本語で「ようこそ 第三デッキ・黒の回廊へ」。
島の入り口にもあった。日本型コンビニ「黒の回廊店」と、日本人向けカフェ「回廊の隅」。
コンビニのレジにはあなた宛ての招待状。
> 『夜の迷宮 - ルール
> 1. この島には三つの"印"が隠されている
> 2. 印は"表層"にある
> 3. 見つけた者は報酬として"真実"を知ることができる』
武威が手を握る。「昨日の船の揺れは事故じゃなかった。この島への誘いだったんだ」
#### ミステリとしての真相解説
ここでシャーロックホームズ風に整理します。
表の真相:海賊の襲撃に見えたものは、実はこの島の住人による「新婚夫婦の適性試験」だった。
証拠1:コンビニのPOSが"該当なし"エラーを出したのは、商品が未知だからではなく、船のシステムが最初からこの島の商品を「登録済み」として扱っていたから。船側は知っていた。
証拠2:レーダーに映らないと言われたのに、なぜかコンビニとカフェは営業していた。寄港地ではない場所に、なぜ日本人向けの店が完璧に用意されている? これは船長らが事前に根回ししていたから。
結論:あなたたちを驚かせたのは敵ではなく、祝福しようとする縁者一同の、ちょっと不器用な歓迎だった。
第4章:棚の奥 - E
あなたは棚の奥を調べる。
業務用棚の下段、漬物パックの後ろに桐箱。伏見稲荷の社紋入り。
中身:
1. 小さな蔓の種
2. 古い鍵 - タグに「第三の印の扉用」
3. メモ
> 『くらま、武威くんへ この島の"三つの印"は、怖いものじゃない。一つ目は"左の内腿"じゃない。もっと分かりやすい所にある。探す時は、焦らず、ちゃんと二人で話し合って。二人の印は、二人でしか見つけられないから。——母より』
種が芽を出し、光る花になる。花が指す先は、カフェ「回廊の隅」の看板の裏。
看板の裏に、蔓で描かれた小さな螺旋の紋様。あなたの妖力にだけ反応して青白く光る。
触れると紋様は消え、コーヒーのいい香りが広がる。
第一の印「安心」発見。 日本型コンビニとカフェがあってホッとする、その気持ち自体が印だった。
マスターが二杯のコーヒーを置く。「次の印は"共有"。内陸、行ってみるかい?」
地図の中央には「古い社務所跡」とある。
第5章:カフェでの一息 - G
あなたは休むことを選ぶ。
店の中だけは完全に日本の喫茶店だった。あなたは種から咲いた花をテーブルに置く。植物製のサラシが、安心したから自然に緩む。
棚から古いアルバムが落ちてくる。「アストラル・クイーン 乗客名簿 - 祝・縁者」
中には伏見の縁者たちが同じ船でコーヒーを飲む写真。最後のページに手書き。
> 『第二の印は"共有"。一人で抱えず、隣の人にコーヒーを半分分けること』
二人同時にカップを押し出す。カップが触れた瞬間、底に青白い螺旋が浮かぶ。
第二の印「共有」発見。
外の霧が晴れ、社務所跡への道が見える。
第6章:最後の補給 - J
行く前に、もう一度コンビニに戻る。
レジの女性が紙袋を渡す。中には日本のおにぎり2つ、温かいお茶、そして赤いお守り。
包み紙の裏に字。
> 『くらまへ お腹が空いたら、ちゃんと食べるのよ。第三の印は"深く探らなければ見つからない"って書いてあったでしょう? 深くって、地下とかじゃなくて、"心の奥"ってことよ。二人で食べてから行きなさい。——母』
二人で半分こして食べる。食べ終わると鍵が熱を持つ。
第三の印の条件、達成。
最終章:古い社務所跡と一泊 - L
内陸へ歩いて10分。道の両側にも日本人向けカフェの屋台。「休憩していきな」と声をかけてくれる。ありがたい。
社務所跡は伏見の本宮にそっくり。母の鍵で扉が開く。中は空っぽの畳の部屋に机と座布団。
机の上に招待状。
> 『夜の迷宮 - 最終報酬
> 三つの印を全て見つけた二人へ
> 報酬は"真実"と"次の旅の選択"
> 真実:この島は、あなたたち夫婦のために縁者一同が用意した、新婚旅行の寄港地でした。黒の回廊は元々は魔界の試練場でしたが、今は"二人が安心できる場所"に作り替えました。だから日本型コンビニも、日本人向けカフェも、内陸移動も、全部用意しました。』
机の下に二枚のチケットがあったが、あなたは今夜はここに泊まることを選んだ。
部屋の隅には電気ポットと敷布団が二組。窓からはコンビニの看板の明かりが漏れる。縁者の根回しは完璧だ。
あなたは植物製のサラシを自分の意思で解き、普通の部屋着のような形に変える。もう締め付ける必要がないから。
武威が隣に座り、髪を梳かす。
「今日一日、よく三つの印見つけたな」
「二人で見つけたんだよ」
外は霧。でも部屋の中だけは実家みたいに暖かい。
「ねえ、電気、消してもいい?」
「ああ」
ぱちり、と明かりが消える。看板の優しい光だけが入ってくる。
二人の影が畳の上で一つに重なる。
今夜はもう、謎解きも印探しも任務もない。
ただ、横浜を出てから初めての、誰にも邪魔されない、静かな新婚旅行の夜が更けていく——
END