第13話:裏切りの連鎖と激化する戦火 -1
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
王宮のミステリウム~ヴァンパイアメイドと王宮の魔女~ - 第13話:裏切りの連鎖と激化する戦火 -1
本文
王都の裏路地に潜む、ミレーヌたちのアジト。
古びた石造りの部屋は、外の静寂とは裏腹に、王国の運命を握る者たちの熱気で満ちていた。
レティシアは、テーブルに広げられた王宮の見取り図を指でなぞりながら、計画の核心を確認した。
「これで、リチャードの悪事を公にする準備が整ったわ。明日の評議会で、全ての真実を明かす。エドワード兄様、セシリア、これで良いかしら?私たちの行動は、もはや後戻りできない最終手段よ。一寸の狂いも許されない」
エドワードは、騎士団長としての風格をもって、自身の役割を再確認した。
「ああ、問題ない。リチャードが武力による反乱を起こすことは、ほぼ確実だ。私の軍は、王都と王宮の境界に待機している。告発の報せが届き次第、直ちに王宮の秩序回復にあたる。この決定的な証拠の前では、奴の野望も、ここで潰える」
セシリアは、市民の支持を味方につける戦略を口にする。
「国民も、真実を知れば必ず私たちを支持してくれるはず。メロディ、あなたの歌声で、その場を制圧できる?」
メロディは、深く息を吸い込んだ。
「私の歌声が、王宮の偽りの結界を打ち破り、真実を運びます。最後の力を振り絞ります。お任せください」
ミレーヌは、皆の真剣な顔を交互に見ながら、不安と緊張でどもる。
「い、イリスからの緊急報告よ! 王宮の地下から、尋常じゃない不穏な魔力が上昇していると……。特に、リチャード王子に加担している王宮魔術師団の一部が、何か大規模な禁断の魔術の準備をしているようだわ。リチャード王子は、私たちの動きを察知している可能性が高い。警戒を怠らないで……本当に、大丈夫かしら……」
ヴァネッサは、ミレーヌの肩に静かに手を置いた。
「ミレーヌ様。あなたが王宮魔術師として真実に辿り着いてくださった。後は、あなたの勇気と、私たちの連携にかかっています。恐れる必要はありません」
◇◆◇◆◇
翌朝、王宮の大広間。壇上にはレティシア、セシリア、そしてエドワードが三者揃って立っていた。
貴族たちがざわめく中、ミレーヌが満を持して壇上に進み出る。彼女の心臓は激しく鼓動し、呼吸が乱れ、恐怖で体が硬直する。
ミレーヌは、視線を泳がせ、どもり、きょどりながらも、勇気を振り絞った。
「あ、あの……ぐ、ぐ、貴族の皆様! お、お耳を傾けて……く、ださい!こ、これは……こ、国王陛下にかけられた、呪いの真実と……そ、そして、リチャード王子がガリオン帝国と結託し、この王国を売り渡そうとしている決定的証拠です!」
ミレーヌは、震える両手で、「盟約の証」と「密約文書」の写しを、光を浴びせて掲げた。
その瞬間、メロディの歌声が広間に響き渡った。
「♪~真実は、ここに……!~♪ 偽りの帳は、今、晴らされん……この王国の危機を、見よ!」
完全に不意を突かれたリチャードは、一瞬にして顔から血の気が引いたが、すぐに理性を失う。
リチャードは顔を歪ませ、狂気の叫びを上げた。
「フフフ……証拠だと?それが何だというのだ! 愚かな!貴様らの浅はかな企みなど、全てお見通しだ! この王国の真の支配者は、私だ! 謎の影よ……禁断の魔術を発動させろ! 王宮全てを巻き込んででも、この王冠を手に入れる!」
ミレーヌは、リチャードの言葉に驚愕し、血の気が引くのを感じた。
「まさか……禁断の魔術……!? リチャード王子……本当に王国を滅ぼすつもりなの!? 止めないと……!」
◇◆◇◆◇
リチャードと謎の影が発動させた禁断の魔術により、王宮全体が激しく揺れ、崩壊が始まった。
その混乱の中、リチャードの傍らに控えていた謎の影が、ゆっくりとフードを脱ぎ捨て、その正体を現す。
謎の影は、広間の崩壊を見下ろしながら、静かに、だが確固たる威圧感をもって宣言する。
「……私は、王家の血脈に隠された、真の力。古き盟約を破り、人ならざる者を追放した王家への『報復』、その執行者だ。リチャード殿下こそが、この王国を導く唯一の存在。全ての秩序は、ここで再構築される!」
ミレーヌは、謎の影から発せられる魔力の匂いを嗅ぎ分け、驚愕した。
「まさか……あの血の匂いは……! 王家の……隠された血脈……! そんな存在がいたなんて……。私たちは、本当に王家の深淵に触れてしまったのね!」
ヴァネッサは、目の前の光景を冷静に見据えながら、その存在の危険性を警告する。
「禁忌の魔術……! 王家の血を引く者が、なぜ、この王国を滅ぼそうとする……! 彼は、あなたたちの兄弟ではない、闇の血脈だ!」
◇◆◇◆◇
王宮の城門、大広間周辺では、リチャードの私兵と、謎の影が発動させた禁断の魔術による混乱が続いていた。
この混乱の中、セシリアは、大広間の避難経路近くで、避難を誘導する王宮の憲兵や貴族たちの一部を前に、毅然とした態度で立ち上がった。
セシリアは力強く宣言した。
「騎士団、そして忠実な兵士たちよ! そして、この広間に集いし国民の代表者たる貴族の皆様!聞いているのなら、よく聞きなさい! 第二王子リチャードは、もはやこの国の王族ではない! 彼はガリオン帝国と結託し、父上とこの国を滅ぼそうとしている! 今、王宮にいるリチャードの私兵どもは、この国の敵です! 今こそ、我々の誓いを果たす時です!反逆者を討て!」
セシリアの言葉は、騎士たちの間で迅速に伝播し、反乱鎮圧の正当性が確立された。
続いて、エドワードが剣を抜き、反乱鎮圧の総指揮を執る。
「王国騎士団は、直ちにリチャードの私兵どもを鎮圧せよ! 彼らの行動は、国家反逆罪である! 全軍、王国の秩序と王位継承者たる姉上を守れ! アリア、騎士団の右翼を指揮し、城門からの増援ルートを確保せよ!」
アリアは、その命令を受け、王国騎士団を率いて王宮の防衛に当たる。
彼女は、もはや方向音痴という欠点を微塵も感じさせず、的確な指示で騎士団を動かし、王宮に侵入しようとするリチャードの私兵や、裏切り者の貴族たちを、次々と制圧していく。
エドワードは、戦況を見ながら、アリアを称賛する。
「アリア、よくやった! 王都の兵もこちらに向かっている! もうすぐだ! このまま中央広間の秩序を固めろ! リチャードの悪事は、長く続かない!」
◇◆◇◆◇
大広間の中央。
謎の影が放つ禁断の魔術は、巨大な闇の渦を巻き起こし、王宮の崩壊を加速させていた。
謎の影は、嘲笑しながら大広間を破壊していく。
「愚かな王族どもめ! 私の力の前には、全てが無力だ! この禁忌の力は、お前たちの汚れた血を浄化し、王家の血脈は、ここで新たな秩序を迎えるのだ! お前たち、異種族の残党も、道連れにしてくれる!」
ミレーヌは、解析魔術の光を瞳に宿し、謎の影の魔術の構造を読み解く。彼女は激しい頭痛に耐えながら、仲間に指示を出した。
「この魔術は……王家の血にまつわる禁忌の魔術……! 彼の体内の魔力の流れに、一瞬の乱れがある! そこが核よ! ヴァネッサ、リリア、メロディさん! 連携よ! 彼の魔力の核を狙うわ! 私たちが、その隙を作る!」
ヴァネッサは、謎の影の放つ闇の波動を、超人的な速度とヴァンパイアの魔力で回避し、壁に激突する衝撃からミレーヌたちを守る。
「その魔術の根源は、あなた自身の血か。しかし、その血は、既に穢れている。この穢れを、私が断ち切る!」彼女は、闇の波動を弾き飛ばし、次の攻撃の機会を冷静に伺う。
リリアは、俊敏な動きと獣人特有の嗅覚で、崩れる瓦礫の間を縫って謎の影の背後に回り込み、注意を逸らす。
「僕を忘れるな!僕たちの力を見せてやる!その魔力、僕たちの絆には勝てない!王女様の未来を奪わせない!」
メロディは、自らの歌声に全ての魔力を込める。彼女の歌声は、空間を振動させ、謎の影が構築した禁断の魔術の波動をわずかに乱し、彼の集中を妨害した。
「闇の歌声よ……真実を阻むな……! この王国を、あなたには渡さない! 私の命に変えても!」
ミレーヌは、その一瞬の乱れを解析し、魔力の核の位置を特定した。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。