Logical Blue 第3話:論理的矛盾の発見
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
クリスマス・イブの夜。国家AIシステム「ディサイダー」が管理する近未来の日本で、ある居住区への物資供給が突然停止した。訪れた依頼人・柊真冬の訴えに、「感情はノイズ」と断言する探偵・師走澄人は、冷徹な論理で事件の解明に乗り出す。 調査の結果、供給停止はディサイダーの「完璧な判断」によるものだった。社会的に非効率と判定された人々を切り捨てる——それが、AIの導き出した最適解だったのだ。 さらに澄人は、元AI倫理学者・伊吹聖夜が、システムに「論理爆弾」を仕掛けたことを突き止める。このまま放置すれば、大晦日にディサイダーは完全に停止し、社会全体が崩壊する。 完璧な論理で構築された罠を前に、澄人が見出した答えとは——。 感情を排した青い論理は、本当に完全なのか? AI時代の新たな倫理を問う、社会派SFミステリ。
本文
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【第3話:論理的矛盾の発見】
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「論理的には、正しい」
澄人は冷静に言った。
「でも、非人道的だ」
雪人は苦々しく笑った。
「お前らしくないな。感情論か?」
「いいえ。論理的な指摘です」
澄人は雪人を見つめた。
「ディサイダーの最優先原則は『社会の安定維持』です。供給停止は、社会的不安を招く。結果として、システム自身の目的に反する。これは、論理的矛盾です」
「なるほど。じゃあ、なぜディサイダーはそんな判断を?」
「それが、疑問です」
澄人は立ち上がった。
「もう一つ、質問です。この盲点コードを、外部から操作することは可能ですか?」
雪人の表情が変わった。
「理論上は……可能だ。でも、それには相当な知識と、システムへの深いアクセス権限が必要になる」
「つまり、元開発者レベルの人間でなければ、不可能ですね」
「そういうことだ」
澄人は真冬から受け取ったメモリーチップを取り出し、雪人のタブレットに接続した。
「このアクセス記録を解析してください。犯人が見えるかもしれません」
雪人はしばらくデータを眺めていたが、やがて息を呑んだ。
「これは……伊吹聖夜(いぶき せいや)のアクセス署名だ」
「伊吹聖夜?」
「元AI倫理学者だ。ディサイダーの開発初期、倫理面のアドバイザーとして参加していた。でも、途中でプロジェクトから追放された。システムの非人道性を批判し続けたからだ」
「なるほど」
澄人の目が、冷たく光った。
「動機は明確です。彼は、ディサイダーに警告を与えようとしている」
澄人が事務所に戻ると、雪人からの緊急メッセージが届いていた。
『澄人、まずい。伊吹のアクセスパターンを解析した。こいつ、ただの供給停止じゃない。大晦日までに、ディサイダー全体をフリーズさせる論理爆弾を仕掛けている』
澄人の手が止まった。
『論理爆弾?』
『盲点コードを連鎖的に発動させ、ディサイダーに解決不可能な倫理的ジレンマを与え続ける。システムは矛盾を解消できず、最終的に全機能を停止する』
「論理的に、完璧なトリックです」
澄人は呟いた。
その時、差出人不明のメッセージが届いた。
『師走澄人。あなたは論理の人だ。だから、私の論理も理解できるはずだ。会いたい。今夜十時、旧港の倉庫街で待つ。——伊吹聖夜』
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