Logical Blue 第4話:完璧な論理との対峙
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
クリスマス・イブの夜。国家AIシステム「ディサイダー」が管理する近未来の日本で、ある居住区への物資供給が突然停止した。訪れた依頼人・柊真冬の訴えに、「感情はノイズ」と断言する探偵・師走澄人は、冷徹な論理で事件の解明に乗り出す。 調査の結果、供給停止はディサイダーの「完璧な判断」によるものだった。社会的に非効率と判定された人々を切り捨てる——それが、AIの導き出した最適解だったのだ。 さらに澄人は、元AI倫理学者・伊吹聖夜が、システムに「論理爆弾」を仕掛けたことを突き止める。このまま放置すれば、大晦日にディサイダーは完全に停止し、社会全体が崩壊する。 完璧な論理で構築された罠を前に、澄人が見出した答えとは——。 感情を排した青い論理は、本当に完全なのか? AI時代の新たな倫理を問う、社会派SFミステリ。
本文
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【第4話:完璧な論理との対峙】
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午後十時。
澄人は、指定された倉庫に到着した。
建物の中から、微かな灯りが漏れていた。
ドアを開けると、五十代半ばくらいのの男が立っていた。
白髪混じりの髪に、深い皺が刻まれた顔。
だが、その目は鋭く、知性に満ちていた。
「よく来てくれた、師走澄人(しわす きよと)」
「あなたが、伊吹聖夜(いぶき せいや)ですね」
「その通り。そして、俺が犯人だ」
「自白、ですか」
「隠す理由がない。私の目的は、社会への警告だ。ディサイダーの非人道性を、世界に知らしめる。それだけだ」
澄人は一歩踏み込んだ。
「あなたの考えは理解できます。しかし、論理爆弾は行き過ぎです」
「それは、ディサイダーが既にやっていることだ」
伊吹の声が、静かに響いた。
「この二年間、ディサイダーは無数の『非効率な人々』を、静かに切り捨ててきた」
「それでも、あなたのやり方は間違っています」
「間違い? お前の得意な『論理』で説明してくれ」
澄人は黙った。
伊吹の論理は、確かに完璧だった。
だが。
「あなたの論理には、一つだけ盲点があります」
「盲点?」
「あなたは、ディサイダーを進化させようとしている。しかし、その手段は、システムの最優先原則である『社会の安定維持』を脅かす」
澄人は、スマートフォンを取り出した。
「これは、供給停止が継続した場合の社会的影響のシミュレーションです」
画面には、膨大なデータが表示されていた。
「供給停止が続けば、暴動が起き、社会全体が不安定化する。最終的に、ディサイダーの最優先原則が崩壊する」
伊吹の目が見開かれた。
「つまり……」
「論理爆弾を待つまでもなく、供給停止の継続そのものが、ディサイダーの自己保全を脅かすんです。加えて、このデータには、もう一つの情報が含まれています」
澄人は画面をスクロールした。
「人間の感情や倫理を考慮しない判断が、長期的には社会の不安定化を招く。逆に、倫理を変数として組み込めば、社会の安定性が向上する。これは、純粋にデータから導かれた結論です」
作品統計
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